じじぃの「精子バンク・世界中の女性がネットで精子を買う時代に!理系の疑問」

フランケンシュタインの誘惑 #19「天才誕生 精子バンクの衝撃」

2019年9月19日 NHK Eテレ
【ナビゲーター】吉川晃司
科学史に埋もれた闇の事件簿。今回は、優秀な人間だけが暮らす理想の世界を目指した「天才精子バンク」!
遺伝子が物質であると突き止め操作できることを示して生命科学の扉を開きノーベル賞を受賞した天才遺伝学者と、プラスチックレンズを開発した大富豪。ふたりはなぜ天才精子バンクを設立したのか?生殖産業の扉を開いた驚がくの物語! 最新の天才遺伝子研究も登場!知能は、性格は、遺伝するのか?人類はどこへ向かうのか?
第二次大戦後、核実験が繰り返され、大気中の放射線の値が上昇した。遺伝学者ハーマン・マラー(1890~1967)は、人間の遺伝子が放射線で影響を受けることを憂慮し、1961年に「優秀な人間の精子を地下深くに凍結保存すべき」と主張した。この意見は賛否両論だったが、1963年に大富豪ロバート・グラハムがマラーに意見を支持する手紙を送ってきた。
かくしてグラハムの支援でマラーの「優秀な人間の精子を保存する精子バンク」の計画がスタートした。グラハムたちは生物学や法律の専門家などによる顧問団を組織し、実際に精子バンクを作るための準備を始めたが、議論ばかりでなかなか先に進めなかった。
そうこうしているうちに、1964年、日本とアメリカに最初の精子バンクが作られた。これは不妊治療が目的だったが、グラハムは他の誰かが「天才精子バンク」を作るのではないかと焦った。しかもそんなグラハムの気持ちはお構いなしに、マラーは「ドナーの死後25年は様子を見るべき」と訴えた。ドナーが真の天才かどうか、死んでから時間が経たないと評価できない、というもっともな意見だったが、さっさと計画を進めたいグラハムにはとても受け入れられた話ではなかった。しかもその後、マラーは、あまり拙速に話を進めるべきではない、といって計画の中止を提案した。
https://www4.nhk.or.jp/P3442/5/

『理系の素朴な大疑問』

博学こだわり倶楽部/編 KAWADE夢文庫 2019年発行

精子バンク」の発想はどこから生まれた? より

夫側の原因で子どもができない夫婦が、人工授精に利用する精子バンク。
昨今、問題となっているのは、「優秀な子どもを授かりたい」と趣旨が変わって、精子バンクを利用する女性が増えていることだろう。
この精子バンクを最初に思いついたのは、アメリカのH・J・マラー。ノーベル医学生理学賞を受賞した科学者である。
もちろん精子バンクでノーベル賞を受賞したのではなく、1927年の「人為的突然変異の創出」の業績に対するもので、精子バンクの考案は彼のいわば、もうひとつの顔である。
「人為的突然変異の創出」の業績とは、ショウジョウバエX線を照射して、突然変異が起きるしくみを明らかにしたことだ。
このショウジョウバエの遺伝学と、突然変異の研究をしていたマラーは、当時盛んだった優生学にも深い関心をもっていた。
優生学は、悪い遺伝を後世に残さないという消極的なものと、優れた人間を生み出そうとする積極的なものがあった。
マラーは、後者の積極的な優生学の発想から、精子を凍結保存する精子バンクを考案し、1961年、「生殖質選抜、遺伝的治療における新たな次元」という論文を発表している。
人を選別することにつながりかねないという危険性までは、考えが及ばなかったようだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
今はネットで「精子」が買える時代になった。
デンマークにある世界最大の精子バンク「クリオス」は、医療機関を含む世界80ヵ国以上の顧客に精子を販売する。
2009年から「個人の宅配」を開始し、話題になっている。
現在400人以上の精子提供者がドナーとして登録されており、目や髪の色、身長、体重、血液型などドナーの身体的特徴のほか、経歴や子供の頃の写真、現在の声まで確認することが可能である。
1回分の精子の価格は、質や量によって異なるが500ユーロ(約6万5000円)からだそうだ。