じじぃの「科学・芸術_889_クロアチア・中進国のワナ」

実質経済成長率と一人当たりGDPの推移(60年代以降)

1万ドル前後で中所得国の罠に陥る国も

第1節 中所得国の罠の回避に向けて

内閣府
本節では、中国経済の中長期的な経済成長を概観するため、過去に高度経済成長を遂げた各国と比較し、中国の現在の経済発展段階がどの位置まで来ているのか、また「中所得国の罠」という概念を補助線として、成長の大幅な低下に陥らないための課題について分析する。
具体的には、 長期の高度成長を遂げたのちに中所得国の罠に陥った諸国としてアルゼンチン、ブラジル、チリ、マレーシア、メキシコ、タイ、安定成長を続けた諸国・地域として日本、アメリカ、韓国、香港、シンガポールを中国との比較対象に取り上げる。これらの各国について、成長屈折期の状況を比較しながら、中国の発展段階をみつつ、中国が安定成長に移行するための課題を探ることとする。
https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sa13-02/html/s2_13_2_1.html

『世界まちかど地政学NEXT』

藻谷浩介/著 文藝春秋 2018年発行

ザグレブの街頭風景に表れた「中進国のワナ」 より

旧ユーゴ分裂後も経済面での優等生として生き残ってきたと聞いていたクロアチアだが、コトはそう簡単には進んでいなかったようだ。ホテルの方向に戻りながら、やや冷静になって観察してみると、スマートフォンをいじっている人はちらほらで、まだまだ普通途上だと見て取れた。ファーストフードや世界的な服飾ブランドの店も、あまり見かけない。
「世界資本に抗してローカルコンテンツが残っている」と言えば聞こえはいいが、若者などは不満だろう。オープンカフェの多さはこの街の魅力だと思うが、よく見れば飲み物1杯だけでヒマそうにボーッとしている人が目立ち、失業中なのだろうか所在なげにたばこを吸っている人も多い。筆者は物理的にたばこの煙にアレルギー反応が出る体質なので、東京以上に煙を吸わされるのには辟易した。
後々、旅の最期で思い起こして比較してみると、クロアチアはスロヴァキアと並んで旧共産圏における西欧化の優等生であり(今回は行っていないがスロヴァキアもそうなのだろう)、英語がよく通じるし街も清潔だ。

通貨こそまだユーロではないが、日本人の思い描く欧州のイメージからみても違和感はない。しかし小国だけに国内市場は小さく、人件費の上昇に連動して産業が輸出競争力を失う、いわゆる「中進国のワナ」にはまってしまっている典型なのではないか。

店内禁煙の飲食店はどこかにないかと、うろうろホテルの近くまで戻ってきたら、ヒマそうなシェフが客引きをしているのと目が合って、「うちは禁煙だ。さあどうぞ」と地下に案内された。まだ17時なので誰もおらず、クロアチアステーキ(薄切り牛肉を筒状に撒いて、衣を付けて揚げた料理。まさにオーストリア風)と、豆の煮込みと、西欧スタイルのサラダをゆっくりいただく、カロリー過多だったが、味は良かった。