じじぃの「科学・芸術_884_世界の秘密都市・スバールバル世界種子地下貯蔵庫」

Inside the Svalbard Seed Vault

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2_OEsf-1qgY

Svalbard Global Seed Vault

現代版「ノアの箱舟」と呼ばれる種子バンクが存続の危機

2018.03.02 ビジネスジャーナル
●種子バンクが存続の危機
一方、現代版「ノアの箱舟」と呼ばれる種子バンクが存続の危機に瀕している。日本では馴染みが薄い存在だが、この建設は2007年から始まり、その目的は人類がこれまで手に入れてきたあらゆる農業遺産を保護することを目的としている。
具体的には、あらゆる国の農業にとって不可欠の役割を果たしてきた「種子」を未来のために保存しようというのである。この事業の旗振り役はノルウェー政府で、建設費の600万ユーロ(約10億円)を負担したという。
完成した種子バンクはノルウェースピッツベルゲン島にある。正式名称は「あらゆる危機に耐えうるように設計された終末の日に備える北極種子貯蔵庫」という長いもの。運営面で全面的な資金協力を行っているのがビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金である。いわずと知れた、マイクロソフトの創業者が設立した財団だ。世界一の大富豪の座を長年にわたり保っているビル・ゲイツ氏。税制上の規則があるため、毎年15億ドルをチャリティ事業に使わなくてはならない。これまでもエイズの撲滅やがんの治療ワクチンの開発等に潤沢な資金を提供してきたことで知られる。
https://biz-journal.jp/2018/03/post_22523_2.html

『ビジュアルストーリー 世界の秘密都市』

ジュリアン・ビークロフト/著、大島聡子/訳 日経ナショナル ジオグラフィック社 2019年発行

スバールバル世界種子地下貯蔵庫 より

地下の保管スペースは世界中のありとあらゆる場所に作られてきた。英国南部の岩だらけの海岸に密輸業者が掘った洞窟もあれば、北極圏に先端技術を駆使して設けられたスバールバルの貯蔵庫のようなものもある。
2008年2月に、地球の未来を見据えて設立されたスバールバル世界種子地下貯蔵庫は、地球上で定期便が就航している最北の地、スバールバル諸島スピッツベルゲン島ノルウェー)の山の地下100メートル、今はもう使われていない炭鉱の中にある。「種子の方舟」と呼ばれているのは、世界の食用植物種のすべての標本を安全に保管する目的で考案されたからだ。世界には1750のシードバンクがあるが、そのバックアップとして、現在のところ、全農作物の3分の1の標本を保存している。
標高の高い場所が選ばれたのは、激しい気候変動で海面が上昇したとしても、影響を受けないようにである。また、地下深くの永久凍土に囲まれた冷たい環境が、種子の保存に最適なのだ。ところが、それでもまだ対策は足りなかったようだ。2016年10月、北極に近いこの極寒の地に、あろうことか雨が降った。
この先、人類が直面するであろう食の安全保障に対する気候温暖化の脅威を見せつけられた。そればかりか、あらゆる事態に備えていたはずの種子が。危うくダメージを受けるところだったのだ。