じじぃの「ウミショウブ・大潮の日の神秘的な刺激!植物のあっぱれな生き方」

八重山毎日新聞社 ウミショウブ守ろう 野底小学校

2018年07月14日
ウミショウブは浅い海に生息し、夏の大潮かつ干潮の昼に雄花が大量に開花し、白く小さな花が海面を漂うのは幻想的な光景。
ウミショウブの開花を見ようと海岸を訪れる観光客が増えたことから、児童らは2017年秋に注意喚起看板の文章やイラストの考案を始め、18年2月に完成させた。看板作製には県のジュニアサンゴレンジャー事業を活用した。
http://www.y-mainichi.co.jp/entry?word=%E3%82%A6%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%83%96

『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』

田中修/著 幻冬舎新書 2013年発行

実り多き生涯のために 「大潮の日」の神秘的な刺激 より

沖縄県の沿岸に、ウミショウブという植物が生育しています。この名前は、海底から長く伸びる姿が、川や池に生えているショウブに似ていることに由来します。雌雄異株の植物で、雄花は、海底に咲きます。雌花は海面の近くに咲きます。
この植物の背丈は、2メートル近くあります。そのために、このままでは、海底に咲く雄花と、海面近くに咲く雌花が出会うことはありません。だから、雄花の花粉は雌花につくことはなく、子どもを残せません。

そこで、ウミショウブは、進化の過程で、神秘的ともいえる出会いの方法を身につけました。雄花と雌花が出会うのは、真夏の「大潮の日」と決めたのです。「大潮の日」とは、満ち潮と引き潮の差が最大になる日です。その日に、雄株は雄花を咲かせ、雌株は雌花を咲かせます。

雄花は深さ2メートルほどの海底で咲きますが、開花してしばらくすると、茎が放出する気泡に包まれる状態になり、株から切り離されて、次々と海面に浮かび上がってきます。花の大きさは小さく1センチメートルにも満たないのですが、その数は膨大で、海面は花粉をもつ白い花で埋め尽くされます。
この植物は、花粉を運ぶ役目を、虫ではなく、潮の流れに託しています。子どもをつくるという大切な行為を、どこに流れていくかわからない潮の流れにまかせて大丈夫なのか」と不安になります。ウミショウブも、きっと不安なのでしょう。その不安を打ち消すように、どこに流れていってもいいように、海面を真っ白に染めるほどに、多くの雄花を咲かせるのです。
雌花は海面近くに咲きますが、通常は、水面上に顔を出すことはありません。ところが、大潮の日、潮が引くと水位が低くなって、雌花のある位置は、ちょうど、海面と同じになります。そのときの海面、埋め尽くすように雄花が漂っています。そこで、雌花と雄花が、めでたく出会うのです。
真夏の大潮の日に、沖縄の沿岸で見られる、神秘的な一大イベントです。海面に漂う雄花と、水位が低くなると海面に姿をあらわして、それを待ち受ける雌花との運命の出会いです。雄花と雌花はひきつけられるように受粉します。その姿は、「まるで意思をもつ生き物のようだ」と形容されます。そして、雄花ももつ花粉と合体した雌花は、再び水中に沈み、新しい命を生み出します。
不思議なのは、雄花と雌花がいっせいに花を咲かせる大潮の日を、雄株と雌株がどうして知るのかです。どちらが速く咲いても、遅れて咲いても、メシベと花粉は出会うことはありません。「大潮の日」に打ち合わせて、花が咲くしくみは、神秘的というしかありません。この神秘的なしくみに、”あっぱれ”と感服です。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ウミショウブという海草のお話。
普通、花はミツバチのような昆虫を介して花粉を運ぶが、このウミショウブは潮の流れを介して受粉させる。
それも真夏の「大潮の日」。雄花と雌花が海面で出会う。
こんな話、初めて知りました。