じじぃの「科学・芸術_854_人類宇宙に住む・エウロパ」

Jupiter’s Moon Europa

エウロパ (衛星)

ウィキペディアWikipedia) より
エウロパまたはユーロパ (Jupiter II 英語: Europa) は、木星の第2衛星である。
ガリレオ衛星と呼ばれる木星の四大衛星の中では最も小さく、発見されている木星の衛星の中では内側から6番目を公転する。地球の月よりわずかに小さく、太陽系内の衛星の中では6番目に大きい。1610年にガリレオ・ガリレイによって発見され、ギリシア神話のゼウスが恋に落ちたテュロスの王女エウローペーにちなんで名づけられた。比較的明るい衛星で、双眼鏡でも観察できる。
エウロパの主成分はケイ酸塩岩石で、水の氷からなる地殻を持ち、おそらくは鉄とニッケルからなる金属核を持つ。また、酸素を主成分とした極めて薄い大気を持つ。表面にはひび割れや筋状の構造が見られるが、クレーターは比較的少ない。

                          • -

『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行

巨大ガス惑星、彗星、さらにその先 より

われわれの知る生命は、おそらく巨大ガス惑星では生存できない。どの巨大ガス惑星にも、生物が発展できるような固体表面はないのである。それに、液体の水や、炭化水素などの有機化学物質を作るのに必要な元素もない。立用から何十億キロメートルも離れた場所では、凍えるほど寒くもある。
生命を養う可能性という点で木星土星よりも興味深いのは、それらの衛星であり、少なくとも木星で69個[2018年7月現在79個となっている]、土星で62個存在する。かつて天文学者は、木星の衛星はどれも同じと考えていた。月のように凍てついて荒涼とした星だと。だから彼らは、ひとつひとつの衛星が固有の特徴をもっているとわかると、びっくり仰天した。この事実は、宇宙の生命に対する科学者の見方にパラダイム・シフトをもたらした。
なかでも注目したいのは、ガリレオが発見した衛星のひとつ、エウロパかもしれない。エウロパは、巨大ガス惑星にいくつかある衛星と同じく、分厚い氷に覆われている。そのひとつの説明として、初期のエウロパの火山から出た水蒸気が凝縮して太古の海になり、それが衛星自体の冷却とともに凍りついたというものがある。これで、エウロパが太陽系で最高に滑らかな衛星のひとつであるという興味深い事実も説明できるかもしれない。小惑星の重爆撃を受けていたものの、エウロパの海はおそらくほとんどの爆撃が終ってから凍ったので、傷痕を隠してしまったのだろう。宇宙から見ると、エウロパはピンポン玉のようにのっぺらぼうだ。火山も、山脈も、隕石クレーターもない。唯一見えるのは、網状の亀裂である。
天文学者は、エウロパの氷の下に液体の水からなる海がある可能性に気づくとわくわくした。それは、地球の海の2~3倍の体積があると推定されている。地球の海は表面にあるだけだが、エウロパの海は内部のほとんどを占めているのだ。
ジャーナリストはよく「金(かね)をたどれ」というが、天文学者は「水をたどれ」と言う。水は、われわれの知る生命を作るうえで基本的なものだからだ。そのため彼らは、液体の水が巨大ガス惑星の世界に存在しうると知って衝撃を受けた。液体の水があると、こんな謎が頭に浮かぶ。氷を解かす熱はどこから出ているのか? その状況は従来の通念に反しているように思えた。これまで長いこと、太陽系の唯一の熱源は太陽で、惑星がハビタブルとなるにはゴルディロックスゾーンに存在しないといけないと考えられてきたが、木星はこのゾーンのはるか外側にあったのである。
しかし、われわれはもうひとつエネルギー源となりうるものがあるのを忘れていた。潮汐力だ。木星の重力はとても大きいため、エウロパを引き伸ばしたり押しつぶしたりできる。エウロパは、木星のまわりを回りながら自転しているので、潮汐によるふくらみは絶えず動いている。そうした伸び縮みにより、岩同士が押し合いへし合いして衛星のコアで強い摩擦が起き、この摩擦によって生じる熱は、氷の覆いの多くを十分に解かす。
エウロパに液体の水を見つけたことで、天文学者は、宇宙の最高に暗い領域にも、生命の存在を可能にするエネルギー源があることを知った。そのため、天文学の教科書をことごとく書き換える羽目になったのである。
探査機エウロパ・クリッパーは、2022年ごろに打ち上げられる予定となっている。必要な費用はおよそ20億ドルで、目的は、エウロパを覆う氷を調べ、海の組成と性質を分析して、有機化合物の徴候を探ることにある。