What do Chinese people think of America?
あなたの中に私がいる
あなたの中に私がいる ?
米中首脳会談の前提条件
2019年7月3日発行 夕刊フジ
「ファーウェイ禁輸解除」だった より
大坂でのG20(20ヵ国・地域)首脳会合に合わせて6月29日、ドナルド・トランプ米大統領と、中国の習近平国家主席の首脳会談が行われた。トランプ氏は第4弾の対中追加関税を見送っただけでなく、中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」に対する禁輸緩和まで表明した。
この背景を、中国分析の第一人者、遠藤誉女史が解説した。
「トランプ氏は5月15日、『米企業はファーウェイに対して、米エ畏怖の許可なしに部品やサービスを提供してはならない』と命じた。しかし、ファーウェイと取り引きしている米企業はとてつもなく多い。『そのサプライチェーンを切断されることは、米企業にとって致命的である』と米議会での公聴会で米企業が訴えた」
――公聴会はいつあったのか。
「6月17日から25日まで、約320社の企業・団体に意見を聞いた。その結果、『ファーウェイに対する禁輸制裁を取り下げろ』というのが圧倒的多数の要求だった。中国は、この様子をじっと見ていた」
――それからどうなった。
「大阪での米中首脳会談を最初に呼び掛けたのはトランプ氏の方だった。『もし応じなければ、厳しい追加関税をかけるぞ』と、だが、中国側は態度を保留していた。6月18日になって、トランプ氏が習氏と電話会談して、ようやく首脳会談実施を『一応』取り付けた」
ここで中国政府の元高官が、遠藤氏に語ったという。
「『ファーウェイに対する禁輸を解除しないと、米中首脳会談に応じない』と、中国側が前提条件をつけていた。米議会の公聴会と連動している。中国はトランプ氏を追い込んだのだ」
米中首脳会談後の記者会見で、トランプ氏は第4弾の厳しい関税の引き上げは見送り、ファーウェイに関しては「米企業は関連部品に関して、これまで通りファーウェイとの取引を継続していい」と表明した。
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遠藤氏が付け加えた。
「習氏の母校である清華大学に、中国と関連する米企業のCEOがほとんど顧問委員会の顧問委員に名を連ねている。中国は窮地に追い込まれたら、この人脈を動かす。顧問委員会は言うならば『北京にあるウォール・ストリートだ』」
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ファーウェイ禁輸解除の裏 より
【司会】山口豊、大木優紀、川村晃司 【ゲスト】遠藤誉(筑波大学名誉教授)、杉田弘毅(共同通信特別編集委員)
6月29日の米中首脳会談の後、トランプ大統領は第4弾の対中追加関税を見送っただけでなく、ファーウェイに対する禁輸緩和まで宣言。中国は米議会における米企業公聴会の結果を見て、禁輸解除を会談の条件にしていた。
山口豊、「なぜ、ここまでの譲歩をしたのか」
遠藤誉、「6月18日になってトランプ氏は習近平氏と電話会談し、ようやくG20出席と米中首脳会談実施の同意を一応取り付けた。万一にも習氏が出席を断れば、トランプ氏のメンツは潰れ、大統領選に不利になる。だから、その前までは激しい脅しを掛けていたわけです」
山口豊、「その間に何が起きたのか」
遠藤誉、「ファーウェイに対する禁輸を解除しないと、米中首脳会談に応じないという、前提条件を中国側が付けていた」
山口豊、「それは、いつ頃から付けた条件でしょうか」
遠藤誉、「米議会での公聴会自体もそうだが、習近平の訪露、訪朝などの一連の流れも、この公聴会の成り行きと連動しています。トランプを追い込んだのですよ。清華大学経済管理学院顧問委員会に多くの米企業CEOを揃えている。中国と関連する大手米企業のCEOは、ほとんどこの顧問委員会の委員だ。つまり習氏の母校である清華大学に顧問委員として参画し、習氏と緊密につながっているのです。米中貿易摩擦が始まってから、習氏はよく
『あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる』
という言葉を使う。これは世界中強固なサプライチェーンを形成して、何か衝突があった時には、相手がその鎖の絡みから抜け出せないようにしておくという、中国の戦略を指している」
https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/