じじぃの「人の生きざま_788_任・正非(ファーウェイの創業者)」

習近平国家主席と任正非

米政府、ファーウェイ製品締め出しの大統領令に署名。米国からの部品調達も実質禁止へ

Engadget日本版
2019年5月15日、ドナルド・トランプ米大統領がかねて検討していた「情報通信技術とサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令」に署名しました。この大統領令では「敵対的な国が管理監督する企業が製造した情報技術を米国内で無制限に使用することは、機密を脆弱にするとともに敵対国の力を増大させ、容認できないリスクをもたらす」と謳っています。
文書内では"敵対的な国"を明記していないものの、言ってしまえば、中国政府に関係の深いファーウェイやZTEといった中国企業のネットワーク機器を米国内から排除するとともに、許可なくファーウェイが米国の重要技術を購入することを禁止するということです。
https://japanese.engadget.com/2019/05/16/huawei-zte/

ニューズウィーク 特集:ファーウェイの正体』2019年5月21日号

米中衝突の核心企業 ファーウェイとは何者か より

スウェーデンの通信大手テリアソネラ(現テリア)が北欧の複数の都市で世界初の第4世代(4G)移動通信システムの構築に乗り出したのは09年のこと。ノルウェーオスロで、その大役を任されたのは中国のファーウェイ・テクノロジー華為技術)だった。それはなんとも大胆で意外な選択だった。当時の同社は、まだ中国国内と一部の新興市場を除けば無名に近い存在だったのだから。
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それまで先進国の土壇場だった市場へのファーウェイの進出は、業界のみならず欧米諸国の政府にも衝撃を与えている。そしてこの成功によって、同社はドナルド・トランプ米大統領から標的にさらされている。トランプ政権は、このままファーウェイが勝ち続ければ中国政府が世界の通信網を支配でき、いくらでもスパイ行為や知的財産の侵害を行えるようになると考えている。
今や「5Gは米中の地政学的な戦場だ」と言うのは、スウェーデン国際問題研究所のティム・ルーリヒだ。
ここで気になるのは、ファーウェイは「普通の」会社か中国政府の手先かという問題だ。

同社を87年に設立したのは、かつての人民解放軍の工兵隊に所属していた任正非(レン・ツェンフェイ)だ。

そして人民解放軍は、同社の創業当初からの主要な取引先の1つでもある。
去る3月下旬にはイギリス政府の5G検討委員会が報告書を発表し、この会社はハイテク版トロイの木馬かもしれないと指摘した。同社のシステムにはハッカーの侵入を許す「隠れた欠陥」があり、セキュリティー上の「重大な」問題を引き起こしかねないというのだ。ただし基本的には技術上の問題を批判するにとどまり、中国当局の指示で意図的に仕組まれたことを示す証拠はないとし、同社製品の完全な排除までは進言していない。
こうした懸念の裏には単純な疑問がある。ベーシックな通信機器の輸入から初めた無名の民間企業が、わずか30年で5Gという最先端の通信技術で支配的な地位を築くところまで到達できたのはなぜか、という疑問だ。
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中国政府からどんな支援があったにせよ、同社をここまでの大企業に育てたのは創業者兼CEOの任のビジョンと壮大な野心だ。
39歳で軍隊をやめ、国有企業に4年間勤務した後、任は国有銀行から850万ドルの融資を受け、14人のスタッフでファーウェイを創業したという。
最初に手掛けたのは伝統的な通信網の基幹技術である電話交換機の輸入販売だった。そして91年には自前のデジタル交換機の開発に着手した。当時の中国の電気通信業界では外資系企業と提携するのが普通だったが、任はあえて自社開発にこだわり、研究開発部門に集中的に投資した。
同社の経営を研究したアナリストによると、90年代前半の同社の研究開発スタッフは500人で、生産部門で働く200人よりもずっと多かった。おかげで93年までには新型の交換機を完成させ、人民解放軍に納入し、独自の通信ネットワークを提供した。これで同社はライバル勢よりも有利な地位を手に入れた。
その1年後、任は別の形で国からの保護を確保することに成功した。共産党の総書記だった江沢民と会談し、国内に電話交換機産業のない国は「軍隊のない国」に等しいと進言した。任によれば、江は「よく言ってくれた」と答えたという。その後、中国政府は96年までに国内の電気通信会社を支援する方向に産業政策をシフトさせ、外国企業の競争相手を締め出した。