じじぃの「梅の花・なぜ花に五弁花が多いのか?ウニ・バッタもすごい」

『ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学』

本川達雄/著 中公新書 2017年発行

ヒトデはなぜ星型か――棘皮動物門I より

五を基本にした形の動物は棘皮動物のみである。もし五の仲間にさらに加えるとすればホシムシ(星口動物門)がいる。これは、しもぶくれのミミズのような形のもので、砂の中や岩の穴に入っており、穴の口から蝕手を伸ばしている。体は細長く左右相称。ただし口の周りにある蝕手が、種によっては五本放射状にのびているため、星のような口の動物と呼ばれている。五はそこだけ。ホシムシはその蝕手で、懸濁物をとらえるか堆積物をつかんで食べる。懸濁物食者が五という点では、今の仮説に有利な例になるだろう。

花びらは五弁が多い

動物では、五は例外的にしかお目にかかれない。ところが植物に目を移せば、ごく普通に五に出会える。「朝日に匂ふ山桜」は五枚の花びら、「匂ひおこせよ梅の花」もそう。サクラが日本、ウメが中国を代表する花だが、ヨーロッパではバラだろう。バラの原種は五弁である。以上の3つはどれもバラ科バラ科は果実もおいしく、モモ、ナシ、リンゴ、ビワもバラ科で五弁花。
サクラが終って五月(さつき)のツツジ科、盛夏のアオイ科キョウチクトウ科、そして秋に紅葉するカエデの仲間(ムクロジ科)も五弁。秋の七草のうち花弁の数えやすいもの(キキョウ、ナデシコオミナエシ)はみな五弁花である。冬のサザンカやツバキ(ツバキ科)も五弁。四季折々に楽しむ花は、多くが五弁である。
果実や芋でお世話になっているものにも五弁花が多い。ナス科(ナス、ジャガイモ、トマト、タバコ)、ウリ科(ウリ、キュウリ、スイカ、カボチャ、メロン)、ブドウ科、ミカン科、キゥイフルーツの属するマタタビ科など。他にキンポウゲ科、ベンケイソウ科、ユキノシタ科、カタバミ科と、五弁花の仲間をどんどん挙げていくことができる。

花弁は滑走路?

なぜこれほど五弁花が多いのだろう。その説明に、先ほどの仮説が使えるのではないかと気がついた。あの仮説で、腕を花弁に、流れてくる餌を飛んでくる昆虫に置き換えてみればいい。
被子植物は、もともと風を使って花粉を運び受粉する風媒花であり、花は小さく目立たないものだった。その後、昆虫を受粉に利用する虫媒花が登場し、花弁が大きくなった。この目立つ花弁は、虫の視覚に訴え、ここに密があると示しておびきよせる媒花看板の役目をはたしている。
さて、看板なら面積が大きければどんな形でもよさそうだが、花にはもう一工夫、仕掛けがあるようだ。花は中心から楕円形の花弁が放射状にのび出していて、花弁花なら中心を通る五本の軸がある。ここがみそ。花弁はただ見せるだけの看板ではなくて、虫を花の中心へと導く役目をはたしているのではないだろうか。

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どうでもいい、じじぃの日記。
なぜ、花には五弁花が多いのだろうか。
五弁花といえば、梅の花
「初春の令月(れいげつ)にして 気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ 梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き 蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす」
何となく五弁花は、四弁花や六弁花よりも色っぽく見えます。