第60回外国人による日本語弁論大会 「平和のおかげのビジネス」 ムハマド ウワイス アルバッリ シリア/文部科学大臣賞
Syrian civil war
NHKドキュメンタリー 「ワタシの見たニッポン~第60回外国人による弁論大会~」
2019年6月29日
【司会】野村佑香 【審査員】パトリック・ハーラン、その他
今年で60回目を迎える「外国人による弁論大会」が青森県八戸市で開催された。
100人以上の応募者の中から予選を勝ち抜いた、12人の外国人弁士たちの熱い思いを紹介する。親父ギャグの魅力にすっかりはまってしまったアメリカ人英語指導助手。いじめと向き合う心のあり方を語ったルクセンブルク出身の女性。故国で内戦を体験し、平和の尊さを訴えるシリア出身の男性。
平和のおかげのビジネス より
●文部科学大臣賞 ムハマド ウワイス アルバッリさん(シリア)
シリアと言えば、内戦、砂漠、テントの難民というイメージしかないと思います。
確かに内戦は多くのシリア人の人生を変え、今も多くの人が砂漠のテントの中で苦しんでいます。
しかし、全てのシリア人が砂漠のテントの難民になったわけではありません。
私のように、外国で勉強し、明日の新しいシリアを作ろうと努力している人たちが多くいます。
私の経験をお話しし、何かを感じ取って一緒に歩んでいただきたいと思い応募しました。
2014年、マンションに爆弾が落ち、建物が完全に破壊されました。そして父が亡くなりました。
住む所が無くなって、私たちはトルコに逃げました。
私はトルコでメッセンジャーの仕事をしました。必死になってトルコ語を覚え、トルコ語とアラビア語の通訳の仕事をしました。
トルコの生活はそんなに悪くありませんでしたが、ただ生活をするだけで勉強をするチャンスはありませんでした。
それで私は2017年に大学で勉強するために日本に来ました。
シリアではまだひどい状態が続いていました。でも私は悲観していません。
シリアで起きていることはヨーロッパでもありました。ロシアでも日本でもありました。
これらの国は破壊と殺戮の後、よみがえりました。シリアも同じです。
破壊は続いていますが、それが終ればシリアも必ずよみがえります。
私は日本で電気工学の勉強をして、それから平和になったシリアに戻ります。
それで、シリアで平和のおかげのビジネスを始めたいと思います。
ご静聴ありがとうごさいました。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92508/2508353/index.html
『国際関係がウラ読みできる ライバル国と友好国』
国際時事アナリスツ/編 KAWADE夢文庫 2016年発行
ロシアとシリア 冷戦時代から反米・反イスラエル同士。シリア空爆で内戦は泥沼化か より
2011年から内戦の続くシリアで、ロシアのプーチン大統領が空爆を開始したのは2015年9月のことだった。ロシアが「正統な政権」とするシリアのアサド大統領から、軍事支援の要請を受けて介入したのである。
その結果、シリア内戦はさらに複雑になり、泥沼化した。ロシアは戦略爆撃機や巡行ミサイルまで投入し、半体制派が支配していた北部や北西部の要衝を奪還。アアサ政権の崩壊による内戦終結というシナリオが遠ざかった。
ロシアのほかイランなども親アサドであるが、欧米、親米アラブ諸国は反アサドを掲げ反体制派を支援している。その反体制派の組織はいくつもあり、とても一筋縄ではいかない。
アサド側についても、シリア政権軍に加え、シーア派民兵、レバノンのシーア派組織ヒズボラなどが戦闘を展開している。
そのうえ、混乱に乗じて「IS(イスラム国)」が勢力を伸ばしている。アルカイダ系の「ヌスラ戦線」も活動しており、国際社会はこれもテロ組織と見るが、連携する反体制組織もある。さらに民族自立を目指すクルド人勢力の存在もある。
長期化する内戦で22万人が死に、国内外に避難した人は1200万人と推定される。国民の2人に1人が避難した計算だ。ヨーロッパへの難民として逃れる途上も到着後も、彼らは生命の危機にさらされている。