じじぃの「歴史・思想_13_世界史大図鑑・ブルネル(イギリスの鉄道・造船技術者)」

The Steam Engine ~ James Watt

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=w_SZtGJJ7Yo

Steam Engine

『世界史大図鑑』

レグ・グラント/著、小島 毅、越前敏弥/訳 三省堂 2019年発行

勤勉さのない人生は罪である スティーヴンソンのロケット号が営業運転開始(1830年

1830年9月15日、蒸気機関で動く世界ではじめての商業旅客鉄道――ジョージ・スティーヴンソンのロケット号――が開通した。全長56キロのリヴァプール・アンド・マンチェスター鉄道は、やはりスティーヴンソンが設計した機関車が牽引し、時速48キロメートル近くまで出すことが可能だった。

イザムバード・キングダム・ブルネル より

並はずれて勤勉だったイザムバード・キングダム・ブルネル(1806年~59年)ほど、イギリス産業革命の初期段階の原動力となった熱意や野心や洞察力を体現していた人物はいない。ブルネルが手がけた驚異的な仕事としては、世界最長の橋(クリフトン吊り橋)、世界最長のトンネル(ウィルトシャーのボックストンネル)、世界最大の船(グレート・イースタン号)などがある。
1827年にはまだ21歳でテムズ・トンネルの主任技術者に任命され、1833年には新たに設立されたグレート・ウェスタン鉄道の技術者になった。グレート・ウェスタン鉄道は1841年にはロンドンとブリストルを直接結ぶことになるが、その集荷場の再建にブルネルは1832年から取り組んだ。ロンドンからニューヨークまでの直通の旅も夢ではないと信じていたブルネルは、世界初の実用的な外洋蒸気船グレート・ウェスタン号の設計した。また、鉄でできたスクルュー推進式のグレート・ブリテン号も手がけた。すぐれた洞察力の持ち主ながら、ブルネルのプロジェクトの多くは遅延と費用の超過に見舞われたが、その仕事には他に類を見ないすばらしい技術があった。

蒸気動力 より

1712年にトマス・ニューコメンが「大気圧機関」を発明して以来、信頼性にはばらつきがあるものの、さまざまな蒸気機関が作られてきた。しかしそれに驚くべき潜在能力があることを明らかにしたのは、1791年にジェームズ・ワットが発明した最初の回転式蒸気機関だった。最初期の蒸気機関はおもにポンプとして利用されたが、ワットの回転式蒸気機関は機械の動力となったのである。ワットはマシュー・ボールトンとともに1775年にエンジニアリング会社をバーミンガムに設立し、500台以上の蒸気機関を製造した。
1800年にワットの特許が切れると、ほかの会社でもそれぞれに蒸気機関を製造するようになった。特に北西部の繊維産業は、手にはいりやすくなった蒸気動力の恩恵を受け、家族単位の小規模な生産から大規模でほぼすべてが自動化された工場生産への動きが起っていた。1835年までに、繊維工場に導入された力織機の数は12万台を超えた。動力を川に頼らずにすむようになったおかげで、どこでも工場を建てることができるようになり、世紀が進むにつれて、工場が集まったイングランド北部やミッドランズの町が、主要な工場中心地へと急速に発展していった。