じじぃの「クワシオルコル・しばしば消化管を意識するとき!やわらかな生命」

正常な肝臓と脂肪肝の肝臓

『やわらかな生命』

福岡伸一/著 文藝春秋 2013年発行

肝心なはなし より

クワシオコワ(またはクワシオルコルとも表記)という名の奇病がある。アフリカの飢餓地域で、手足が細いにもかかわらず、腹部が異常に膨れている子どもの写真を見たことがあるかもしれない。栄養不足なのになぜ? あれがクワシオコワの典型的な症状なのだ。
病名の起源は、アフリカ・ガーナ地方の言葉で、(まだ幼い)上の子がいるのに、下の子ができた、という意味から来ているという。弟や妹ができたために無理矢理、乳離れさせられた子どもが陥りやすい。
母乳は、摂取されることを目的に作られる唯一の生体産物である。そのため糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど栄養素が過不足なく含まれる理想の食品である。免疫系がまだ十分、準備態勢にない乳児に対して、抗体などの防除物質を供給してくれる役割もある。このため、生まれてまもない赤ちゃんの消化管は、消化酵素によるタンパク質の分解をあえて積極的に行わず、むしろ母乳由来の抗体タンパク質をまるごとそのまま受け入れている。
このような理想食品である母乳を奪われてしまうと、子どもは自分で食物を摂取しなければならない。今の日本のような飽食環境にあれば、あらゆる種類の離乳食が市販されており、子どもたちも過剰なまでに手厚くケアされるわけだが、アフリカの飢餓地域ではそうはいかない。
いきおい痩せた土地でも育つ数少ない作物であるキャッサバのようなものが主要な食料とならざるをえない。キャッサバはイモの一種。キャッサバにはデンプンがたくさん含まれるが、生育期の子どもに必要なタンパク質には乏しい。つまり飢餓地域では、栄養素のうち、糖質(デンプン)はあるのに、タンパク質が足りないという状況が起きやすい。そのアンバランスがクワシオコワの主要な原因と考えられている。
私たちが食べる食物は消化管で消化・吸収され血液中に入る。それはすぐに全身を巡るのではなく、いったん肝臓に集められる。肝臓は栄養素利用の優先第1順位にある臓器。ここで糖質はエネルギー源になる。
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肝臓は栄養素を消費するとともに全身の細胞へ栄養素を供給してもいる。供給物の代表例はリポタンパク質。これは脂質とタンパク質の複合体である。もし、タンパク質が不足すると脂質を肝臓から運び出すことができなくなる。すると肝臓に脂肪が滞留し、脂肪肝となってしまう。クワシオコワで腹部が膨らむ要因のひとつは脂肪肝なのだ。つまり、栄養素が足りていない状態なのに、足りなさのアンバランスによっては、過食の象徴のような脂肪肝になるという皮肉なことが起きる。

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どうでもいい、じじぃの日記。
6月に入って、やや涼しい日が続いている。
5月26日、北海道帯広で気温が37度を観測し5月の国内最高気温を更新した。
かき氷を続けていくつも食べたら、お腹をこわしてしまった。
アイスコーヒー、かき氷が口から、肛門まで体の中を通過していくのがわかる。
若い頃は、こんなことを思うこともなかった。
消化管がうまい、うまい、と声を上げているような感じだ。