じじぃの「科学・芸術_825_フランス人の精神性(マンタリテ)」

mentalites

なぜ、日本人は老後に不安を覚え、フランス人は老後を楽しみにするのか!?

文響社のプレスリリース
●フランス人から学ぶ「60歳から」が楽しみになる秘訣
日本は、年を重ねることに対してネガティブに捉える傾向が強い国です。何か新しいことに興味を持っても「こんな年だから、ムリよ」「もう、おじいちゃんだから……」と、年齢を理由に諦めることが多いのではないでしょうか。
年を重ねていくことで、体の自由が利きづらくなるなどは、どの国でも変わりません。しかし、フランスでは加齢に対する捉え方が日本と対象的です。
フランス人は、老いを「人生の実りと収穫の秋」と捉え、「老いを愛する」国民です。
フランス人は、何歳になっても、おしゃれ、美食や性愛をいくつにおいても諦めようとしません。フランスの高齢者は人生の最期の時までを楽しみ尽くそうとするのです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000003336.html

『60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する』

賀来弓月/著 文響社 2018年発行

心豊かに生きるフランス人の精神性(マンタリテ) より

高齢者の幸福度を左右するのは、最低限の経済的生活基盤(収入)、健康、家族、社会的なつながり(友人関係)、「今現在の生き方」の捉え方であるかと思います。健康を害し体が衰えていくことは、仕方のないことです。社会的な居場所が少なくなっている高齢者にとって、家族が重要なことはいうまでもありません。しかし、社会的なつながりに関しては、定年後も自分の努力次第で、新たな人間関係を育んでいくことができます。また、「今現在」をどう捉え、どう生きるかについても、自分自身の気持ちのもち方次第で、コントロールできるのです。
フランスの高齢者たちは、人間関係と「今現在」の捉え方が上手。だから、高齢期を「人生の実りと収穫の秋」とすることができるのです。
驚いたことに、何人かのフランスの人たちが「私には過去の人生がありました。先は長くはないかもしれませんが、将来には将来の人生があることでしょう。でも、過去の人生と将来の人生の間にある今現在を実り豊かなものにするために一生懸命生きたいと思っています」という趣旨のことを私に語ったのです。これはまさに日本神道の「中今」の思想なのです。
フランスの哲学者モンテーニュは、「老いは、我々の顔よりも心の方により多くの皺を作るものだ」といっています。私たち高齢者としては、互いに心に皺が増えないように気をつけたいものです。
「もうこんな年」(悲観主義者の感じ方)ではなく、「まだこんな年」(楽観主義者の感じ方)と考える。そうすれば、高齢期を生きる姿勢も自ずと変わり、生きる士気も高まり、若い気持ちでい続けられるに違いありません。
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文豪ビクトル・ユーゴ(1802ー1885)は、こんな言葉を遺しています。
「老いの特権のひとつは、自身の年齢以外にあらゆる年齢を持っているということだ」
つまり、老いはこれまでの人生の賜物であり、あらゆる経験を有している”特権”なのです。その自覚の強いフランスの高齢者の多くは、過去の人生で得た知識や知恵、集団的記憶(特に戦争体験)などの”生きた歴史”を若い世代に伝えようとします。
例えば、ドイツやアルジェリアとの戦争の経験を後世に伝えることは、高齢者世代の義務だと感じているのです。日本の若い世代は、日本の過去の戦争のことを社会科の授業などで通りいっぺんに史実として学ぶことがあるとしても、さまざまな形で戦争を実際に経験している高齢者たちから直接話を聞くことは少ないのかもしれません。