じじぃの「ブラックホールの撮影に成功・画像から分かる真相と展望!プライムニュース」

A Zoom to the Black Hole in M87 ! Animation Video

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=F68AB7fKTPc

人類が初めて見たブラックホール!何がすごいのか?発見者ご本人に聞いてみた…

2019年4月11日 FNN.jpプライムオンライン
4月10日、世界で初めて撮影に成功したブラックホールの映像が発表された。
国立天文台 本間希樹教授:
これは人類が初めて目にしたブラックホールの姿です!!たった1枚の写真ですが、アインシュタイン相対性理論以来100年、ブラックホールを視覚的に証明するものでございます。
https://www.fnn.jp/posts/00044685HDK
プライムニュース 「史上初!ブラックホール撮影成功 キーマンに“真相”と“展望”を問う」 2019年5月2日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】本間希樹(国立天文台教授 同水沢VLBI観測所所長)、秦和弘(国立天文台水沢VLBI観測所助教)、寺門和夫一般財団法人日本宇宙フォーラム 宇宙政策調査研究センターフェロー)
先月、アインシュタイン一般相対性理論により、理論上は存在するとされていたブラックホールの撮影に、史上初めて成功したと発表された。
撮影に成功したのは、日本の国立天文台の本間教授らが、世界の天文学者・研究機関に呼びかけ、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際プロジェクト、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)。今回の発表も、本間教授ら日本人研究者たちが世界に向けて行った。撮影に成功したのは、地球から5500万光年の距離にある銀河、M87(おとめ座銀河)にあるブラックホール。今回の偉業は、「地球から月面に置かれたゴルフボールを撮影する」と言われるほど、想像を絶する挑戦の賜物だ。撮影成功に至るまでの道のりは? 今回の画像から何が解明できるのか?
●史上初! ブラックホール撮影成功 画像から分かる“真相と展望”
アインシュタインの一般相対論によれば、ブラックホール球対称で質量が中心に集中している場合、重力場の解はある球面で特異になり、中に入った物質と光は中心に向って落下し、決して外に出ることはできない。1916年にこのブラックホールの解を最初に発見した天文学者シュワルツシルトの名を取って、この球面の半径をシュワルツシルト半径と呼ぶ。
本間希樹、「巨大なブラックホールは銀河の中心でジェットを出したり真ん中で明るく輝いたりする活動性を持った天体。活動性の源が真ん中のブラックホールでさらに降着円盤、ジェット。ガスがどういうふうに落ちてどういうふうに出ていくかは包括的に見ないとブラックホールとしての理解が天文学者としてまだ足りない部分がある。ブラックホールに落ちていくガスが今回測られたことは重要なパラメーターを1つ決めたことになる。今回の写真にはジェットは写っていない。おそらくジェットの根元が思っているよりぼやっとしているのではないか」
秦和弘、「ブラックホール天文学の中では人に性格があるようにブラックホールにも周りの環境に左右されて性格がブラックホールによって出てくる。M87はジェットをたくさん出して明るく輝くタイプ。一方で同じ位の大きさのブラックホールでもジェットを出さなかったり輝きが弱いブラックホールもある。こうした“草食系ブラックホール”が天の川銀河の中心にある いて座(天の川銀河)に対応する。まずは燃料があるかどうかがブラックホールの活動を決める重要な要素。何がブラックホールの活動を決めるかは重要な未解決要素で今回の観測でもまだわかっていない」
●史上初! ブラックホール撮影成功 国際プロジェクトEHTの軌跡
今回ブラックホールの撮影に成功した「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」は世界各地の電波望遠鏡を組み合わせて地球規模の望遠鏡を合成。
合成された望遠鏡の直径は約1万km、観測波長は1.3mmの観測で「視力300万」を実現。2017年4月に6ヵ所8台の望遠鏡で初の撮像観測を実行。
寺門和夫、「これからのサイエンスは巨大化せざるを得ない。世界中の望遠鏡を組み合わせれば地球規模の望遠鏡になる。大きくなればそれだけ視力が増す。いろいろな国で研究者が協力しあい競争しあい計画を立てて最終的に良い結果を出すプロセスが大事になってくる。今回のイベント・ホライズン・テレスコープはそういったものが非常に良い結果を生み出している」
【提言】 「科学を発展させるために必要なこと」
本間希樹 「○(ワ)を以て尊しと為す」
 ブラックホールの研究のために地球上の研究者200人のワを作って成果を上げた。こういうことをモデルケースにしてぜひ国際協力が発展し研究のワが広がり人々の平和にもつながるのではないか。
秦和弘 「我慢(長い目で見る)」
 今回ブラックホールを撮影して、何でどんな意味があるのかと聞かれる。その一方で撮影に成功したとき皆さんに喜んでもらえた。科学を発展させる原動力は役に立つかどうかより、まずはワクワクをもたされるかどうか。それなりの長い研究期間が必要。写真を見たいと10年間我慢してきた。
寺門和夫 「令和の科学は世界で勝負せよ」
 令和になったが平成のときには科学技術には問題があった。新しい時代でもう一度考えてほしい。そのポイントは若い科学者に世界で勝負してほしい。
前編:http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d190502_0
後編:http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d190502_1

『マンガ ホーキング入門―天才物理学者の人生とその宇宙論

J・P・マッケヴイ、スカー・サラーティ/著、杉山直/訳 ブルーバックス 2005年発行

補筆 より

ブラックホールの熱力学については、ホーキング自身が2004年に世界を驚かせる研究発表を行った。ブラックホールによって情報が失われるのかどうか、という問題に対する解答を得たとの報告をしたのである。
本書の読者にはすでにおなじみであるが、ブラックホールはありとあらゆるものを飲み込むが、そこから出てくるのは熱放射(ホーキング放射)のみである。もしブラックホールに何か物質を投げ込むと、ブラックホールから外部に返ってくるのは熱放射という温度以外になんの情報も伝えないものだけなのだ。完全に蒸発してしまった後には、ブラックホールに吸い込まれた物質がどのようなものであったかには全くかかわりなく、熱放射だけがブラックホールが存在していた証拠として残される。ブラックホールの蒸発の前後で明らかに情報が失われてしまっているのである。これがブラックホールによる情報の消失の課題である。
この問題はすでに1970年代始めには認識されていて、1997年になってからだが、ホーキング、ソーン、そして素粒子理論研究者プレスキルとの間で例によって賭けが行われた。ホーキングとソーンは情報が失われてしまう方に、プレスキルはブラックホールの蒸発とともに情報も解放されるという方に賭けたのだ。賭けの賞品は百科事典であった。2004年にホーキングが得た解答は、宇宙全体としてブラックホールの時空と普通の時空をすべて勘定すれば、情報は宇宙の始まりと終わりで失われることがない、というものであった。ホーキングは賭けに敗れたのである。プレスキルは、ホーキングから、野球辞典を賞品として受け取った。なお、ホーキングの証明の詳細についてはいまだ専門家の間でも完全には受け入れられてはいない。2005年の段階ではこの問題について完全に決着がついたというのは早計かもしれない。