ワタゲトウヒレン
セーター植物
ウィキペディア(Wikipedia) より
セーター植物とは、高山植物の一形で、植物体が綿毛に覆われているものである。保温および太陽エネルギー吸収に寄与するものと考えられる。
ワタゲトウヒレンはヒマラヤとチベットの特産種で、高山帯以上の亜氷雪帯に生育する。
高さ20cmほどの植物だが、葉の表面から生えた白い毛が植物全体を覆い、全体として球形の毛糸玉のようになる。その姿から英名はスノーボールである。その内部には直立した花茎と、その先端に上向きに咲く頭花がある。綿毛はそれら全てを覆うが、頭花の上には綿毛に包まれた空間があり、その真上に当たる部分に直径5mmほどの穴が開いている。小型のハチやハエはこの穴を通り抜けて出入りすることが出来る。内部の空間は日中には20℃以上になり、これは外気温より10-15℃も高い。侵入した昆虫は頭花の上を歩き回り、受粉に与ることになる。
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『世にも驚異な植物たち』
博学こだわり倶楽部/編 KAWADE夢文庫 2017年発行
ワタゲトウヒレンはセーターを着て酷寒を生きる より
高山植物には、過酷な環境に適応するために独自の進化を遂げたものが多い。ヒマラヤやチベットなど一部の地域に生息する「ワタゲトウヒレン」もその1つ。学名をサウスレア・ゴシッピフォラというキク科のこの植物は、ワタゲトウヒレンというだけあって、ふわふわの綿毛に覆われ、花をすっぽりと包み隠している。
この綿毛には、さまざまな役割があると考えられている。
高地の厳しい寒さから身を守るための保温の効果や、雨よけ、紫外線よけ。このへんまでは、おおよそ予想がついただろう。けれどももう1つ、ワタゲトウヒレンの綿毛の大切な役割を忘れてはいけない。
その役割を知る手がかりは、綿毛で覆われた球状のてっぺんにあいた直径5ミリほどの小さな穴である。この小さな穴は、虫たちの”出入り口”。小型の昆虫がこの穴を使って綿毛の中に入り込む。
ワタゲトウヒレンの内部の空間は、外気にくらべてずいぶん暖かくなっている。あるデータによれば、外気温約10℃のときでも、綿毛の中は最高35℃にまで達したそうである。寒さに震えながら潜り込んできた虫たちは温められ、動きが活発になり、その結果、受粉の役割を担うことになるのである。
このような綿毛をまとった植物は「セーター植物」と呼ばれ、高山植物愛好家にとっては、死ぬまでに一目会いたい憧れの植物だ。
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どうでもいい、じじぃの日記。
ヒマラヤやチベットなどの地域に「セーターを着て酷寒を生きる」植物が生息しているのだそうです。
「外気温約10℃のときでも、綿毛の中は最高35℃にまで達したそうである」
なにか、愛おしく感じます。