じじぃの「科学・芸術_779_現代中国・食品安全への不信」

中国 中学校でカビ食材に保護者が抗議 警察出動も(19/03/14)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/embed/kANlNzTJmgw?rel=0

中国 カビが生えた食材

四川省小学校で「腐った食材」使用 数千人の保護者が抗議活動

2019年3月14日 ライブドアニュース
中国四川省成都市にある私立学校、成都七中実験学校の小学部の保護者らは13日、同校の給食に腐った食材やカビが生えた食材が使われているとして、学校前で抗議デモを行った。
地元当局は警備隊を派遣し、唐辛子スプレーなどを使って鎮圧した。
http://news.livedoor.com/article/detail/16159986/

『現代中国を知るための52章【第6版】』

藤野彰/編著 赤石書店 2018年発行

根強い「食の安全」不信 後手に回る行政の管理・監督体制 より

2015年以来、訪日中国人の「爆買い」が日本国内で注目を集める社会現象となった。「爆買い」のトレンドを見ると、購入対象は高級ブランド品や電気製品などの高価なものから、自分で使うための日用品および食品など幅広い商品へと拡大している。農林水産省が2018年2月9日に発表した調査報告「平成29年訪日外国人旅行者の食料品等の購入状況について」によると、訪日外国人旅行者の買い物(お土産等)額のうち、食料品等は3456億円となっており、国別では中国が最も多く、菓子類で563億円(35%)、その他の食料品等で591億円(32%)を占めている。
海外での直接購入に限らず、近年は越境EC(電子商取引)サービスを利用し、輸入食品を買う中国人が増えてきている。2017年12月、「艾瑞諮詢(iResearth)」が「中糧我買網」と共同で発表した報告書「2017年中国輸入食品消費研究白書」によると、84%の消費者はネット通販で輸入食品を購入してる。注目すべきなのは、輸入食品の購入動機と原因で、「食品安全」と「高い品質」が最も多く選ばれ、それぞれ41%と39%に達した。その背景には、中国の安全に対する不信感がある。中国の経済専門誌『小康』が2005年から実施している「国民が最も注目する十大焦点問題」調査でも食品安全問題は毎年ランクインし、とりわけ2012年から2017年にかけて6連続トップとなっている。
中国の食品安全問題は、食品を製造している企業そのものに安全意識が欠落があるうえに、行政の管理・監督体制の不備という構造的問題が抱えている。2011年6月29日、全国人代表大会(全人代)常務委員会の調査グループが発表した「食品安全法」執行状況調査によれば、食品企業の安全意識の低さや行政の監視・監督体制の甘さ、職員の押しつけあいなどの問題が存在していることが明らかになった。長い間、中国政府のなかでは食品問題をめぐり、生産に関しては品質監督部門、流通に関しては商工行政管理部門、消費に関しては国家食品薬品監督管理部門というように、分野別の縦割り行政が行われてきた。加えて、農業省、商務省、衛生省などの業務と重なりあう分野もあり、職責の不明な部分が少なくなかった。このように複雑で非効率な官僚機構のもとでは、行政側の管理・監督を通じた、食品安全問題の摘発は極めて限られてくる。
2014年7月、上海の食肉加工会社「上海福喜食品」が使用期限切れ食肉を使用した製品を、マクドナルドをはじめとしたファストフード店に供給していた事件は、元同社従業員の内部告発を受けた上海の衛生テレビ「東方衛視」が2ヵ月にも及ぶ潜入取材を行って実態を暴き出したものだ。同事件からはサプライチェーンが日増しに複雑化するなかで、行政の管理・監督が後手に回っている現状が浮き彫りになった。
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近年、中国ではインターネットを通じて食品を消費するのがブームとなり、ECサイトで「純天然」「無添加」をアピールする自家製食品の販売や、オンライン飲食サービスが急速な発展を遂げている。しかし、インターネットを通じた食品販売や飲食サービスをめぐっては、食品生産に対するハードルが低く、安全性の監督・管理が行き届いておらず、消費者の権益が侵害された場合の対処が困難といった新たな課題も浮上している。中国消費者協会と「人民網」によると、2017年に最も注目された「消費者維権(権利擁護)」案件のなかでは飲食のネット注文サービスが4位にランクインした。