じじぃの「科学・芸術_772_現代中国・社会を変える若い世代」

「戦狼2」でアカデミー賞狙う中国にネットで嘲笑 20171008

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_7gvHvWZLG0

戦狼2

世界興収1,000億円『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』は中国の国策プロパガンダ映画か?ルッソ兄弟の参画とウー・ジンの執念が生んだもの

 2018.1.20 スパイス
日本でも公開中の映画『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』は、2017年7月28日に本国中国で封切られると、わずか7日でチャウ・シンチー監督『人魚姫』の記録を超えてアジアの歴代興行収入を塗り替えた。
同年8月18日には観客動員数が1億4,000万人に達し、映画史上における“単一市場の観客動員数”の世界新記録を樹立。その後もヒットを続け、『スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐』などを抑えて世界歴代54位となる約1,000億円の興行収入を記録し、『千と千尋の神隠し』の3倍にあたる数字を上げるに至っている。
この記録は中国国内メディアだけでなく、世界各国のエンタメ誌や経済紙もとりあげ、大きな話題となった。
https://spice.eplus.jp/articles/167950

『現代中国を知るための52章【第6版】』

藤野彰/編著 赤石書店 2018年発行

社会を変える「80後」「90後」 起業意欲の富む一方で愛国心も旺盛 より

一人っ子政策の実施(1979年)後に生まれた「80後(パーリンホウ=1980年代生まれ)」「90後」世代が今や中国社会の一大勢力になりつつある。第6階人口センサス(2010年)によると、「80後」世代は2億2899万人を数え、「90後」も1億7400万人に上がっている。約13億7000万人の総人口に占める総世代の両世代の比率は合わせて29.3%と、全国民の3割近くにも達している。改革・解放後に生れ、高度経済成長がもたらした豊かさに浸かり、インターネット普及に代表される情報化にもまれながら育ってきた彼らは、それより上の世代と比べ、考え方やライフスタイルに大きな違いがあると言われてきた。「80後」と「90後」の間にも異なる特徴が多いため、量世代のリアルな群像を描き出すのは難しいが、一般的なイメージとしては「目立ちたがる」「自己主張が強い」「個性を大事にする」などが指摘されている。
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近年、中国では高度成長が終焉し、経済の減速傾向が鮮明になり、特に弱年層の若者にとっては、努力しても以前ほど成功できるチャンスが少なくなってきている。また、厳しい雇用環境や大都市における不動産の高騰にも直面し、若者は自身のキャリアや将来に希望を見出せないでいる。大都市で就職するために、北京の郊外で生活する「蟻族」(安定した職を持てない大卒者)や「ネズミ族」(劣悪な環境で暮らす出稼ぎ者)のなかにはこのような若者が多く含まれている。
こうした社会背景は「省エネで生きよう」と考える「仏系青年」の大流行につながる一因である。『人民日報』もオピニオン欄で掲載したコラム(2017年12月13日付)で「仏系青年」は「90後」世代が自嘲気味に使う言葉であると指摘し、「仏系」という生き方は競争社会に対する、彼らの1つの対処法でもあると分析した。
一方、チャレンジ精神に富む「90後」や「00後(リンリンホウ=2000年代生まれ)の若者は「仏系」とは一線を画し、国内での競争から離れ、海外留学を目指す傾向が強い。中国教育者の発表によると、2017年の海外留学者数は60万8400人に上り、このうち私費留学者が54万1300人と、全体の88.97%を占めている。また、2017年11月、中国大手留学エージェント「金吉列海外留学諮詢服務有限公司」が新浪教育と共同で発表した「2017ー2018年度留学白皮書(白書)によると、留学の主な目的も従来の「名門校への憧れ」「良い職に就く」から「国際的な視野と人脈を広げる」「健全に人格を構築する」へと変化してきている。
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2017年7月27日に公開され、中国史上最高の興行収入を記録した映画『戦狼2』からも、「80後」「90後」世代の愛国観が垣間見える。中国の元軍人がアフリカで反乱に巻き込まれた人びとを救うため、傭兵軍団と死闘を繰り広げるといったストーリーの作品で、「人民解放軍の宣伝映画」などと酷評する声もあったものの、迫力あるアクションや戦闘シーンの娯楽性だけでなく、愛国心をかき立てる筋立てが監局を引き寄せ、特に若者の間で圧倒的な人気を博した。中国の映画専門サイト「猫眼電影」の統計によると、『戦狼2』の観客の8割以上は「80後」「90後」世代だった。