*Classical Guitar - Memories of the Alhambra by Francisco Tarrega (1896)
動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GNimAU--9kI
*A view of the Alhambra, Spain
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*ワシントン・アーヴィング、『アルハンブラ物語』
2012-12-01 本読みの日々つらつら
“月光に洗われた、アルハンブラのこの夢のように快適な夜の情景を、どう描いたら分かってもらえるだろうか。夏の夜の大気は、霊気そのもの、この世のものとは思われない。この肉体は、霊化されて、天上に連れ出されたようだ。魂は浄められ、霊の眼で見、足は翼のように軽くなり、ただこうして存在するだけで幸福だ。” 177頁(上巻)
https://blog.goo.ne.jp/rinakko_may/e/d4aba1d5e3aaa67f03076cec7e0b8c0d
*『アンダルシアを知るための53章』
立石博高、塩見千加子/編著 赤石書店 2012年発行
*外国人文学者から見たアンダルシア より
スペインから見て北の隣国フランスでは、19世紀、ちょっとしたスペイン・ブームがあった。ヴィクトル・ユゴーの戯曲『エルナニ』(1830)はフランスのロマン主義演劇を決定づけた作品だが、これが16世紀スペインを舞台にしている。この戯曲が発表された年にスペインを訪れたプロスペル・メリメが、その旅をもとに書いた『カルメン』(1845)は、同じくフランス・ロマン主義を代表する小説で、読者も多い。
このうち『エルナニ』はともかく、『カルメン』は部隊をセビーリァやコルドバのアンダルシア地方にとった作品だ。美しいロマ(ジプシー)の娘カルメンに翻弄された若き軍人ドン・ホセが、軍隊での身分を失って山賊に身をやつし、恋敵を殺し、しまいにはカルメンをも殺すという破滅型の恋愛の物語で、ピゼーのオペラや数々の映画によってもよく知られている。しかし、じつはそんな物語以上に原作を魅力的にしているのは、作者メリメの披露するスペインやアンダルシア地方、あるいはロマの生活や言語などについての蘊蓄(うんちく)だ。1804年前のアンダルシア入門として格好の作品。ちなみに、カルメンが働いたとされるタバコ工場の建物は、セビーリァ大学本部棟として現存する。
やはりフランス・ロマン主義を代表する作家テオフィル・ゴーチエは1840年にスペインを旅して、『エルナニ』などを思い出しながら各地を歩いている。45年に『スペイン紀行』として刊行されたその旅行記には、、マドリードを耐え難く思うゴーチエが、アンダルシアのことはたいそう気に入ったことが記されている。たちえばアルハンブラに魅了され、「大いに夢中になっていたので、毎日そこに住んでみようと思った」のだとか。そして「4日4晩滞在したが、それは確かにぼくの人生を最も甘美な瞬間である」(桑原隆行訳、法政大学出版局、2008年)とまで述べている。
ゴーチエよりも先に、そしてもっと長くアルハンブラ滞在を楽しんだのがアメリカの作家、外交官ワシントン・アービングで、1829年のアンダルシア旅行を記した*『アルハンブラ物語』
(1832)は、このイスラーム・スペインの建造物を永遠のものにした。
20世紀に張ってからは、チェコの作家カレル・チャペックが『スペイン旅行記』を残している。1929年にスペインを旅した彼は、アルハンブラを見学しながら、ヨーロッパの建造物は立ったりひざまずいたりして眺めるのに適しているのに対し、イスラームの建築は寝そべってみるためにあると、「つまり、尽きることなく夢想にふけるという目的のために」(飯島周訳、ちくま文庫、2007年)あると指摘している。
これはなかなか興味深い。