じじぃの「心の起源・多細胞生物・心とは何だろう!世界を知る101冊」

What is Compassion? 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=9-UZ0hn_Tpc
 共感・共苦 compassion

世界を知る101冊――科学から何が見えるか』 海部宣男/著 岩波書店 2011年発行
心の起源――生物学からの挑戦 木下清一郎著/中公新書 '02 より
私たち人間は一人ひとり、心という不思議なものを持っている。心に支配されている、と言うべきかもしれない。
  花みれば、そのいわれとはなけれども、心のうちぞ苦しかりける
と、西行さんの歌にもあったっけ。自分のものなのに、コントロールが効かない。心とは何だろう。
心を考えても、なにぶん考察している主体が心自身だから、自己撞着(どうちゃく)はある程度避けられない。それを前提に置きながら、練達の生物学者が、不可思議極まる「心」に向き合った。「心を科学的に追いかけたって、意味があるのか」との疑問もあるだろう。だがこれまで取り上げた本にもあったように、心=精神が進化とともにあらわれ発達してきたことは、否定できない。明日を考え、想像をめぐらし、死を意識するようになった人間の心が、宗教や芸術を含む広大な世界を作ってきた。その成り立ちから考察することで、心の奥にひそむ構造や限界、発展の可能性が少しずつ理解されてきたら、大きな意味を持つのではないだろうか。
じっさい、人間の心の科学的理解をめざす学問の発達は、著しい。現代人の心を生物進化の産物としてみることで理解していこうとする進化心理学も、注目される。そうした中で著者は生物学、とりわけ発生学を基礎に、心の発生と進化に迫る。ユニークなアプローチだ。とかく「まともな研究者はほかの分野に手を出すものではない」とされ、結果として新しい分野はほとんど海外から輸入せざるを得ない日本でこうした著作が出ることも、愉快である。
中味を、つまみぐいしてみよう。著者はまず、心の基礎は記憶だという。記憶がなければ、過去未来の時間概念や空間の概念も生まれない。記憶には、いろいろなレベルがある。内分泌系や免疫系でも、遺伝子が仕込んだ記憶が外からの刺激に反応する。だが動いて餌を採るために神経系を発達させた「動物」で、記憶は多様化した。発生学から見ると、知覚の神経系と行動の神経系は並行して発達する。それを結ぶ介在神経が、判断の中枢として脳になってゆくというのも、面白い。
一方、内分泌系だけでも、個体として充実したか否かといった「気分的な」感覚を生物は持ち得るのではないかと著者は考える。神経系をもたない植物はさしずめ、「気分のみの世界」で生きているのかもしれない、のだそうだ。だからと言って、植物に話しかけても、神経系がないのだから反応してくれません。
もう1つ、単細胞生物は、際限ない分裂を繰り返すので、基本的に不死である。ところが細胞が集まった多細胞生物は、わずかな生殖細胞を除いて、死ぬ運命になった。その多細胞生物の脳に生まれた人間の心は、死すべき存在であることを自ら悟ったために、切に不死を願う。そういう不合理さを最初から抱えているのが、私たちの心というものであるらしい……。むろん大きな課題への試論だし、私にしてもすべて納得というわけにはいかない。物質世界の「自己展開」を支配する法則として、筆者はエントロピー増大則を挙げる。わたしなら、かわりに宇宙膨脹を挙げるかな。そういう見解の異同はあろうとも、十分に刺激的で考えさせる本なのである。
本能による記憶から進んで、経験による入れ替えができる記憶が登場すると、「選択」が可能になる。それが自由意志、すなわち「心」の出発点となる。心を持つことは生命にとっては危険でもあったという著者の指摘は、とても重要である。それまでは本能という、進化の中で、一応は証明済の方針に従っていれば、なんとか生きのびていられた。しかし自由な選択は、間違うかもしれない。自由選択が有効であるには、生存のためのより正確な知覚、豊富な記憶、すばやい照合が必要になる。そうした必要に基づく意識の発達は遺伝子を越え、新しい発展の可能性を開いた。

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どうでもいい、じじぃの日記。
心とは何だろう。
デカルト心身二元論を唱え、脳の「松果体」を物質と精神が相互作用する場所とした。
この論理でいえば、植物は脳を持たないので「心」は存在しないことになる。
「その多細胞生物の脳に生まれた人間の心は、死すべき存在であることを自ら悟ったために、切に不死を願う。そういう不合理さを最初から抱えているのが、私たちの心というものであるらしい」
それでは人間らしい心の持ち主とは。
サイコパスは「良心」と「共感性」が欠落しているらしい。
大人の発達障害のじじぃ。良心と共感性に問題があります?