FOR KIDS - The Cow's Stomach video 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iHpVGJ2RhDk
ウシの胃
輝け!イグ・ノーベル賞 牛のふんからバニラの香り 時事ドットコム
牛のふんからバニラの芳香成分「バニリン」を抽出することに成功した山本麻由さん(国立国際医療センター研究所勤務)が2007年の「化学賞」を受賞した。
https://www.jiji.com/jc/d4?p=inp014-jpp05598955&d=d4_mm
『土と内臓 (微生物がつくる世界)』 デイビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー/著、片岡夏実/訳 築地書館 2016年発行
地下の協力者の複雑なはたらき より
落ち葉(と木材チップとコーヒーかす)による庭のマルチは、まず歯や歯のような器官――噛みつぶし、刻み、切り、裂くもの――を持つ生物を引き寄せた。こうした生物は、骨や靴やテニスボールでいっぱいの部屋に放たれた犬の群れと同じようなことをする。
この犬のような土壌生物には、たいていの園芸家にとってなじみ深いもの、ハサミムシ、甲虫類、ミミズなどがいる。こうした生物から、有用な栄養が有機物から引きはがされるプロセスが始まり、最後に炭素、窒素、水素の単純な化合物程度が残る。ミミズは歯もないのに見事な働きをする。鳥のように、ミミズには口と胃のあいだに砂嚢があって、中には細かい岩のかけらが入っている。それでどろどろになった落ち葉やその他の有機物をすり潰して、粒子をどんどん小さくする。ミミズは1日に体重の10〜30パーセントを吸い込み、有機物を混ぜ合わせて、できたものを土の中に放出する。ウシの胃の中のように、ミミズの体内では細菌の魔法のように働いて有機物と造岩鉱物を栄養分に分解し、宿主が吸収できるようにする。ミミズが利用しないものは土の中に排出される。
もっと小さなダニやトビムシ(10倍の拡大鏡で見ることができる)が行動に加わる。枯れ葉を葉脈以外すべてかじりとって、レースのような細工物を残しているのは、これらの生物だ。このような活動により有機物は顕微鏡サイズにまで切り刻まれ、水分と養分を含んだ糞粒と混ざって、菌類と細菌にとっての栄養たっぷりな餌となる。ミミズと違い、微生物には歯もあごも、細かい岩のかけらが入った砂嚢もない。微生物に口は必要ない。酸と酵素で有機物をしゃぶるのだ。
こういった小さな働き者たちは、ミツバチよりもいそがしく、ウシの第1胃で起きていることに似た仕事をしている。それは有機物を分解しているだけではない。植物が必要とする栄養、微量元素、有機酸と分配という役割も果たしている。つまり、植物は有機物を直接吸収していなくても、有機物を養分として分解する土壌生物の代謝産物を吸収しているのだ。