じじぃの「科学・芸術_614_ダークマター(暗黒物質)」

Dark Matter 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=IhG1kHbRppY

あのハーバード大教授リサ・ランドールが幽霊・超能力・異次元の愛について語った! 今後の研究テーマにも言及!(インタビュー) 2016.07.06 tocana
――最後にお聞きします。博士の今後の研究はどのようなテーマに焦点を合わせたものになるのでしょう?
ランドール  ダークマターの研究には、課題がたくさんあります。少しずつ進んできてはいますが、まだその特質さえよくわかっていません。この本にまとめた理由は、未だに網羅しきれていない可能性について見出すためでもありました。しかも、たとえそれが正しいかどうかわからなくても、もう一度どのように取り組んだらいいかを改めて考え直させてくれるのです。ダークマターの検知、天文学宇宙論に関することなど。そしてこれからは、現存するデータをどのように解釈するかという点を突き詰めていきたいですね。
http://tocana.jp/2016/07/post_10231_entry_3.html
Kyoto University High Energy Physics Group Home Page
●ATLAS実験グループ
スイスジュネーブ郊外にあるCERNLHC加速器を用いて世界最高エネルギーの陽子同士を衝突させるATLAS実験を行っています。 ダークマターの候補にもなっている超対称性粒子や誰も予想しなかった物理法則の発見が期待されています。
https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/
『宇宙の扉をノックする』 リサ・ランドール/著、向山信治、塩原通緒/訳 NHK出版 2013年発行
ダークサイトからの訪問者 より
素粒子物理学宇宙論とのあいだには多くのつながりが存在しているが、なかでもとりわけ興味深いのは、ダークマターがまさにLHC(大型ハドロン衝突加速器)で探られる予定のエネルギースケールで生じるかもしれないということだ。ぞくぞくすることに、ウィークスケール質量を持った安定した粒子がもしも存在しているのなら、初期の宇宙から今日まで生き残っているその粒子によって担われるエネルギーの総量は、ちょうどダークマターを説明するのにふさわしいと思われる量なのだ。実際、最初は熱かった――が、のちに冷えてきた――宇宙の名残りとして今日に存在しているダークマターの量を計算してみると、たしかにその可能性はかなり高いことが実証されている。つまりダークマターは文字どおり目と鼻の先まで迫ってきているだけでなく、その正体までもが明らかにされるかもしれないのである。
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ダークマターの密度はすでにわかっている。ダークマターが冷たい(つまり光速に比べてゆっくり運動している)ことも、きわめて弱くしか相互作用せず、とくに光とは有意な相互作用を絶対にしないこともわかっている。いわばダークマターは透明なのだ。一方、わからないのはダークマターの質量であり、重力を介さない相互作用をするのかどうかであり、そもそもどうやって初期の宇宙で生じたかである。ダークマターの平均密度はわかっているが、この銀河内の1立方センチメートルあたりに陽子1個分の質量があるとも考えられるし、陽子1000兆個分の質量がコンパクトな天体に詰め込まれて全宇宙に1立方センチメートルごとに散らばっているとも考えられる。どちらの場合でもダークマターの平均密度は同じになるし、どちらの場合でも構造形成の種は植えつけられる。
このように、宇宙にダークマターがあることはわかっているが、その本質についてはいまだ不明だ。それは小さなブラックホールでもありうるし、別次元からきた物質でもありうる。しかし最も可能性が高いのは、ダークマターが単なる新しい素粒子で、ただし通常の標準モデルの相互作用はしない素粒子だということだ。もしそうなら、それはまもなく発見される物理理論の安定した中性の残存物として、ウィークスケールエネルギーであらわれてくるかもしれない。しかし本当にそうだったとしても、そのダークマター粒子の性質については依然として不明である。その質量も、相互作用も、それがもっと大きな新粒子カテゴリーの一部なのかどうかもわからない。
ダークマター素粒子とする解釈が現在有力である理由のひとつは、前述の条件であるダークマターの存在量と、担っているエネルギーの比率が、この仮説に合致するからである。驚くべきことに、LHCで探られる予定のウィークスケールエネルギーと(例のE=mc2を通じて)同じぐらいの質量を持った安定した粒子は、現在の残存密度(その粒子に蓄えられているエネルギーの宇宙全体での比率)が、ちょうど必要とされているダークマターの密度と同じような値になるのである。