じじぃの「種なしスイカの作り方・植物の防御システム!ヒトはなぜ病むのか」

種なしスイカ

世界まる見え! 「今日も世界は謎だらけ! ミステリークイズSP」 2018年5月7日 日本テレビ
【司会】ビートたけし所ジョージ 【ゲスト】荒俣宏滝沢カレン武田鉄矢トレンディエンジェル松井玲奈
●世界の不思議な気象現象
大自然が作り出す、目を疑うような不思議な現象や気象が及ぼす思いがけない出来事を捉えた貴重な映像をご紹介します! アリゾナ州の《空から降ってきた巨大な氷の塊》やドミニカの<危険すぎる湖>など。
【クーズーが大量死した原因は何?】
1980年、南アフリカ共和国・リンポポ州にある国立公園で、ウシ科の草食動物“クーズー”が次々と死んでいく現象が起きた。
原因は、たくさんのクーズーに葉っぱを食べられたアカシアが、自分の身を守るために大量のタンニンを生成し、それを食べて消化が出来なくなったクーズーが次々と死んでいるというものだった。さらに、アカシアはエチレンガスを放出し、そのガスを受けた仲間のアカシアもタンニンの量を増やしていたことが分かった。
http://www.ntv.co.jp/marumie/
『ヒトはなぜ病み、老いるのか―寿命の生物学』 若原正己/著 新日本出版社 2017年発行
植物の防御システム より
植物は自ら動くことができず受け身だから寄生にはやられっぱなしのように思えるが、彼らも立派に防御している。1番わかりやすいのがアルカロイドと総称される防御物質だ。除虫菊が作るピレスチンがその代表だ。これを用いて蚊取り線香を作り、さらにそれに似た多様な物質を合成して殺虫剤にしている。植物はヒトが殺虫剤を作る以前に自ら虫の食害を防御する物質を進化させてきたことがわかる。
タバコのニコチンも植物の作る物質で、ヒトはそれを吸引して脳を麻痺させているが、もともとは苦味物質で、動物に食害されるのを防ぐ意味があったのだろう。その他、有名なのはアヘン、モルヒネ、カフェイン、茶や柿に含まれるにがみ物質タンニンなどの物質もその仲間だ。松が作る松やにもそのたぐいだろうし、漆もそうした防御物質の一種として植物が作っているものだ。
生物学・医学の分野ではコルヒチンが有名だ。イヌサフランの実や球根に含まれるアルカロイドで、細胞分裂時にできる染色体を両極に引っ張る紡錘糸を溶かす作用がある。紡錘糸が溶ければ細胞分裂前に2倍になった染色体が分裂できない。もともと2nだった染色体が、細胞分裂時に2倍(つまり4n)になる。コルヒチン処理で紡錘糸が溶けてしまうと染色体が分かれないので、結局4倍体の個体が生じる。それを普通の2倍体の植物と掛け合わせると3倍体の植物ができるが、3倍体は減数分裂がうまくいかないので結実できない。それが「種なしスイカの作り方の原理だ。
コルヒチンは細胞分裂を阻害するから、抗ガン剤としても使用できる。しかし、副作用が強すぎるので、今はあまり使われていない。その代わりにイチイの樹皮からとられたタキソールなどが抗ガン剤として活躍している。