じじぃの「科学・芸術_582_メタン発酵・芋エネルギー」

芋エネルギー動画VOL.3【 ついに登場!!芋エネルギー発電機】 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9zJfVEC0CPA
イモ発電計画のイメージ (shigahochi.co.jp HPより)

「イモ発電」でエネルギー地産池消へ 2016年1月5日 滋賀報知新聞
湖南市では太陽光発電の市民共発電所の設置や、自然再生可能エネルギーを地域経済の活性化につなげる地域自然エネルギー条例の制定など、自然再生可能エネルギー拡大への取り組みが進められている。
イモ発電が同市で注目されたきっかけは、イモ発電の実用化を研究する近畿大学生物理工学部の鈴木高広教授の講演だった。イモ発電のメリットは、原料となるサツマイモを大量栽培する過程で二酸化炭素を吸収するだけでなく、栽培などに障がい者や子どもでも参加できる点だ。
http://www.shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0020032
『人を幸せにする目からウロコ!研究』 萩原一郎/編著 岩波ジュニア新書 2014年発行
芋エネルギーが地球を救う 【執筆者】鈴木高広 より
芋エネルギーの研究と聞くと、たいていの人は重要なテーマだとは思わないようです。では、エネルギーとはなんでしょうか。主なものは、石油、石炭、天然ガス原子力、水力ですね。日本が1年間に使うエネルギーのうち約98%をこれらの燃料や資源が占めます。太陽光、風力、バイオマス再生可能エネルギーとして注目されていますが、こちらはほんの2%程度です。98%と2%の違いの理由はなんだと思いますか?
産業構造、科学技術や歴史的背景、利便性、埋蔵量、燃焼効率など、どれもが理由の1つです。しかし、それ以上に大きな理由は経済性です。化石燃料原子力はアンカゆえに普及し、価格が高い再生可能エネルギーは普及率が低い。これが、現代のエネルギ0事情です。
経済性を優先し安価なエネルギーを大量消費してきた人類は、地球温暖化ガスや放射線汚染など、数々の深刻な事態に直面しています。環境に負荷を与えない安全なエネルギー、廃棄物や副産物の問題を生じない安価な燃料資源の開発が強く求められるのです。その1つの可能性が芋エネルギーです。芋エネルギーの研究は、地球上ですべての生物が安全に暮らしてゆくためも必要な、未来を担う重要な研究テーマなのです。
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芋を大量に生産できることを知ってもらうとともに、芋の収益性を高めることで、大量栽培法を普及することが狙いです。
次に、芋エネルギーの利用方法です。芋を乾燥して燃やす方法は、小さな火力発電機では効率が低いため経済性が見込めません。ところが戸別発電機でも経済性を見込める方法があります。メタン発酵です。
バイオマスエネルギーの大抵の研究者は、アルコール発酵を行えばよいと考えます。しかし、芋からアルコール発酵をおこなった場合は、蒸留精製工程で大量のエネルギーが必要です。国内のバイオアルコールの製造プラントでは、この工程で化石燃料を燃やしています。したがって、製造コストもCO2排出量も削減することができません。
これに対し、メタン発酵はメタンの分離も精製も容易です。得られたメタンは天然ガスの主成分と同じ分子なので、都市ガスに混ぜて使うこともできます。都市ガスを利用した家庭用の発電機は、燃料電池型のエネフォームやガスエンジン式のエコウィルという商品名ですでに市販されており、給湯も行えます。つまり、芋からメタンガスをつくれば、電気やお湯を沸かすための家庭用発電給湯機が、すでに街に普及しているのです。
芋からメタン発酵を行う方法は、とても簡単です。家で誰でも実験できます。2リットルの大きさの空(から)のペットボトルに、すりつぶした芋を10gと水0.5リットル加え、メタン発酵菌と補助剤を少量添加します。次に、容器を押しつぶして空気を追い出したのち蓋(ふた)をして体温程度の温度に保温します。すると2日後には発生したガスが容器をパンパンに膨らませます。膨らんだ1.5リットルのガスのうち半分はメタンです。蓋をとって火を近づけると、ポンッと軽く破裂してメタンガスができていることを確かめることもできます。
このように意味を大量に栽培することも、メタンガスにすることも、難しい技術ではありません。
課題は経済性です。安価で高効率の芋栽培システムや小型メタン製造装置をつくることが、最大の研究課題です。