じじぃの「科学・地球_367_気象の世界ハンドブック・行動のとき・エネルギーの選択」

2017 global new investment in clean


Solar boosts 2017 level of clean energy investment

●INVESTMENT CATEGORY
As usual, the largest category of clean energy investment in 2017 was asset finance of utility-scale renewable energy projects of over 1 MW. At USD 216.1 billion, it was up fractionally as compared to 2016. With USD 160.8 billion in attracted financing, solar was the leader with a 48% share of the total clean energy investment in 2017. The two biggest projects were both solar -- the 1.2-GW Sweihan and the 800-MW Sheikh Mohammed Bin Rashid Al Maktoum III in the UAE.
Investment in small-scale solar projects of less than 1 MW amounted to USD 49.4 billion, growing 15% on the year.
Investment in the wind sector came at USD 107.2 billion, down 12% year-on-year, while spending on energy smart technologies was up 7% to USD 48.8 billion.
https://renewablesnow.com/news/solar-boosts-2017-level-of-clean-energy-investment-598546/

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

行動のとき より

気候にかんする学際的で国際的な科学研究がはじまってまもなく30年、おかげでわたしたちは気候変動の正確な分析を手にすることができている。この変動の背後にくっきりと影を落としているのが産業革命だ。それを機に、化石燃料が人間活動全体に導入され、そうしてわたしたちは現在、生活様式を見なおさざるをえなくなっている。

現在進行中の転換は、おもに2つの軸に沿っている。温室効果ガス排出の軽減、さらには削減と、もはや避けられない気温上昇のさまざまな結果に、わたしたちの社会が適応することだ。

エネルギーの選択

化石燃料から再生可能エネルギーへの移行は、前代未聞かつ全地球的規模の体験である。化石エネルギーの世界をすてるのは、波大抵なことではない。そこから開ける未来には、多くの発見と実験的な試み、危険な駆け、イノベーションがある。それらの背後に浮彫になるのは、社会の政治的なヴィションと、科学との関係、さらにはそれへの適応だ。いずれにしろエネルギー源を早急に変えることが必要で、そのための選択がせまられている。

エネルギーの移行に向かって

より「環境にやさしい」エネルギーのために化石エネルギーのために化石エネルギーをすてるには、代替エネルギー源の開発にくわえ、世界的に増大しているエネルギー消費を抑制することが絶対に必要となる。石油資源の枯渇に先手をうついっぽうで、すべての国が先進国の生活レベルにいきつけるようにもしなければならない。目標は、2050年までに二酸化炭素の世界的な排出量を半減することである。
世界的規模の実験的試み。
エネルギーの移行は、電力の生産や、そのなかに占める再生可能エネルギーの割合だけで言いつくされるものではない。そこにはエネルギー消費量を減らすことや、エネルギー効率の向上(建物、モーター、機械…の)、輸送での代替モータリゼーションを整えることも、そしてまた、石油化学の大転換もふくまれる。各国はこの移行に向け、それぞれの国情に応じて取り組んでいる。自国の再生可能資源、技術的な方法、これらのエネルギー源の国民による受け入れ具合、そして環境へのリスク評価(石炭、二酸化炭素原子力発電と放射能風力発電、鳥類への影響ほか…)などである。

再生可能か、核エネルギーか?

核エネルギーの維持、さらには開発を支持する一派は、原発が気候にやさしい(二酸化炭素を排出しない)ことと、競争力のあるコストを主張する。さらに再生可能エネルギーは生産が間欠的であることや、その原価を槍玉にあげ、原発は即座に必要なエネルギーを供給できると主張する。対して、再生可能エネルギー支持派は、断続性は予測不可能ではなく、この問題はメタン化の過程を改良することで解決できると強調する。水と炭酸ガスからメタンを製造する方法は、フランス人化学者ポール・サバティエによって創案され、この業績によって1912年のノーベル化学賞を受賞したものだ。この方法では、ガスの形でエネルギーを貯蔵でき、発電タービンを回転させて、約30パーセントの効率で電力を得ることができる。再生可能エネルギーとしてのコストの問題は、支持派によると、産業化で調整できるという。
いっぽう、「新顔の」再生可能エネルギー(主として風力と光起電力[太陽光発電])は、世界で急速に発展している。
しかし、世界のエネルギー供給への貢献度ではいまだにわずかなままだ。いくつかの国(デンマーク、スペイン、ドイツ、アメリカなど…)は、これらのエネルギーを開発する野心的な計画を実施しているが、しかし、その成長は緊急を要する気候変動に対してはまだ不十分だ。
核エネルギーもまた、たとえばフランスのように、仮にエネルギーの移行に欠かせないとしても、世界の国全体が導入できる状態からはほど遠く、ウランへの依存や、それによって生じる地政学的な問題は残っている。