じじぃの「科学・芸術_560_自動運転車・Easy Ride」

【企業】日産とDeNAが「Easy Ride」で目指す未来 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9q4cInoT99M
「Easy Ride」の実証実験

日産三菱・ルノー、上半期の世界販売が2年連続1位 2018年7月27日 朝日新聞デジタル
2018年上半期(1〜6月)の自動車の世界販売で、日産三菱・ルノー連合が553万8千台となり、上半期としては2年連続で首位となった。2位は独フォルクスワーゲンVW)の551万9千台、3位はトヨタ自動車の520万9千台。
https://www.asahi.com/articles/ASL7W4R8ML7WULFA01V.html
『EVと自動運転――クルマをどう変えるか』 鶴原吉郎/著 岩波新書 2018年発行
自動車産業の未来 より
2018年1月8日、米国ラスベガスの高級ホテル、マンダレイ・ベイ・リゾート&カジノのカンファレンスルームだ。ここでトヨタ自動車の豊田章社長が発表したのがモビリティ・サービス専用の自動運転EV(電気自動車)のコンセプト車「e-Palette Concept」である。このコンセプト車を詳細に見ていくと、次世代のクルマに対するトヨタの考えた方が凝縮されていることが分かる。
プロローグでも触れたように、このコンセプト車は、これまで「所有することに喜びを感じられるクルマ」にこだわってきたトヨタが「モビリティ・サービス・カンパニー」へと大きく方向を変えたことを象徴する画期的なクルマだ。「サービス化」へと舵を切るのはトヨタだけではない。ドイツ・ダイムラーは、すでにカーシェアリング事業(Car2Go)を自ら手がけているし、あるいはドイツ。フォルクスワーゲンも、ドライバーを必要としないサービス用のEVのコンセプト車「SEDRIC」を2017年3月のジュネーブモーターショーで発表するなど、クルマの「サービス化」に対して手を打ち始めている。
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Easy Rideの特徴は、日産単独ではなくDeNAと協力してサービスを設計した点にある。DeNAはインターネットサービスを主力とするIT企業であり、サービスの設計にかけては完成車メーカーよりも、1日の長がある。実際、Easy Rideを使いためのアプリやサービスはかなり完成度が高く日産単独でこのサービスを設計していたら、ここまでのレベルには達しなかったかもしれないと思わせる。
その最たるものは、単なる移動だけでない楽しみをユーザーに提供しようとしている点だ。Easy Rideを使うためのアプリでは、目的地を直接設定する以外に「やりたいこと」をテキストまたは音声で入力し、お薦めの候補地を表示させてその中から選択することもできる。例えば「パンケーキを食べたい」とスマートフォンに呼びかけると、走行ルート周辺のお勧めのパンケーキ店を案内してくれるという具合だ。
先ほど触れたように、Easy Rideの実証実験では車両に乗降できるのは4ヵ所だけなのだが、このスマートフォンのアプリでは、最終的な目的地まで、車両を降りたあともユーザーを誘導する。単に車両を利用するだけに終わらず、ユーザーの体験(エクスペリエンス)全体をカバーするようにきめ細かくサービスが設計されているのだ。
もう1つの特徴は、走行中に走行ルート周辺のスポットや最新のイベント情報など約500件の情報を車載タブレット端末に表示することだ。こうした周辺の店舗などで使えるクーポンを40件程度用意しており、それを自分のスマートフォンにダウンロードして使うことができる。
このように「移動」と「広告」、「クーポン」を組み合わせたビジネスは将来の移動サービスの重要な要素になると考えられるが、Easy Rideではそれを先取りしている。
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そしてもう1つ、今回の日産とDeNAの記者発表で印象的だったのが、タクシー業界や地域の商店など、既存の産業と強調していく姿勢を強調したことだ。まず地域の商店との協調については、今回の実証実験で周辺の一部の店舗にクーポンを提供してもらうなど、すでにスタートしているが、今後についても、ユーザーを直接店舗に連れてくるEasy Rideのサービスは「もともとリアルな店舗と相性がいい」(DeNA執行役員でオートモーティブ事業本部長の中島宏氏)として提携店舗と地域経済との連携をさらに拡大する方針だ。