じじぃの「科学・芸術_537_サイトカイン・インターロイキン(IL)」

Cytokines - IL-1, IL-6,IL-8, IL-12 & TNF-alpha - Secreted by macrophages 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YAtLnIxWK0o
 インターロイキン8(IL8)の立体構造

Interleukin
●IL-1:Interleukin-1
・IL-1は、IL-1αとIL-1βが存在し、同じレセプターに結合することが知られている。生体内で産生されるIL-1は90%がIL-1βであり、単球をはじめ、樹状細胞や好中球、T細胞、B細胞、マクロファージ、内皮細胞、滑膜表層細胞から産生される。IL-1の産生は、LPS刺激、TNF- a刺激、Th細胞の相互作用などで惹起される。
●IL-2
・IL-2は、主に活性化T細胞(Th1細胞)から、その他、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、CD8+T細胞(細胞障害性T細胞:Tc細胞)から産生される。
・IL-2の受容体はα鎖(CD25)、β鎖(CD122)及び共通γ鎖(CD132)の3つの細胞膜表面タンパク質から構成される。β鎖(IL-15と共通)はJAK1と、γ鎖はJAK3とそれぞれ会合し、MAPK経路、PI3K-Akt経路、JAK-STAT経路(STAT5など)によってシグナルを伝達する。
●IL-8(CXCL8)
・IL-8は末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、メラノサイトなどから産生される。LPSやクレスチン、IL-1、TNFなどの刺激で産生が誘導される。
http://www.geocities.jp/norihisamikami/interleukin.html
『カラー図解 分子レベルで見た体のはたらき―いのちを支えるタンパク質を視る』 平山令明/著 ブルーバックス 2018年発行
サイトカイン より
細胞はお互いに緊密に連絡し合い、生命活動を調和のとれたものにしている。1つの細胞が他を無視して増殖を始めれば、それは結局ガンということになる。お互いが自重しながら、最終目的のために協力している。そのために、細胞同士が連絡に使う一群のタンパク質分子(信号伝達タンパク質)があり、それをサイトカインと呼ぶ。
サイトカインは免疫を調節する働き、ガンを抑制する働き、ウイルスを駆逐する働き、細胞の増殖や分化を調節する働きなど、非常に重要な働きをしている。この調節がうまくいかないと多くの病気が引き起こされるので、サイトカインは医薬品になる可能性が高く、たくさんの研究や開発が行われてきた。サイトカインには、インターフェロンやインターロイキンなどがある。
インターフェロンには、一時「夢の抗ガン剤」ということで、非常に脚光を浴びた分子である。ウイルスに感染したほとんどの動物細胞はインターフェロンを作り、その破壊を免疫系にご注進申し上げる。免疫系はそれに対して、キラーT細胞やマクロファージという、感染した細胞専門の殺し屋を受けもつ特殊部隊を編制して、感染細胞の破壊を指示する。
また一方で、インターフェロンはウイルスに感染した細胞にウイルスに対抗する物質を作らせ、自力更生の指導にもあたる。ガン細胞にもこのような自力更生を促すので、「夢の抗ガン剤」と期待されたのである。しかし重い副作用もあることがわかり、「夢の」という部分がいささか色あせたが、現在でも様々のガンやウイルス性の疾患に用いられている。
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白血球は防御体制の1つの要であり、その防御体制を実際に運営するために一群の連絡要員を作り、個々に独自のミッションを与える。この連絡要員のことをインターロイキン(IL)と言う。インターロイキンとは英語で「白血球の間」という意味であり、文字どおり白血球の間の連絡係である。インターロイキンには、その働きによっていくつかの種類がある。
インターロイキン1(IL1)は侵略の第一通報者であり、この通報を受けてTリンパ球がスタンバイ状態になる。Tリンパ球のミッションは抗体の生産と標的細胞の破壊である。Tリンパ球が侵略者と闘っている間中、Tリンパ球を活性化した状態に保つのがIL2の働きである。インターロイキン8(IL8)というタンパク質は感染部位近くの白血球から分泌され、他の白血球を呼び寄せる役目を果たしている。難しい言葉で言えば、白血球の走化性因子である。感染部位にいる白血球はこのIL8をさながら照明弾のように打ち上げて、仲間の白血球の注意を促す。
図(画像参照)にヒトのIL8の立体構造を示す。IL8は二量体からなる。2つのサブユニットが共同してきれいな反平行の2本のβシート1枚と、その一方の面にあるやはり反平行の2本のαへリックスを構成する。著者は美しいタンパク質構造の1つに数えているが、いかがだろうか。また、IL8が免疫に関係するMHC分子と非常によく似た立体構造をとっているのは、偶然の一致だろうか。