じじぃの「デビル顔面腫瘍性疾患・伝染性のがん!病理学講義」

The wild Tasmanian Devil 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MnUOsPOPWAE
タスマニアデビル

絶滅危機のタスマニアデビル、「死の病」克服の兆し 2015.12.22 ナショナルジオグラフィック日本版サイト
繁殖期のタスマニアデビルが求愛行動の際に互いにかみつくと、感染している個体の腫瘍細胞が相手の傷口に入り込み、顔面に大きな腫瘍ができる。腫瘍が大きくなると餌を食べるのが困難になり、約半年で死に至る。
タスマニアデビルを病から守るため、タスマニア大学の免疫学者ブルース・ライオンズ氏を中心にワクチンの開発も進められている。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/a/122100054/
『こわいもの知らずの病理学講義』 仲野徹/著 晶文社 2017年発行
伝染(うつ)るんです より
タスマニアデビルは、顔は結構かわいく見えるのですが、文字通りの肉食で攻撃的な性格です。口はがばっと開き、鋭い牙を持っています。そしてエサをねぐって争うときに、タスマニアデビル同士が傷つけ合うことがよくあります。その際に、がんが「伝染」するのです。顔面に侵入したがん細胞が増殖して腫瘍を作り、いずれ餌を食べられなくなって死んでいきます
最初の論文を読んだ時はほんとうに衝撃的でした。悪魔が悪魔に宿ったのかと思ったほどです。伝染性はかなり高く、腫瘍細胞がクローンであることがわかっているので、もともとは1個だったものが、いまやタスマニア島全土のタスマニアデビルに広まっているのです。この病気のために、過去20年間で、14万匹いたと推定されるタスマニアデビルの8割以上が死に、絶滅危惧種に指定されるに到りました。さらに、第2のデビル顔面腫瘍クローンも報告されています。
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タスマニア州政府は、絶滅を防ぐため、腫瘍を持たない個体を小さな島に隔離し保護を始めています。また、タスマニア大学の免疫学者はワクチンの開発を進めていて、効果のあることが確認されています。しかし、保護区での生息数にはおのずと限界がありますし、ワクチンは4回も接種しなければならないので、いずれの方法でも、劇的な回復は望めそうもありません。しかし、ここ数年、どうやら減少に歯止めがかかってきました。
驚いたことに、タスマニアデビルが、進化によって、この伝染病のがんに抵抗性を獲得してきているようなのです。この病気が出現する前と、出現後20年ほどたった時点でのタスマニアデビルのゲノムが解析されました。その結果、2つのゲノム領域に変化が生じていることがわかりました。その領域には7個の遺伝子があるのですが、うち5個が、ヒトでの研究において悪性腫瘍と免疫機能に関係していることがわかっている遺伝子でした。
さらに驚くべきことは、この進化が、わずか20年、なんと4〜6代目の子孫において認められたことです。いかに、デビル顔面腫瘍性疾患がタスマニアデビルに強い進化の淘汰圧をもたらしたかがわかります。
もうひとつのおもしろい進化は、攻撃性の弱い個体の出現です。この病気が出現するまでは、攻撃性が強いことが、おそらく餌をたくさんとれるために、生存していく上で優位だったのです。ところが、腫瘍が出現してからは、攻撃性が強い個体は、相互の攻撃によって傷つきがん細胞に感染しやすいために、死ぬ確率が高くなってしまいました。その結果、進化の淘汰圧が逆向きになって、攻撃性の弱い個体が有利になってきたのです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
細菌やウイルスのように、伝染するがんがある。
タスマニアデビルは小さいときは結構可愛いが、大きくなるとうなり声が恐ろしいのと、動物の死体を食べることからデビル(悪魔)と名付けられた。
タスマニアデビルが口をがばっと開き、仲間同士でエサをめぐって傷つけ合うときに、がんが伝染するのだそうです。
「さらに驚くべきことは、この進化が、わずか20年、なんと4〜6代目の子孫において認められたことです。いかに、デビル顔面腫瘍性疾患がタスマニアデビルに強い進化の淘汰圧をもたらしたかがわかります」
タスマニアデビルが進化して、この伝染性のがんに抵抗性を持つようになったというのも驚きです。
がんとタスマニアデビルについてのお話でした。