じじぃの「科学・芸術_499_糖尿病・合併症(認知症)」

NHK認知症キャンペーン「要注意!認知症生活習慣病 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LoXqz0ARiPk
ガッテン!nhk.or.jp HPより)

ガッテン! 「物忘れ&認知症を予防!“記憶物質”大発見SP」 2018年5月23日 NHK
【司会】立川志の輔小野文惠 【ゲスト】宮本亜門光浦靖子山根千佳
●注意してほしいのはこんな人
いったいなぜ高血糖が物忘れを引き起こすのか。その鍵を握るのがすい臓から出るインスリンです。
インスリンは体の細胞に糖を取り込むよう指示を出し、血糖値を調整する役割を担っています。脳でも同様に働いていますが、食べ過ぎや運動不足などによって血糖値が高くなると、脳に届くインスリンの量が減ってしまうことがわかってきました。その結果、特に脳の中でもインスリンを必要とする記憶力や注意力に関係する機能に影響が出て、物忘れをしやすい状態になってしまうと考えられています。
血糖値に以下の特徴がある方は、高血糖が原因で物忘れが起きているかもしれません。生活習慣の見直しをお勧めします。
高血糖による物忘れをしているかもしれない人
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
  65歳未満の方 5.7% 以上
  65歳以上の方 6.2% 以上
  ※HbA1cは1〜2ヵ月の血糖値の平均を示す値です。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20180523/index.html
『健康・老化・寿命―人といのちの文化誌』 黒木登志夫/著 中公新書 2007年発行
糖尿病――恐るべき合併症 より
糖尿病のカギを握るのはインスリンである。血糖値を下げる役割を担っているインスリンが不足したり、効き方悪くなれば、血糖値が高くなり、糖尿病になるというわけである。インスリンの作用はかなり詳細に分かっている。インスリンが働く臓器は、主として肝臓、筋肉、脂肪組織の3つである。インスリンは、肝臓からブドウ糖グルコース)の放出を抑え、同時に筋肉と脂肪組織へのブドウ糖の取り組みを促進させ、血糖値を下げる。インスリンがこれらの臓器の細胞に到着すると、細胞膜のインスリン受容体を介して、インスリンが到着したことを知らせるシグナルを細胞内に送る。そのシグナルは最終的にブドウ糖の出入りを調節するゲートを開いたり閉じたりして、血糖値を調節する。
プロ野球投手の場合
新浦壽夫プロ野球記録はすばらしい。1968年ジャイアンツに入団し、92年に引退するまでの24年間に571試合に登板し、115勝をあげた。防御率1位が2回、78年には最優秀投手に選ばれている。85年韓国プロ野球に転身、3年後には日本のプロ野球にカムバックを果たした。
糖尿病が分かったのは、韓国三星ライオンズに移って2年目、正月休みで帰国した際にたまたま受けた健康診断であった。血糖値は200mg/dl(以下mg/dlを省略)近く、尿にも糖が出ていた。しかし、彼はその結果を深刻に受け止めなかった。チームメートから「やせたね」と言われることがあった。のどが渇くので、スイカを半分、ときには1個丸ごと食べるようなことがあったという。しかし、スイカは水分も多いが果糖も多く含まれている。糖尿病に良いはずがない。6月、登板前のキャッチボールをしているときに意識が朦朧としてきた。とても投げられる状態ではなく、急遽帰国し、入院した。血糖血は660、糖尿病性昏睡の一歩手前の状態であった。それ以来、自分で糖尿病を測定し、インスリンを注射するという生活に変った。
インスリンは劇的に血糖値を下げるが、下げすぎたときの低血糖症状が患者にとっては大問題である。ヤクルト・スワローズに移った年の巨人戦のとき、、マウンド上で低血糖症状が出た。目が霞(かす)み、指先に細かい震えが起こったため、野村監督に交代を申し出た。そのあとの広島戦を最後に引退することとなった。
その当時、インスリンを注射しながら活躍したプロ野球の投手がもう一人いた。88年ジャイアンツに移籍したガリクソン投手である。インスリンで血糖値をコントロールしながら21勝14敗の記録を残した後大リーグに復帰し、最多勝投手に輝いた。アメリカでは、病気やハンディキャップをもつ選手がそれを隠さずにがんばっている。しかし、日本の球界の雰囲気を知っている新浦には踏み切れなかった。
糖尿病であることを公にしたのは、プロ野球を引退したあとである。94年、徳島市で行われた日本糖尿病学会で、発病の経過、隠れてインスリン注射したことなどを話し、「これからはこの病気と仲の良い付き合い方をしたい」と話を終えた。