じじぃの「科学・芸術_478_インド叙事詩『マハーバーラタ』」

The Mahabharat In Hindi || with Animation - KidsOne 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=OSeJcvmVwBQ
叙事詩マハーバーラタ
口述する賢人ヴィヤーサ。マハーバーラタとは
「バーラタの偉大な物語」の意味で、バーラタは
インド北部の支配一族を指す。物語を書き記して
いるのはゾウの頭をした神ガネーシャ

インドの美術 Wikiwand
ヒンドゥー教は、特定の開祖をもたないインド固有の民族宗教であり、単なる宗教というよりは、信仰、習俗、神話、思想、社会規範などを包含したインド的文化体系とでも称すべきものである。
二大叙事詩と呼ばれるマハーバーラタラーマーヤナや、「プラーナ文献」と呼ばれる一連の古伝承がヒンドゥー教聖典とされている。インド美術の特色である、みなぎる生命力、躍動感、官能性、建築物の内外を埋め尽くすおびただしい装飾などは、その大部分がヒンドゥー美術の特性である。ヒンドゥー教の起源はアーリア人のもたらした民族宗教であるヴェーダの宗教(バラモン教)に求められ、これが非アーリア的な土俗の信仰・習俗と融合して発達したものである。
http://www.wikiwand.com/ja/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E7%BE%8E%E8%A1%93
『世界文学大図鑑』 ジェイムズ・キャントンほか/著、沼野充義/監修 三省堂 2017年発行
おお、クリシュナ、わたしが犯そうとしているこの罪はなんだ? 『マハーバーラタ』(紀元前9世紀〜4世紀年) ヴィヤーサの作とされる より
インド亜大陸叙事詩は、今日知られている最古の文学であり、口承物語や暗誦の長い伝説から生まれた。ほかの古代文学と同じように神話と伝説と史実が入り混じったこの物語は、何世紀にもわたって進化し、最終的に文字で記録された。
古代インドの文学には、この叙事詩のほか、紀元前1500年ごろから記録されてきた、バラモン教聖典の中心となるヴェーダも含まれる。ヴェーダ叙事詩サンスクリット語で書かれている。これは古代インドで共通の文章語であり、その後多くのインド・ヨーロッパ語族の言語へと発展していく。
1世紀になるまでのサンスクリット文学の中心は、ヴェーダと二大叙事詩――『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』――だった。『ラーマーヤナ』は歴史物語や神話や民間伝承から成るが、ひとりの詩人による独自の先品だと考えられ、古くから賢人ヴァールミーキの作とされてきた。一方、『ラーマーヤナ』よりも長大で知名度の高い『マハーバーラタ』の起源は複雑で、長い期間に進化したことがうかがえる。
マハーバーラタ』の原形ができたのはおそらく紀元前9世紀で、最終的形に完成したのたのは紀元前4世紀ごろであろう。この作品はきわめて長大で、スローカと呼ばれる二行連句が10万以上含まれ、18のバルヴァ(巻)に分かれている。作中では、反目し合うふたつの部族の話に加えて、ふたつの部族の歴史や、それに不可欠なインドやヒンドゥー教の歴史についても語られる。第1巻「はじめの巻」の語りては、まずこう説明する。「ここにあるものはすべて、ほかの場所でも見つかる。しかし、ここにないものは。ほかのどの場所にもない」
言い伝えによれば、『マハーバーラタ』は詩人で賢人でもあるヴィヤーサが書いた。紀元前第3千年紀の人物とされるヴィヤーサは、ヒンドゥー教ヴィシュヌ神の化身(生まれ変わり)だった。この叙事詩のほとんどは、ヴィヤーサの弟子であるヴァイシャンバーヤナが語っているが、このほかにもふたりの語り手――吟遊詩人で賢人のサウティと従者のサンジャヤ――が登場する。
ヴァイシャンバーヤナは、ヴィヤーサがゾウの頭をしたガネーシャ神にすべての物語を一気に口述した様子について語っている。「はじめの巻」にあるように、ヴァイシャンバーヤナの物語は、その後長い年月を経たのち、サウティによってヒンドゥー教の賢人たちへと語り伝えられ、『マハーバーラタ』として完成する。複雑な入れ子状になった枠物語の構造を持つため、現在の形になる前にさまざまな時代の版があったと考えられる。
また、全体を通して歴史的、神話的、宗教的要素が複雑にからみ合っている点でも、『マハーバーラタ』の特徴である。インド北部を支配していたバーラーター一族の確執、そして結果として起こるクルクシュトラの戦いとその余波を中心に物語が展開するが、ヴィシュヌ神の生れ変わりであるクリシュナの登場によって、神話的要素も加えられている。ほかにも、哲学や宗教にまつわる余談など、脇役が無数にあり、中でも「バガヴァッド・ギーター」は、それ自体が重要な作品である。その叙事詩では、家族の絆や確執、義務、勇気、運命、選択などのテーマが一連の寓意物語として、ダルマ(「正しいおこない」を表す複雑な概念)の諸要素について説明している。