King Arthur 2 - Official Trailer "Dragon Flight" (2012, Paradox Interactive) 動画 YouTube
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The Buried Giant
『ウェールズのまっかなホント』 ジョン・ウィンターソン・リチャーズ/著、桜内 篤子/訳 マクミランランゲージハウス 2000年発行
英語に訳せないウェールズ語の詩 より
ウェールズの文化で合唱以外に目立ったものといえば詩であろう。他のウェールズのものの多くがそうであるように、詩もまとまりに欠ける。ウェールズ語で書かれた詩と英語で書かれた詩があることもその理由のひとつだ。
ウェールズ語の詩にはケルトの吟遊詩人たちにさかのぼる古い歴史があり、それはウェールズ人の生活の大事な一部を占めていた。イングランドの学者たちはたちてい無視するが、ウェールズ語の詩がヨーロッパ文化に及ぼした影響には大きなものがある。中世のロマンスの原型となったアーサー王伝説をつくりあげたのもウェールズ人であり、そのアーサー王もウェールズ人であった可能性が強い。
ウェールズ語の詩は、豊富な語彙と、韻よりリズムに重きを置くことで知られる。しかし、ウェールズ人が自慢するように英語に翻訳するのは不可能に近い。英語では表現しきれない言葉が多すぎるのだ。
英語で書かれたウェールズ人の詩は、最大の特徴であるウェールズ語を使っていない点んで物足りないが、伝統は生かしている。
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『忘れられた巨人』 カズオ・イシグロ/著、土屋政雄/訳 早川書房 2015年発行
解説 より
まずは本書の舞台設定を説明したい。ときは6世紀(あるいは7世紀)と思われる。舞台となるのは伝説のアーサー王が姿を消した後のブリテン島(現在のグレート・ブリテン島)だ。アーサー王は、その実在には疑問符がつくものの、史書や創作物によって断片的に描かれるところでは円卓の騎士たちとともにローマ人やサクソン人を撃退した人物とされる。
主人公のアクセルとベアトリスの夫婦はアーサー王と同じブリトン人であり、同族の集まる小さな集落に暮らしている。この老いた夫婦は周囲の住民とかならずしもうまくいっていない。妻ベアトリスの漏らす不満の声を聞くと、のけものにされているようでもある。そんな状況のせいか、アクセルとベアトリスは、さほど遠くない村に住むという息子を訪ねる決意を固める。運が良ければ、息子の村に移り住んで、その庇護のもとよりよい暮らしを送ることができるかもしれない……。
しかし、本書におけるブリテン島はけっして安穏と旅できる場所ではない。なにしろ騎士や魔法の世界を描くアーサー王伝説と地続きの場所なのだ。その地はかつてブリトン人と戦ったサクソン人たちも住んでいる。ブリトン人がケルト系なのに対して、サクソン人はゲルマン系で、言葉も文化も信仰も違う。いまは表向きの平和を保ってはいるものの、そこここに新たないさかいの芽が見える。しかもそれだけではない、この大地は人心に影響を及ぼす「奇妙な霧」に覆われれいるのだ。さらには悪鬼、妖精、竜といった超自然的心材までもが徘徊している……。
アクセルとベアトリスが旅するのはそんな世界である。偶然出会った戦士やいわくのある少年を旅の道連れにした老夫婦には次から次へと試練が襲いかかる。はたして2人は息子と再開できるのか。
『忘れられた巨人』は、2015年3月に英米で発売されるや、イシグロの「ファンタジー」ジャンルへの挑戦として大きな話題をなり、ベストセラーとなった。