じじぃの「日常にひそむ殺人鬼・サクシニルコリン(筋弛緩薬)!死体は嘘をつかない」

Raising America investigates: Genene Jones 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NBdvtN1P0Gg
地獄からの看護師

Nurse Suspected of Killing Up to 46 Kids Set to Leave Prison Aug. 13, 2013 abc NEWS
A nurse convicted in 1984 of killing an infant and suspected of murdering dozens more will be released from prison without completing her 99 year sentence because of an expired Texas law that grants a "mandatory release" to inmates with good behavior.
http://abcnews.go.com/US/nurse-suspected-killing-46-kids-prison/story?id=19852141
『死体は嘘をつかない (全米トップ検死医が語る死と真実)』 ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/著、満園真木/訳 東京創元社 2018年発行
日常にひそむ怪物 より
1950年代から使われているサクシニルコリン――医療関係者のあいだでは”サックス”と呼ばれる――は、呼吸用のチューブを挿入する際にこわばった喉の筋肉を地緩させるのによく使われる合成筋地緩剤だ。数秒で効果が出るが、数分で効き目が消える。苦しむ患者の気管に挿管するにはそれで充分なのだ。
サクシニルコリンは体内ですばやく分解され、それを投与されていなくても人体内に通常見られる自然の物質に変わってしまう。だから通常の解剖ではたいてい見のがされることになる。1980年代初頭には、わずかな血中成分の異常は見落とされがちであり、たとえその使用が疑われる場合でも、殺人事件の立証の根拠にできるほどのはっきりした証拠は残らなかった。有名な刑事弁護士のF・リー・ベイリーは、ほとんど痕跡を残さずに消えてしまうサックスを”完璧な殺人兵器”と呼んだことがあるほどだ。
サクシニルコリンの過剰投与は死にかたとしては最悪だ。不運な意識を保ったままで、心臓や横隔膜を含み全身の筋肉が動かなくなり、その結果呼吸が止まって窒息する。
この完璧な毒薬は救急救命室や手術室に常備され、もっぱら麻酔科医や救命医が使う(3種類の薬剤のカクテルのひとつとして、死刑囚への注射に使われる場合はこのかぎりではないが)。一般人にはサックスは手に入れられない。それに、町の小さな小児科クリニックの棚に常備されているべき理由もほぼない。子供が急に意識を失い、緊急挿管が必要になる状況を医師が予期しているなら別だが、それはありそうもない。
捜査の早い段階でドクター・ホランドの疑いは晴れ、検察官は彼女の協力を得て点と点を結んでいった。その忌まわしい線の先は、まっすぐに看護師のジェニーン・ジョーンズへと伸びていた。
ドクター・ホランドのクリニックにはサクシニルコリンのアンプルがふたつあり、薬の発注はおもにジェニーン・ジョーンズが担当していた。チェルシーの死後、アンプルのひとつが一時的に行方不明になった。ジェニーンはまもなく見つけたと報告してきたが、その封は切られ、ゴム栓にふたつの注射針の穴があいていた。しかし、どちらのアンプルも中身は減っていないように見えた。
このサクシニルコリンの件のあとまもなく、ドクター・ホランドはジェニーンを解雇した。患者の誰にも処方していないのに、アンプルに針の穴があけられていたことに医師は動揺した。その後の分析の結果、開封されたアンプルの中身は生理食塩水で薄められていたことがわかった。
同時に、サンアントニオのベクサー郡立病院では、ジェニーン・ジョーンズが小児1CUで働いていた期間の、通常よりも多い死亡者数について3度目の調査をおこなおうとしていた。そしてサンアントニオの大陪審はそれとは別に、ジェニーンが雇用されていた1978年から1982年初頭にかけて小児1CUで発生した子供の死について、記録を調べていた。
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サンアントニオ――ジェニーンが少なくとも1ヵ所の地元病院で数十人の子供を殺した可能性のある土地――の地区検事局は、彼女の周囲で死亡した多くの乳幼児の中から、新たに起訴できる事件を見つけようと急いでいる。
被害にあった可能性のある子供の遺体を掘り起こすことも検討されたが、今となっては、はっきりした法医学的証拠を見つけられる見こみは薄い。ジェニーンがきわめて検出のむずかしいサクシニルコリンを注射したか、口をふさいで窒息死させたのなら、遺体から確たる証拠が出る可能性は低いだろう。
最近になって、1983年当時の大陪審の記録が出てきた。そこには、新たな事件で起訴できるだけの病院の記録の写しが含まれている可能性もあるが、それがジェニーン・ジョーンズを刑務所にとどめておくための最後の試みとなるかもしれない。経過を見守るしかない。
何も起こらなければ――そしてジェニーン・ジョーンズがそれまで生きていれば――彼女は2018年にテキサスの刑務所から釈放される。そしてアメリカの犯罪と刑罰の歴史上はじめて、我々は捕まえたシリアルキラーを、そうと知りながらふたたび世に放つことになる。
彼女の被害者はもう案じることはないかもしれないが、生きている者はそうはいかない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
『死体は嘘をつかない』という本に、「日常にひそむ怪物」が載っていた。
数十人の乳幼児をサクシニルコリン(筋弛緩薬)を用いて殺したという看護婦の話だ。
1984年に有罪判決を受けた彼女は、2018年2月に釈放されてシャバへ戻ってきた。
彼女は「地獄からの看護師」と呼ばれている。