じじぃの「科学・芸術_416_人類最初の芸術作品・石斧」

ダイアモンド博士の“ヒトの秘密” 第3回「芸術(アート)のジョーシキを疑え」 動画 Dailymotion
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ハンドアックス石器

『人類の進化 大図鑑』 アリス・ロバーツ/編著、馬場悠男/訳 河出書房 2012年発行
ホモ・エルガスター より
ホモ・エルガスターは、豊富な石器群と一緒に発見されたことがあるため「働く人」と呼ばれている。現世人類に似た体系、身長、四肢のプロポーションをもった最初の人類で、歩きかたや走りかたは私たちにかなり近かったと思われる。
●アシュール石器
割れやすい性質の石塊の両面を打ち欠いて作られるアシュール型ハンドアックス(握斧)には、大型のものも多い。まず片面を打撃して剥片(はくへん)を打ち欠き、ひっくり返してもう片面を同じように打ち欠きながら直線的に鋭利な刃を付けていく。
製作の過程には技量のほかに、前もって計画を立てる能力や、出来上がりを想像して、一定の形に仕上げる能力などが必要となる。エチオピアのコンソ=ガルデュラやタンザニアのオルドヴァイ峡谷で発見されたような初期のハンドアックスには、比較的少ない回数の打撃によって両面が加工されていた傾向がある。後期になると、両面加工石器の種類も増え、クリ―バー型、卵型、かなり正確な左右対称の型などが登場する。
ハンドアックスの機能についてはさまざまな議論がある。実証的研究や顕微鏡を使った刃先の研究によれば、狩りのための武器もしくは食肉解体用の道具だと考えられているが、別の研究では木を切り出すのに使用された可能性が示唆されている。ハンドアックス自体は頑丈な道具として使われただろうが、石塊を打ち欠く作業の過程で出る剥片も刃物として重宝されたはずだ。

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ダイアモンド博士の“ヒトの秘密 「3 芸術(アート)のジョーシキを疑え」 2018年1月19日 NHK Eテレ
第3回は、アートについて。ヒトは自分たちが作り出した芸術を、進化の象徴だと考えている。
ヒトによる最も古いアートは何でしょう。
ヒトの模様が描かれた壺の写真。
2400年前の古代ギリシャで美しい壺が作られていたことはよく知られています。
壁画の写真。
こちらは人間が最も初期のアートとしてはっきり認知されているものです。
これは南フランスのラスコー洞窟。この壁画は1万4000年前に描かれたものです。これは紛れもなくアートと呼べるものでしょう。
ホーレ・フェレスのビーナス像の写真。
そして、こちらは4万年前の岩から作られたアート。手で持てるくらいのサイズです。女性の体型をちょっと誇張して作られています。
私もこれらが最も古いアートだと思ってきました。しかし、最近ではもっと古いアートが見つかっています。
2つの石器が台に置かれている。
まずは私が手に持ってお見せします。
まず、お見せするのはごく普通の石斧。こちらは美しいとはいえない道具です。捕まえたゾウを切り刻むのにちょうどいい大きさです。
でも、これを作ったからといって誰もほめてくれません。およそ30万年前に作られたもので、アフリカ北西部のモーリタニアで見つかっています。いわゆる典型的な石器です。
もう1つ、同じ時期石器時代にこのような石器が見つかっています。これは美しい。玄武岩の石器は左右対称です。鋭く尖っていて、両側が鋭い歯のようになっています。これでゾウを切り刻もうとすると、切り刻んでいる最中に自分の手を切ってしまいます。
ということで、この石斧は道具とはいえない。大きすぎるし、両側に歯があり、使いづらい。
では、30万年前にこの石斧を作った男性、もしくは女性は何を目指したのでしょう。
なぜ、実用的な石斧はアートとはいえないのか。
1つには実用的な石斧は比較的簡単に作れる。まあ、誰にでも作れそうです。
でも、こちらは左右対称で端の方が薄くなるように苦労して作り上げた。そして両側が鋭い刃になっている。この石斧を作れるのはごく一部のヒトです。この石斧を作ったのが男性だったら、女性たちはこの石斧に注目したはずです。
この石斧を作ったヒトは才能があり、優れた遺伝子を持っているに違いない。
この石斧は立派なアートだといえます。
http://www4.nhk.or.jp/diamond-hakushi/x/2018-01-19/31/10343/2753023/