じじぃの「科学・芸術_408_核廃棄物最終処分施設(オンカロ)」

映画『100,000年後の安全』予告編 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=m7uCWtmd8O4
Finland Onkalo

映画『100,000年後の安全』公式サイト
10万年もの耐久性がある世界初の放射性廃棄物の最終処分場を造るオンカロ・プロジェクトは、建築学的にも哲学的にも、これまでのどの先人の試みをも越えるものです。
現代の異様な解決法は新しい何かを表しており、我々の時代の象徴になると思っています。
http://www.uplink.co.jp/100000/
小泉純一郎独白』 常井健一/著 文藝春秋 2016年発行
原発は安全、安い、クリーン。これ全部ウソだ」 より
――どうして「原発ゼロ」を訴え続けているのですか。
小泉 原発推進論者が言っていることもやっていることも間違っているってわかったからだよ。ひでえことを俺も信じてきたなという自分への悔しさ、不明の至りだな。11年3月11日以降、日本は実質原発ゼロでやってきた。13年9月に大飯原発の3、4号機が再稼働して原発は2基動いていたけど、13年9月には止まったんだ。あれも形ばかりの2基だったでしょ。今やっと川内原発の2基が再稼働したけど、原発なくても大丈夫なんだ。ドイツはゼロ宣言しても、まだ原発8基ぐらい動いているだろう。日本は宣言せずに、4年半も実質ゼロでやれている(16年1月時点では、国内43基中2基が営業運転中)。
 「原発は安全、安い、クリーン」って、推進の三大スローガンが、全部ウソだというのがわかってきた。朝日のインタビューでも「全部ウソってちゃんと見出しにして」と言ったんだ。新聞は全然書かないからね。あの記事が出た後、「小泉さん、ウソ言わないでください」という意見が1人ぐらい出てくるんだろうと思ったけど、誰も出てこない。本当だから、誰も反論できないんだよ。
 東日本大震災が起きた瞬間、すごく揺れたでしょう。あれだけすごい津波が来て、原発事故が起きたのを映像で見て、ひどいもんだ、これは絶対事故を起こしちゃいけないということに気づいた。それから原発導入の経緯や実態とかを勉強しだしたよ。反原発論者の本も読んだ。福島のメルトダウンは原爆じゃないから大した放射能じゃないと思っていたけど、広島、長崎の原爆より100倍以上強い放射能がまき散らされている。こういうのを調べれば調べるほど、ひでえウソがまかり通っているとわかった。
 原発が戦後に導入されて50年もたつ。これまで1979年にアメリカのスリーマイル島、86年にソ連チェルノブイリで大きな原発事故が起こった。その時も「日本は大丈夫だ」と言っていた。日本人は高レベルの技術水準を持っている。誠実で、律儀で規律正しい。だから日本の原発は安心だと言っていたんだよ。ところが、事故から4年半たったけども、いまだになぜ事故が起こったのかはっきりしたことはわからない。福島ではいまだに10万人もの人々が避難先から故郷に帰れないんだ。
 映画『100,000年後の安全』(フィンランドに建設中の核廃棄物最終処分施設「オンカロを追ったドキュメンタリー)、あれも効いたな。13年8月にオンカロを見に行った。ヘルシンキからジェット機に乗って1時間、沿岸からまた船に乗って島に辿り着く。実際にみて、これを日本でやろうったって無理だと思った。地下400メートルに廃棄物を埋めて毒性が抜けるのは10万年後だっていうからね。ピラミッドができたのだって4千年前だぜ。日本で400メートルも掘ったら温泉が吹き出すだろうし、フィンランドのような強固な岩盤じゃないから、同じことはできないと思ったんだ。地震はしょっちゅう起きるし、火山だっていつ噴火するかわからない。
 オンカロを見に行った直後、あの毎日の記事が出た。私が確信を持って反原発運動をやっているのが知れ渡って、反原発の人から手紙や本がたくさん送られてくるようになったんだ。その中で良さそうなものを選んで、「これを総理になる前に読んでいれば……」と後悔した。
 総理の時、私は原発を推進していた。原発のいろんな技術的な問題はよくわからないから専門家に意見を聞くとね、日本にとって必要だと思った。廃棄物の捨て場所も10年、20年たてば見つかると言われた。