じじぃの「メッセージ物質・なぜインスリンが血液脳関門を越えるのか?認知症薬」

書籍版 NHKスペシャル 人体〜神秘の巨大ネットワーク〜 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KORmPMMPb7g
Insulin Receptors, Blood Vessel Damage and Diabetes 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vEtzoTb2q_0
カプセルのような薄い膜に包まれた物質が、血液脳関門
通過していく決定的瞬間nhk.or.jp/kenko HPより)

NHKスペシャル「人体」 命を支える“神秘の巨大ネットワーク” 2017年9月30日【MC】タモリ山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長)
●“メッセージ物質”が 健康常識や医療を変える!
このインクレチンのように何らかの“メッセージ”を伝える物質が、人体のあらゆる臓器や細胞から放出されていることが、いま次々と発見されています。
医学の世界では、そうした物質を「ホルモン」や「サイトカイン」、「マイクロRNA」などさまざまな名前で呼んでいますが、今回の「人体」シリーズでは、よりわかりやすく“メッセージ物質”と呼ぶことにしました。その数は、数百種類にものぼると言われています。これまで、脳などごく限られた臓器がそうした“メッセージ物質”を出していることは知られていましたが、実は脳からの指令を待たずして、全身の臓器たちは直接メッセージをやりとりし、情報交換しながら、私たちの命や健康を支えていたのです。
https://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_2.html
NHKスペシャル 「人体 神秘の巨大ネットワーク 脳 ひらめきと記憶の正体」 2018年2月4日
【MC】タモリ山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長)
さらにインスリンが脳の血管をすり抜けるメカニズムを応用して作られた、「ハーラー病」という脳の病気の薬の治験が、ブラジルのポルトアレグレという街で3年前から行われ、大きな成果をあげ始めています。
https://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_7.html
認知症薬、脳の「関門突破」に前進――悲願達成へ治験の現場 2018.02.03 Yahoo!ニュース
●薬の到達を阻んできた「血液脳関門」とは
通常、点滴や錠剤などによって私たちの血液中に溶け込んだ薬は、血液の流れに乗って移動し、その薬を必要とする臓器へと届く。それを可能にしているのは、体内の血管の壁にある"すき間"だ。血管の壁には、薬が通ることができるほどの小さな"すき間"が開いている。一方、脳の血管は厚い細胞の壁で覆われているため、この"すき間"がほとんどなく、薬が通り抜けることができないという。
なぜ脳の血管だけに、この血液脳関門のような特殊な構造があるのか。
血液脳関門」研究の世界的権威で、このハーラー病の新薬を開発した米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のウィリアム・パードリッジ名誉教授は、こう話す。
「それは、血液中を漂うさまざまな物質が無秩序に流れ込んで脳の神経細胞の働きに支障をきたさないよう、血管が進化してきたためです。血液脳関門は、脳の働きを健全に保つうえで重要な役割を果たす一方、脳の中に薬を送り込んで病気を治そうとすると、これを阻んでしまう。いわば『諸刃の剣』になっているのです」
認知症のなかでも最も大きな割合を占める「アルツハイマー病」は、一説によれば「アミロイドβ」と呼ばれる有害なたんぱく質が脳にたまり、神経細胞を次々に壊してしまうことで起きると考えられている。アミロイドβを分解する薬を脳に送り込むことで病気の進行を食い止めようと、これまで多くのアミロイドβ分解薬が作られてきたが、血液脳関門を突破して脳に届き、アミロイドβを分解できる薬は、まだ一つも報告されていないというのだ。
ハーラー病の新薬が注目を集めるのは、血液脳関門を突破するよう計算された特別なメカニズムがあるからだ。この薬を開発するにあたってパードリッジ名誉教授が目をつけたのは、血液の中を流れるある物質だった。
「それは、私たちが食事をして血糖値が増えた時、すい臓から血液中へと放出されるインスリンです。インスリンはそのままでは血液脳関門を通り抜けることができないほど大きいのに、なぜか、血液を介して脳の中に入り込むことが知られていました。インスリンのような物質が血液脳関門を越えるメカニズムが分かれば、薬を脳へと送り込む手立てが見えてくるのではないか。そう考えたのです」
https://news.yahoo.co.jp/feature/879
『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』 ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行
意識と精神疾患 より
現時点で精神疾患全般の治療法はない。いつの時代も、医師はそうした患者の治療に無力だった。だが現代医学は、大昔からあるこの問題に取り込むためのさまざまな新しい可能性と治療法を与えてくれている。以下はそのほんの数例である。
 1.ニューロンのシグナル伝達を制御する新たな神経伝達物質や新薬を見つける。
 2.さまざまな精神疾患に関連のある遺伝子を突き止め、場合によっては遺伝子治療をおこなう。
 3.脳深部刺激術をおこない、脳の特定領域の神経活動を抑制したり高めたりする。
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しかし多種多様な精神疾患を理解するために、一部の科学者は、精神疾患が少なくともふたつの大きなグループに分けられ、それぞれに別のアプローチが必要だと考えている。
 1.脳へのダメージによる精神疾患
 2.脳内の誤配線によって引き起こされる精神疾患
1のタイプには、パーキンソン病や癲癇、アルツハイマー病のほか、脳卒中や腫瘍に起因するさまざまな障害が含まれ、こうした疾患では脳組織が実際に傷ついたり機能不全に陥ったりしている。パーキンソン病や癲癇の場合、特定の脳領域に活動過剰となっているニューロンがある。アルツハイマー病の場合は、アミロイド斑が蓄積し、海馬を含む脳領域が破壊される。脳卒中や腫瘍では、脳のある部位が働かなくなり、数々の行動障害を引き起こす。こうした疾患はそれぞれ損傷が異なるため、必要な治療も違ってくる。パーキンソン病や癲癇なら、活動過剰となっている領域を抑制するためにプローブが必要かもしれないが、アルツハイマー病や脳卒中や腫瘍によるダメージは治療できないことが多い。

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どうでもいい、じじぃの日記。
2018年2月4日、NHKスペシャル 「人体 神秘の巨大ネットワーク 脳 ひらめきと記憶の正体」を観た。
インスリンは、すい臓から出る体内ホルモンの1つで、血糖値を下げる働きをする。
インスリンが血管の壁にある「小さな突起」にくっつくと、血管の細胞膜が小さなカプセルを作ってインスリンを包み込み、そのカプセルごと血管の壁の反対側、つまり脳の中まで運んでくれる、という仕組みが明らかになってきた。
番組では、ブラジルで「ハーラー病」と呼ばれる病気の少年のことが取り上げられていた。
脳の神経細胞に「GAG」が蓄積し、運動機能や認知機能に障害を引き起こす難病だ。
ちょうど、アルツハイマー病の、「アミロイド斑」が蓄積するような病気だ。
ハーラー病治療を続けてきたブラジル・ハーラー病協会会長のロベルト・ジュリアーニ医師は言う。
「子どもたちを助けるための光が、ようやく見えてきました。この薬が注目されるのは、これまでの薬では越えることができなかった血液脳関門を突破して、脳の中へと到達する画期的な仕組みがあるからです。"血液"と"脳"との間に立ちはだかる"関門"を意味するこの血液脳関門が、これまで脳に薬が入るのを阻んできたのです」
この少年は、インスリンを脳に送り込むような方法で回復に向かっているのだそうだ。
アルツハイマー病は進行してしまえば治療が難しいかもしれないが、予備軍の段階なら治療可能かもしれない、と思った。