じじぃの「科学・芸術_381_可用性バイアス・直近の情報」

Garbage Truck Colors - Street Vehicles - The Kids' Picture Show (Fun & Educational Learning Video) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=WeSd0l0n9Nk

『たまたま―日常に潜む「偶然」を科学す』 レナード・ムロディナウ/著、田中三彦/訳 ダイヤモンド社 2009年発行
お粗末な記憶と「可用性バイアス」 より
5番目にnがくる6文字の英単語と、ingで終わる6文字の英単語では、どちらの数が多いだろうか。ほとんどの人間がingで終わる6文字の英単語を選ぶ。なぜだろうか。ingで終わる単語は、5番目にnがくる6文字の英単語より思いつきやすく、数が多いように思えるからだ。
しかし、その推測が間違っていることを証明するのに『オックスフォード英語辞典』を調べる必要はないし、勘定の仕方を知る必要さえない。というのは、5番目にnがくる6文字の英単語のグループには、ingで終わる6文字の単語が含まれるからだ。心理学者はこの種の間違いを「可用性バイアス」と呼んでいる。われわれは過去を再構築する際、もっとも生き生きした記憶、それゆえもっとも回想しやすい記憶に、保証のない重要性を授けてしまうのだ。
可用性バイアスの好ましくないところは、過去の出来事や周囲の状況に対するわれわれの認識をゆがめることで、いつのまにか世の中の見方をゆがめてしまうことだ。たとえば、われわれは精神病のホームレスの割合を過大に評価する傾向がある。というのはわれわれは、振る舞いがごく普通のホームレスに出くわしたとき、そのことにとくに注意を向け、たまたま出くわしたその目立たないホームレスについてすべての友人に話すようなことはしないが、足を踏みならし「聖者が街にやってくる」を歌いながら目に見えない仲間に手を振っているホームレスに出くわすと、その出来事を記憶に留める傾向がある。
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可用性バイアスがわれわれの判断や意思決定におよぼす影響をはっきり教えてくれるものの1つに、模擬裁判による研究がある。この裁判では、ゴミ収集車に衝突したとき衝突した自転車の運転手は酔っていたという告発に関して、陪審人に同じ数の無罪と証拠が提示された。ポイントは、ある陪審員グループに(面白みのない)書き方の無罪の証拠が提示されたことだった。それには、「ゴミ収集車の所有者は、反対尋問で、ゴミ収集車は色がグレーなので夜間は見にくいと述べた」と記されていた。
一方、別の陪審員グループには、同じ無罪の証拠でも、もっと<真に迫った>書き方のものが提示された――「ゴミ収集車の所有者は、反対尋問で、ゴミ収集車は色がグレーなので夜間は見にくいと述べた。その所有者は、車がグレーなのは『汚れをかくすためだ。どうしてほしいかね? ピンクに塗るべきかね?』と言った」。有罪の証拠も同様に2つの方法で提示された。ただし、この場合は、前者のグループに真の迫った書き方の証拠が、後者のグループには面白みのない書き方の証拠が、それぞれ提示された。
陪審員たちが有罪/無罪の評定をつけるように求められたとき、真に迫った証拠を提示されたグループがつねに優勢で、その効果は、評決を下すまでに48時間遅れを置くといっそう強化された(それはたぶん、面白みにない話と面白みのある話とのギャップが、いっそう大きくなったからだろう)。