じじぃの「科学・芸術_376_チャウシェスクの子どもたち」

チャウシェスクの子供たち 1/4 ルーマニア 1991 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=s8WSpW0eFkc
street urchin

施設より家庭的な環境で育てる 「チャウシェスクの子どもたち」で研究報告 子ども虐待防止世界大会2014 2018年1月15日 日本財団ブログソーシャルイノベーション探訪
日本財団のセッションでは、アメリカのメリーランド大学のネイサン・フォックス教授より、「チャウシェスクの子どもたち」と呼ばれるルーマニアの孤児院の子どもたちについての研究報告があり、子どもは家庭的な環境で育てるべきであると指摘した。300人の会場はほぼ満員で、関心の高さがうかがわれた。
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/339
発達障害に気づかない大人たち』 星野仁彦/著 祥伝社新書 2017年発行
発達障害はなぜ起こるのか? より
発達障害の詳細な原因や病態は、実はまだよくわかっていません。
しかし、発症のメカニズムとしては、家庭の養育環境や心的外傷体験(トラウマ)などの環境要因や心理的要因で起こるのではなく、明らかに生まれつき、もしくは出産前後に脳機能が損なわれることによって発症することが確認されています。
ただし、本来の(一次的)原因はあるまで脳の障害ですが、二次的にはしばしば心理社会的要因によって悪化したり、二次障害や合併症を示すことがあります。
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幼児期に親から虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた子どもは「被虐待児症候群(虐待に抵抗する意欲を失い、甘受する状態)を示し、思春期以降になっても感情や社会性の発達が損なわれ、しばしば、解離性同一性障害うつ病摂食障害、パーソナリティ障害、性非行、反社会的行動、各種の依存性・嗜癖行動などの精神障害を示すことが知られています。
解離性同一性障害は、虐待などの強い心的外傷から逃れようとした結果、1人の人間に2つ以上の同一性または人格状態が入れ替わって現れるようになり、自我の同一性が損なわれる精神状態で、児童虐待の経験者では極めて高率でみられます。
これらは近年、「複雑型PTSD」として注目を浴びています。
通常のPTSDが、戦争や災害、犯罪被害などの心的外傷経験の後にフラッシュバックや無気力、睡眠障害などを示すのに対して、複雑型PTSDは幼児期からの虐待やネグレクト体験の後、人格発達の深刻な歪みを示し、さまざまな精神障害を引き起こすものです。
近年、杉山登志郎医師が「第4の発達障害」として提唱していますが、幼児期の著しい虐待やネグレクトによって社会性の発達が障害され、しばしば自閉症と類似の症状を示すことがあります。
それを雄弁に語っているのが、ルーマニアチャウシェスクの子どもたち」です。
ルーマニア政府は労働力を増やすために避妊と堕胎を禁止し、女性は4人以上子どもを産むことを推奨しました。しかし権力の座にあったニコラエ・チャウシェスクが処刑され、共産党政権が崩壊すると、食料の配給が止まり、貧しさから子どもの養育を放棄する親が続出しました。親に捨てられた子どもたちはストリートチルドレンとなって町にあふれました。これがいわゆる「チャウシェスクの子どもたち」です。彼らは雨風や寒さをしのぐためにマンホールの下に住みつき、生活のために幼児売春をしたり、臓器提供や人身売買などの闇のビジネスに巻き込まれるなど、その多くが悲惨な運命をたどりました。
この「チャウシェスクの子どもたち」のうち英国やカナダの里親に預けられて養育された子どもの追跡調査をしたところ、165例のうち21例(12.7%)がその後自閉症(広汎性発達障害)と診断されました。日本の場合、自閉症の発症率は150人に1人(0.7%)程度ですから、いかに高率で発症しているかがわかります。