じじぃの「科学・芸術_365_ミラー・ニューロン」

ミラーニューロン茂木健一郎の感慨深い話 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VjyuhgF725U
mirror neuron

ついついやってしまう「自慢話」の控え方 脳科学茂木健一郎 2015.12.18 PRESIDENT Online
生きるうえで最も大切で、また、難しいのは、自分の「個性」を認識し、それを活かすことだろう。
自分の外見は、鏡に映せばわかる。顔のここがどうだとか、髪の毛がこうなっているとか、鏡に映った自分の姿を見て、女性は(最近は男性の一部も)化粧をする。
一方、自分の性格的な特徴は、映すモノとしての鏡がない。だから、メタ認知しにくい。実際、自分の性格の長所や短所に気づいていない人は、年齢に関係なく多いのである。
では、どうすればいいのか? 自分の個性を映す鏡は、どこにあるのか? 実は、それは、他人の中にある。
脳の前頭葉には、「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があって、他人と自分を、まるで「鏡」のように映し合っている。
http://president.jp/articles/-/16883
『感動する脳』 茂木健一郎/著 PHP研究所 2007年発行
他者の心を理解する脳のメカニズム より
他人の心が分かる。この素晴らしい能力を発揮するために、脳のメカニズムはどうなっているのか。実は脳科学の分野においても、未だハッキリとは解消されていません。しかしそれを解明するための重要な細胞が発見されました。それはミラー・ニューロンという神経細胞の存在です。
このミラー・ニューロンはイタリアの研究チームが偶然に発見したものです。彼らはもともとサルの脳を研究していた。イタリア人の習慣として、彼らは食後にジエラートを食べます。ある昼休み、彼らは談笑しながらいつものようにジェラートを食べていた。何気なくサルを見ていたら、彼らがジェラートを手に取って口に運んでいくたびに、サルの脳の神経細胞が活動していることに気がついたのです。
そこでその神経細胞がもともとどういう種類のものかを調べると、前頭葉の運動前野にある神経細胞だった。これはサル自身がエサを口に運ぶ時に活動する運動性の神経細胞なのです。つまり1つの同じ神経細胞が、自分が行動する時と、同じ行動を他人がするのを見た時に、同じ行動をするということです。全く鏡に写したように同じ活動をする。脳の中に鏡があったということで大変な話題になりました。これが今から10年前の1996年に論文として発表されました。
人間が他人のことをどう理解するのか。脳の中でそれをどのように実現しているのか。丶ミラー・ニューロンの存在が明らかになったことで、その謎に一歩近づいたわけです。
つまり人は脳の中に鏡を持ち、そこに他人の表情やしぐさを写し出す。そしてそこに写し出されたものと、自分の体験を照らし合わすという作業をする。
もう少し分かりやすく言うと、たとえば相手が悲しそうな顔をする。それを見て考える。自分がそのような顔をする時は、どのように感じている時なのか。そうだ、自分は悲しいと感じた時に同じような顔をする。自分が悲しい時の表情と同じ表情をしているのだから、きっと相手も悲しいという感情を抱いているに違いない。
もちろん、いちいちそんなに回りくどく考えているわけではなくて、一瞬のうちに相手の表情と自分の過去を比較するわけです。しぐさにしても同じです。相手のしぐさを見てその気持ちを理解できるのは、自分もまた同じしぐさをしたことがあるからです。
逆に言うと、一度も悲しい 思いを抱いたことがないと、一度も悲しい表情をしたことがない。まあそんなことはあり得ないでしょうが、もしそうだとすると、相手が悲しい顔をしていてもそれが何だかわからないということになります。いくら心の鏡を写したと しても、それを比較するものがないのですから。
よく、多くの経験を積んだ人ほど他人の気持ちが分かると言われます。これは脳科学から見ても正しいのではないでしうか。自分が悲しい思いを経験したからこそ、相手の悲しみが分かる。自分が苦労したからこそ相手の苦しみも理解できる。そういうことが科学的にも証明されたわけです。
せっかくミラ・ニロンという神経細胞があるのですから、どんどんそれを活用することです。そしてそのためにも、多くの経験を積むことが大切です。苦しいことに出会うたびに、これでミラ・ニロンが活性化されるぞと思えれば、少しは気が楽になるかもしれません。