じじぃの「科学・芸術_327_時空」

NHK Eテレ モーガン・フリーマン 時空を超えて 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9JmOONfqYB4
Time is Fantasy?

時空を超えて 「時間の正体は何なのか?」 2017年2月3日 NHK Eテレ
【案内人】モーガン・フリーマン
「時間」は宇宙の歴史を考察する上で最も根源的な謎と考えられている。
その起源は、138億年前にビッグバンが起こった38万年後、「宇宙の晴れ上がり」が起こり、光が宇宙を自由に動けるようになった時という説がある。「光の速度は不変」なので、時間を図る尺度になるという考えに基づく。また、時間は連続せずに次々と発生しているという説、「熱」が時間を生じさせるという説もある。
量子物理学によれば、空っぽの空間にもエネルギーのゆらぎが起こります。つまり無から有が生じる可能性があるということです。例えばウランなどの放射性元素を考えて下さい。何も変化しないように見えますが、次の瞬間にも原子核が自ら崩壊し新たに放射線を出すかもしれません。
時空そのものにも同じような性質があるのではないかと考えています。空間に量子ゆらぎが存在することは既に分かっています。
カリフォルニア大学の物理学者ハートム・ハフナーは「タイムリング」と呼ばれる実験を進めています。もし、タイムリングの実験が成功すれば空間だけでなく時間にも量子ゆらぎが存在することが証明されるはずです。
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2017-02-03/31/5026/1988014/
『時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体』 松浦壮/著 ブルーバックス 2017年発行
量子重力という名の大統一――時間とはなんだろう より
私たちが普段思い描いている「絶対時間」という時間の姿はニュートンの運動法則によって形を得たものでした。そして、「一方向にしか進まない」という時間の特徴は、時間そのものというよりも、カオスによって生じる擬似的な確率現象という運動法則の特性の方に起源がありました。
おそらく当然のものと思われてきた絶対時間ですが、光速が誰からみても変わらないという観測事実によって発想の転換を余儀なくされ、空間も合わせた「時空」という構造の一部分と考えざるを得なくなったのでした。
さらに、重力と慣性力が同じルーツを持つことに気付くと、ごく自然に、時空は物質の影響を受けて曲がる力学的な存在であるという結論に導かれます。時空が歪めば、当然、時空中の物体の運動方向にも影響が及びます。これが重力です。実際、時空の歪みは「重力場」と呼ばれ、重力は、物体が重力場に反応することで生じる力と考えることができたのでした。
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発展途上とはいえ、こうした超弦理論の研究が「時空観」にもたらした影響は絶大です。特に、超弦理論のお蔭で、宇宙の成り立ちを説明するために必ずしも4次元時空を出発点にする必要なない、という認識が得られたのは大きな発想の転換です。つまり、量子重力理論が完成した暁(あかつき)には、時間が1次元で、空間が3次元であることにすら理由が提供されるだろう、と期待できるのです。
そもそも量子重力理論は時間でも空間でもない「何か」の理論です。もちろん、繰り込みを施して大きなスケールで見れば軽量を伴う時空が得られるはずですが、それはあくまで結果論。その「何か」の理論が、はじめから「4次元時空とその上の量子場」という構造を持っている必要はありません。
むしろ、時空や量子場の構造すら持たない「何か」が、繰り込みのプロセスによって自然に役割が割り振られ、私たちのスケールでは4次元の時空や、物質世界を構成している量子場として発現していると考えるのが自然だろう、というのが、量子重力理論に関わる研究者(の少なくとも一部)が漠然と共有している世界観です。
例えとして適切かどうかは分かりませんが、私たち人間は、心臓なら心臓、皮膚なら皮膚というように、体を構成する様々な部分がそれぞれ固有の役割を果たすことで命を繋いでいますが、その一方で、体を作るあらゆる細胞は同じDNAを共有しています。
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私たちが量子重力理論に思い描いている構造もこれに似ています。すなわち、宇宙開闢の瞬間には時間でも空間でも量子場でもない何かだったのか、その進化の過程で役割が固定され、現在の時空や量子場ができ上がったのだろう、というシナリオです。言うなれば、私たちは今、時間・空間・物質・力の全てに共通するDNAに触れようとしているのです。このDNAこそが求めていた時間の正体です。