じじぃの「人の生きざま_718_フアン・マルダセナ(理論物理学者・超弦理論)」

Quantum mechanics and the geometry of spacetime: Juan Maldacena 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vB5_GYobc8g
開いた弦、閉じた弦

フアン・マルティン・マルダセナ ウィキペディアWikipedia)より
フアン・マルティン・マルダセナ(Juan Martin MALDACENA、1968年9月10日 - )は、アルゼンチンのブエノスアイレス出身の理論物理学者である。専門は素粒子理論。アメリカ合衆国プリンストンにある高等研究所自然科学部門の教授を務めている。
マルダセナは反ド・ジッター時空間と共形場理論にある種の双対性があると予想し、現在ではこれはAdS/CFT対応と呼ばれる。
これは現在の超弦理論において非常に重要な概念であり、この概念を導き出した彼を讃えてThe Maldacenaという歌が1998年に超弦理論の国際会議で歌われた。

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重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論 安東正樹/著 ブルーバックス 2016年発行
究極の重力理論を求めて (一部抜粋しています)
現在、一般相対性理論量子力学の双方をふくむ量子重力理論、つまり究極の理論としては、たとえば「超弦理論」が有望とされています。
超弦理論とは、原子、原子核素粒子と物質をどんどん分解していった先にある究極の基本単位は「点」ではなく、ひろがりをもつ「ひも」のようなものだ、とする考え方のうえに成り立っている理論です。1970年にシカゴ大学南部陽一郎アメリカの理論物理学者レオナルド・サスキンド、デンマーク理論物理学者ホルガー・ベック・ニールセンらによって、「弦理論」が最初に提唱されました。「ひも」のように1次元のひろがりをもたせることで、素粒子理論が抱える無限大の問題を解決するとともに、すべての素粒子を1つの「ひも」の振動の現れとして統一的に表現するというものでした。
その後、日本の米谷民明と、アメリカの理論物理学者ジョン・シュワルツとフランスのジョエル・シュルクによって、この理論は重力を含む理論であることが見いだされました。つまり、一般相対性理論量子力学を統一する究極の理論である可能性が示唆されたのです(画像参照)。
その後の理論の発展を駆け足で述べれば、弦理論は1984年にシュワルツとマイケル・グリーンによって、知られている素粒子を統一的に扱う「超弦理論」へと拡張され、1995年にアメリカの理論物理学エドワード・ウィッテンが、それまで知られていた5つの超弦理論は「11次元の時空」として記述される「M理論」によって結びつけられていることを示しました。
1997年にアルゼンチン出身フアン・マルダセナは、素粒子を扱うミクロな量子論は、それよりも1つだけ次元が高い重力理論と結びついていて、これらの理論は同じ物理現象の2つの側面をとらえたものとして解釈できるという「マルダセナ予想」を提唱します。この考え方によって、ブラックホールのように重力を含む問題を、量子論の問題に焼きなおして解いたり、量子力学で解くことが難しい問題を重力理論に翻訳して解いたり、ということが行われるようになっています。マルダセナ予想は完全い照明されたものではありませんが、数多くの理論的研究が進められています。そして現在までに、これと矛盾するような研究結果は見つかっていません。このことから、超弦理論が量子重力理論として有望と考えられているのです。
一般相対性理論では、重力を時空の性質として解釈する、という新たな概念がもたらされました。しかし超弦理論が完成すれば、もはや時空を「入れ物」として特別扱いすることはできなくなり、その概念すら変えられてしまうかもしれません。