じじぃの「人の生きざま_624_大栗・博司(物理学者)」

『9次元からきた男』予告編 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=B4VNRkbB8RI
「大栗先生超弦理論入門」刊行記念メッセージ 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UY6cXpTTKJQ
9次元からきた男miraikan.jst.go.jp HPより)


時空を超えて 「時間の正体は何なのか?」 2017年2月3日 NHK Eテレ
【案内人】モーガン・フリーマン
「時間」は宇宙の歴史を考察する上で最も根源的な謎と考えられている。
その起源は、138億年前にビッグバンが起こった38万年後、「宇宙の晴れ上がり」が起こり、光が宇宙を自由に動けるようになった時という説がある。「光の速度は不変」なので、時間を図る尺度になるという考えに基づく。また、時間は連続せずに次々と発生しているという説、「熱」が時間を生じさせるという説もある。
量子物理学によれば空っぽの空間にもエネルギーのゆらぎが起こります。つまり無から有が生じる可能性があるという事です。例えばウランなどの放射性元素を考えて下さい。何も変化しないように見えますが、次の瞬間にも原子核が自ら崩壊し新たに放射線を出すかもしれません。
時空そのものにも同じような性質があるのではないかと考えています。空間に量子ゆらぎが存在する事は既に分かっています。
カリフォルニア大学の物理学者ハートム・ハフナーは「タイムリング」と呼ばれる実験を進めています。もし、タイムリングの実験が成功すれば空間だけでなく時間にも量子ゆらぎが存在する事が証明されるはずです。
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2017-02-03/31/5026/1988014/
9次元からきた男 日本科学未来館
ホラー映画界の第一人者、清水崇監督が挑む、科学映像の新境地!
理論物理学者が見ている究極の景色を、最新の科学データと仮説をもとに映像化。
本作は、物理学の究極の目標である「万物の理論」をテーマにした3Dドーム映像作品です。近年、素粒子の研究ではヒッグス粒子が発見され、宇宙にはダークマターダークエネルギーが満ちていることがわかるなど、自然界の法則の解明が進んでいます。
しかし、素粒子のミクロの世界と、宇宙のマクロの世界をあらわす二つの理論は矛盾しており、理論物理学者たちはそれらを統一する「万物の理論」を見つけようとしています。その最も有力な仮説である「超弦理論」が提示する、驚くべき世界とは?
http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/9dimensions/
ブルーバックス創刊50周年記念特別対談 大栗博司×池谷裕二 『科学は「幻想」か』 現代ビジネス
大栗博司(おおぐり・ひろし)
1962年、岐阜県岐阜市生まれ。理学博士。東京大学理学部助手、プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを経て、現在、カリフォルニア工科大学カブリ冠教授。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員、アスペン物理学センター理事でもある。著書に、『重力とは何か』、『強い力と弱い力』(ともに幻冬舎新書)など。市民講座などで科学アウトリーチにも努めている。
●科学は「幻想」か
池谷: すると最初の疑問に戻ってしまうのですが、基本法則は本当にあるのでしょうか。「基本法則がある」とヒトの脳が認識しているだけではないでしょうか。そして理論とは、自然界の中でたまたま脳が理解しやすい部分に焦点を絞って、都合よく構築された虚構ではないでしょうか。
大栗: でも、基本法則は人間の脳の幻想などではなく、実際に自然界でそのとおりのことが起きているんですよ?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37306?page=5
『大栗先生超弦理論入門』 大栗博司/著 ブルーバックス 2013年発行
空間は幻想である より
  私たちは習慣によって、甘味があったり、苦みがあったり、
  熱かったり、冷たかったり、色があったりすると思うが、
  現実に存在するのは原子と真空だけである。
古代ギリシャの哲学者デモクリトスは、物質の味や温度や色は基本的な性質ではなく、ミクロな世界のより根元的な法則から導かれるものであると主張しました。これは、マクスウェルやボルツマンの温度の理解と本質的に同じものです。
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重力があったり、なかったりする理論が、ウェブのような関係で結びついているのですが、その中のどれか1つの理論が基本になっているとは考えられません。その背後には、なにかより根元的な理論があって、そこからこれらの理論のウェブが現れてくるのだと期待されるのですが、それが何なのかは、いまだにわかっていないのです。
本章の最初に、デモクリトスの言葉を引用しました。これを超弦理論にあてはめると、次のようになるでしょう。
  私たちは習慣によって、
  重力があったり、
  次元があったり、
  空間があったりすると思うが、
  現実に存在するのは……
この「……」にあてはめるべき言葉を私たちはまだ知りません。

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文藝春秋 2016年5月号
9次元の世界 【執筆者】立花隆(評論家) より
お台場の日本科学未来館が、4月20日から不思議な3D科学映画『9次元からきた男』を館内のドームシアター「ガイア」で上映する。その試写会に行ってきた。ここはプラネタリウム兼用の超高精密の特殊映像施設である。普段はプラネタリウムだから、椅子を後ろに倒してひっくり返ってドーム全体を見るようにして映画を見る。「素粒子の世界から最果ての宇宙まで、次元を超えた旅が今、始まる」というのが、この映画の宣伝文句。最新の科学映画と見まごうような不思議に美しい映像(3Dで4K)が次から次に目の前の空間いっぱいに広がって全身を包む。3D音響とあいまって圧巻の映像体験だ。
内容的にはミクロ・超ミクロの世界から、銀河恒星などの宇宙映像を含む、とてつもない次元の広がりを感じさせる映像だが、かといって、科学的知識満載のお勉強映画というわけでもない。
基本的には、この映画は科学SFものに分類される一種のドラマ仕立てになっている。造った監督は、清水崇。ホラー映画のファンであれば『呪怨』、実写版の『魔女の宅急便』などを作った監督といったほうが話が通じるかもしれない。しかし、この映画のチラシには、監督の名前より大書される形で、監修 大栗博司とある。この映画の企画・制作・著作権者は日本科学未来館だが、監修者は大栗氏で、この人が監督よりえらいのだ。要するに、企画を立て、金を出したのは科学未来館ふだが、内容が科学的に正しいものになるかどうかちゃんと目配りしたのが大栗氏ということになる。大栗氏は、カリフォルニア工科大学教授かつ同大理論物理学研究所所長、また同時に東京大学カブリ数物理連携宇宙研究機構の主任研究員でもある。物理学の素粒子分野の最先端の理論である超弦理論の専門家として広く知られている。講談社ブルーバックスから出た『大栗先生超弦理論入門』は難解な物理理論を平易に解説した書として高く評価され、第30回講談社科学出版賞を受賞している。
映画の舞台は、科学研究所。「謎の男、T.o.E(トーエ)をつかまえろ!」のかけ声のもと、研究者たちの謎の男の追いかけ劇として展開される。「トーエがついにあらわれたらしいぞ!」の声がかかり、バタバタの追いかけっこがはじまるが、トーエはアッという間に姿を隠したり、消えたり、全然ちがうものに変身したり、変幻自在である。結局いくら追いかけても、追及する側の目を巧みにかいくぐって存在の片鱗も捉えることができない。
この奇怪な存在は何なのか、といえば、トーエ(T.o.E)は、Theory of Everything つまり万物理論なのである。いま物理学の最先端では、万物理論さがしが最大の目標になっている。