【ゆっくり解説】宇宙の全てを解明できるかもしれない究極の理論!?超ひも理論とは?
1次元
単位と次元
ひげおじさんの「おうち実験」ラボ
1次元アリは、線の上だけ行き来できます。
https://higeojisan-lab.com/unit-dimension-formula/
『なぜ宇宙は存在するのか』――人間原理の正しい解釈
われわれの宇宙はどこから来て、どこへ向かうのか――ダークマター、インフレーション理論、超弦理論といった基礎知識をご存じの方におすすめ。宇宙論の最先端の話題/用語を合理的に整理できる。
第4章では、1980年代に開花したインフレーション理論を紹介する。
宇宙誕生後10-38秒から10-36秒くらいの間に指数関数的に宇宙が膨張するインフレーションが起こり、宇宙は一様になり、曲率がきわめて平坦になった。そして、インフレーションの膨張が熱エネルギーになり、ビッグバンを引き起こす。野村さんは、宇宙の始まりとビッグバンの間にインフレーションがあったということを平易に説明してくれる。
インフレーションが起きたにしても、この宇宙の標準模型はよくできすぎている。たとえば、真空のエネルギー密度と物質のエネルギー密度がほぼ同じ大きさであるタイミングで生命が誕生したのは偶然なのか―第5章で、そうした疑問を提示する。その答えは、第6章で語られるマルチバースだ。
電磁気力と弱い力を統合した物理学者のスティーヴン・ワインバーグは、1987年に人間原理に注目した論文を発表した。人間原理とは、「私たちが自らの周りで観測する世界よりも、実はもっと多様な世界がどこかに存在していると仮定する」(199ページ)ことにある。
それによれば、きわめて多くの宇宙が存在する中で、たまたま、真空のエネルギー密度がゼロに近い宇宙が、私たちが住む宇宙だという。
ワインバーグの予言の通り、1998年に宇宙の加速膨張が観測された。
ここに超弦理論を加えると、無数の異なる種類の宇宙が次々と作られていくというマルチバースとなる。
https://www.pahoo.org/e-soul/gadget/2022/WhyTheUniverseExists.shtm
なぜ宇宙は存在するのか――はじめての現代宇宙論
【目次】
第1章 現在の宇宙
第2章 ビッグバン宇宙1――宇宙開闢約0.1秒後「以降」
第3章 ビッグバン宇宙2――宇宙開闢約0.1秒後「以前」
第4章 インフレーション理論
第5章 私たちの住むこの宇宙が、よくできすぎているのはなぜか
第6章 無数の異なる宇宙たち――「マルチバース」
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
第6章 無数の異なる宇宙たち――「マルチバース」 より
重力における無限大の問題
この章の最初の節で、素粒子の標準模型には重力が含まれていないことを述べました。ただ問題は、単に重力が標準模型に含まれていないことだけではないのです。実は、長時間にわたってずっと、量子力学的に完全な重力理論は、その糸口になるようなことでさえつかめていなかったのです。
その理由の1つは無限大の問題です。アインシュタインの一般相対性理論を単純に量子力学的にして実験で観測可能な量を計算すると、結果が全て無限大になってしまうのです。
同じような無限大は、重力を含まない理論(その1つが標準模型ですが)にも現れます。しかし今の私たちは、20世紀半ばの多くの物理学者たちの研究のおかげで、このような無限大をどう処理したらよいかを知っていますし、それが何を意味するのかもわかっています。重力を含まない、自己完結した場の量子論では、実際これらの無限大は、全て適切に処理できます。その結果、観測可能な量同士の関係からは無限大は完全に現れなくなります。
ところが、重力理論の場合は同じようにはいかないのです。この問題は、理論物理学において、いつも主要な問題として研究者たちを悩ませてきました。
リチャード・ファイマンは、電磁気力の量子理論において最初に無限大の問題を解決した1人ですが、重力理論においては解決することはできませんでした。ファイマンだけではなく、他にも第一線で活躍する多くの理論物理学者たちがこの問題に挑戦しましたが、そこにはいつも大きく立ちはだかる壁がありました。しかも、重力は他の力に比べてあまりにも弱いため、実験によって重力の量子的性質に迫ることも考えらえませんでした。
一気に有力候補が浮上
ところが1970年から1980年代、思わぬところに解決へ向けての展開が現れました。強い力がゲージ原理に基づく力として理解できることが明らかになる前の1970年代、この力を記述する理論の候補として、ある理論形式が調べられていました。それは弦理論と呼ばれ、自然界の基本的構成要素は点状である粒子ではなく、ひも状の弦(ストリング)であるというものでした。
1970年代半ばに強い力がゲージ原理に基づく場の量子論で記述できることが明らかになるにつれ、この弦理論は、一度注目されなくなっていきます。しかし1970年代後半から1980年代にかけて、現カリフォルニア工科大学のジョン・シュワルツ、ケンブリッジ大学のマイケル・グリーンらによって、実はこの理論は強い力の理論ではなく、重力をも記述する(そして標準模型の3つの力をも含む)完全な量子力学的理論であることが明らかになったのです。特に超対称性と呼ばれる構造を加えた構造を加えた超弦理論という形式は極めて美しく、自然界において重力を記述する理論の有力な候補と考えられています。
実際、超弦理論は現在私たちが持つ、ほぼ唯一な完全な量子重力理論です。
超弦理論は調べれば調べるほど新しいことが見つかる非常に奥深い理論で、まだその全貌は完全にはつかみきれていません。そして現在に至るまで多くの物理学者たちが、この研究にエネルギーを注ぎ続けています。
では、超弦理論が量子重力の有力な候補なのはよいとして、それは私たちが問題にしてきた真空のエネルギー密度の話と何の関係があるのでしょうか?
超弦理論の予言
超弦理論の予言の1つに、時空の次元が4より大きいというものがあります。私たちは通常、3つの空間次元の1つの時間次元を持つ、4次元時空に住んでいると考えています。これは、何かが起こった時点を完全に指定するのに、3つの空間座標(通常x、y、zを使う)および時間(t)を指定すればよいという意味です。たとえば、2機のヘリコプターが空中が空中で落ち合うためには、緯度、経度、高度、時間という4つの数を指定しておけばよいのです。
ところが超弦理論によると、理論が数学的に無矛盾であるためには時空の次元の数は、空間9次元、時間1次元の10でなくてはなりません。より正確には、空間の次元とは何であるかというのはもっと微妙な話で、記述の仕方によっては11次元やより高い次元とみなすこともできるのですが、いずれにしても高次元であるということに変わりはありません。この予言は、一見私たちが知覚する時空が4次元であるという事実と矛盾しているように見えます。しかし、これは必ずしもそうではないのです。
たとえば図6-2(空間の次元、遠くから見れば線でも実際は円筒である。画像参照)に示した円筒状の細長いチューブで考えてみましょう。この表面は2次元の空間です。円筒の表面の1点を指定するためには、チューブの長さ方向の座標と円周方向の角度の2つの数を指定すればよいからです。しかし、もしこのチューブを大きなスケールから眺めたら、それはただの線、すなわち、1次元空間に見えるでしょう。
このように、空間の中のいくつかの方向への広がりが、その大きさが知覚できるサイズよりはるかに小さかったならば、その方向に対応する次元は「小さすぎて見えない」ということになります。図6-2の場合は、円筒状に丸まっている方向が小さすぎて見えないということになります。超弦理論によれば、私たちの時空にはこのように小さな6次元(超弦理論の10次元から、私たちが知覚する4次元を引いた6次元)の丸まった「余計な」次元が存在しているということになるのです。このような次元を、コンパクト化された次元、もしくは余剰次元と言います。