じじぃの「科学・芸術_318_マグネシウム(Mg)」

サイエンスZERO「軽い!強い!燃えにくい!夢の新素材 新マグネシウム合金」 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YnWM8CEYtOk
KUMADAI不燃マグネシウム合金

サイエンスZERO 「軽い!強い!燃えにくい!夢の新素材 新マグネシウム合金」 2017年9月2日 NHK Eテレ
【キャスター】南沢奈央竹内薫 【ゲスト】河村能人(熊本大学教授)
日本の研究者が、夢の新素材・マグネシウム合金を生み出した。強度・難燃性という課題を克服。
ジュラルミンよりも優れていると、産業界が注目。実用化研究が加速している。
開発したのは、専門外だった研究者。材料の選定や製造方法など、全く新しい方法で、課題を乗り越えた。今、航空・自動車・医療など、さまざまな産業で実用化研究が加速している。マグネシウム合金の誕生の秘密と、その可能性に迫る。
https://hh.pid.nhk.or.jp/pidh07/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20170902-31-18684
『元素118の新知識 引いて重宝、読んでおもしろい』 桜井弘/著 ブルーバックス 2017年発行
元素発見者ランキング より
元素を初めて発見した人々の物語を知ることは、元素の歴史を学ぶことにつながり興味深い。アメリカのシーボーグをリーダーとするグループによる人工元素の合成・発見が群を抜いて多い。
ベルセーリウス、ヒシンイェル(スウェーデン)とクラップロート(ドイツ)によるセリウム(Ce)の同時発見は、元素の第1発見者をめぐる国を挙げての論争となった最初の例である。
順位 発見者(国名)         発見元素数 発見元素

                                                                                                                                  • -

1  シーボーグ(アメリカ)     9      Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No
2  デービー(イギリス)      6      Na K Mg Ca Sr Ba
3  ラムゼー(イギリス)      5      Ar He Kr Ne Xe
4  シェーレ(スウェーデン)    4      Cl Mo W Mn
4  ベルセーリウス(スウェーデン) 4      Se Ce Th Si
6  クラップロート(ドイツ)    3      U Zr Ce
6  ボアボードラン(フランス)   3      Ga Sm Dy
Mg マグネシウム/Magnesium 12 より
イギリスの化学者デービーは1808年、水銀を陰極にした電気分解により、硫酸マグネシウム(MgSO4)からマグネシウムアマルガム(水銀合金)の形で得た。
1828年にフランスの化学者ビュシーが無水塩化マグネシウム(MgCL2)を金属カリウム(K)とともに溶融して、純粋な金属マグネシウムを初めて分離した。ギリシャのマグネシア(Magnesia)地方からマグネシウム鉱石である滑石が産出することにちなみ、デービーが命名した。
マグネシウムは単体として天然には産出しないが、塩類や岩石として自然界に多量に分布し、地殻の金属元素としては7番目に多い。ケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウムマグネシウムの順。
海水、動植物にも含まれる。主要鉱物はそれぞれ水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウムマグネシウム(CaMg(CO32)、炭酸マグネシウム(MgCO3)を主成分とする水滑石、苦灰石、菱苦土石である。
金属マグネシウムは熱還元法と電解法で製造される。熱還元法はフェロシリコン法ともよばれ、ドイツで始まり、第二次世界大戦中にカナダで発展した。ケイ素と鉄の合金であるフェロシリコンを苦灰石と混ぜ、真空下で1200℃に加熱蒸留して金属マグネシウムを分離・製造する方法である。電解法では、塩化マグネシウム(MgCL2)が電解により塩素と金属マグネシウムに変わる反応を利用する。
塩化マグネシウムは海水中に濃度0.13%で含まれる。金属マグネシウムを毎年1億t、100万年にわたり海水から生産しても、海水中のマグネシウム濃度は0.01%しか減らない。海水からの効率的で経済的な塩化マグネシウム抽出法が進歩したので、電解法は有望である。
単体マグネシウムは銀白色の軽量金属で、密度はアルミニウム(Al)の3分の2と軽い。このためマグネシウムは航空機、船、自動車など重量節約が問題となる輸送機関の機体やエンジン材料として使われる。フォルクスワーゲン社の自動車ビートル(かぶとむし)には、20kgのマグネシウム合金がエンジン部分に使われている、また、大陸間を後続可能な長距離ミサイルの構造体にもマグネシウム合金が利用されている、
      ・
海水を濃縮して塩化ナトリウム(NaCL)を取り出した後、さらに煮詰めると。塩化マグネシウムなどを主成分とする苦い塩類混合物の液体または固体が残る。これはニガリとよばれ、水溶性の大豆タンパク質である豆乳を豆腐に変える凝固剤である。
マグネシウムは生体必須元素である。体重70kgの成人の体には105g含まれ、タンパク質、核酸、脂質の生合成に関わる酵素類の活性化、軟骨と骨の成長、脳と甲状腺機能維持に重要である。リン酸塩、炭酸塩として骨や筋肉に分布し、欠乏すると筋肉がふるえ、脈が乱れる。しかし、体内でのマグネシウム代謝についてはまだよくわかっていない。