じじぃの「科学・芸術_287_映画『ミクロの決死圏』」

ミクロの決死圏 Fantastic Voyage 1966 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=9AKvEE_Gj7Y
Mickey Mouse silhouette

マイクロチューブル(微小管)と、意識(魂) 2016-11-27 ありがと菜
ずっと、宇宙からの課題として与えられていた、微小管、中心体について、色々なことが繋がったので、うれしくて、書きます☆
https://ameblo.jp/si-rabei/entry-12223307035.html
『脳と心の量子論―場の量子論が解きあかす心の姿』 治部眞里、保江邦夫/著 ブルーバックス 1998年発行
ミクロの決死圏 より
SF映画のファンの方なら、「ミクロの決死圏」と聞いただけでおわかりですね。
脳の奥深くに病巣があり、通常の脳外科手術では救えない患者のため、医師や科学者が乗り込んだ小型潜水艇をミクロのサイズにまで縮小して体内に送り込むという壮大なストーリーです。
しかし、多くの人には、アメリカのフロリダ州オーランドにあるディズニーワールドの方がおなじみかもしれません。エプコットセンターにあるたくさんのテーマ館の1つに、人体をテーマにした「生命の不思議館」があります。
人間の身体の中をミクロの宇宙船に乗り込んで探検するというスクリーンショーはたいへんな人気です。前方のスクリーンに目まぐるしく映し出される画像のスピードに合わせて椅子が微妙に動くと、まるで自分がほんとうにミクロの宇宙船に乗っているような錯覚に陥り、エキサイティングそのもの。
とてもそのようにはいきませんが、私たちもいまから脳のミクロの世界をめざし、変幻自在に大きさを変えられる仮想宇宙船エルヴィン号に乗り込むことにしましょう。
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仮想宇宙船エルヴィン号は、まるで潜水艇のように脳細胞の海の中を進んでいきます。そこらじゅうに藻のようなものが張り巡らされ、まるでほんとうの海の中にいるようですが、この細胞の海は細胞質と呼ばれ、ほとんどが水でできています。
ときとして激しい流れもあるようです。エンジンを止めてしまうと私たちの潜水艇は激しく揺れ、不安定でたまりません。
ブイのようなものが海面を覆うようにして集まってできた細胞膜の直下まで浮上すると、潜水艇は急に動きが取りにくくなるようです。細胞質の海の中に張り巡らされた藻のようなものの近くでも同じです。
まるで、細胞膜の直下や藻のようなものの近くでは、水の性質がちがっているようなのです。私たちの潜水艇の動きが鈍くなるのは、このあたりの水が何か目に見えない立体構造を形づくっていて、私たちの行く手をふさいでいるからではないでしょうか。
いったい、なぜこのような不思議なことが細胞質の海の中で起きているのでしょう?
仮想宇宙船エルヴィン号をもっと小さくして、藻のようなものの細やかな作りを見ていくことにしましょう。少しだけショックがありますが、危険はありません。
さあ、もう一度つまかって!
これまで私たちが藻のようなものと思ってきたものは、生物学の専門用語では細胞骨格と呼ばれる細長いミクロの物質です。電子顕微鏡でなんとか見ることができますが、それでも見えないほど細いものもあります。
細胞骨格の中には、ホースやストローのような細い管の形をしたマイクロチューブル(微小管)と呼ばれるものと、細い鎖のような形をしたマイクロフィラメント(微小紐)と呼ばれるものがあります。
マイクロチューブルはチューブリンと呼ばれるピーナッツの殻に似た形をしたタンパク質分子が、13個で1周するように螺旋状に取り巻いてできた中空の細長い筒状の物質です。マイクロフィラメントはアクチンやミオシン、コラーゲンなどの鈴に似た形をしたタンパク質分子が鎖状につながってできた細長い紐状の物質です。
どちらも細胞質の海の中に縦横に張り巡らされ、立体的なネットワーク(網目模様)を形づくっています。
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細胞が生きている間は、マイクロチューブルやマイクロフィラメントも、全体として大きな電気双極子になっているようですが、細胞が死んでからは秩序を失い、このような電気的性質を示さなくなるのです。
私たちが藻だと思っていたマイクロチューブルやマイクロフィラメントのまわりの水が、ほんとうに何か目に見えない立体構造を形づくっているかどうかを調べるには、この大きな電気双極子がとても重要な鍵になってきます。
大きな電気双極子のまわりでは、水はもはやふつうの水ではなく、まったくちがった状態になるようなのです、
どうして大きな電気双極子のまわりでは、水の状態が変わらなければいけないのでしょうか?
ここはひとつ、私たちの仮想宇宙船エルヴィン号をさらに小さくして、水の分子を細かく見ていくことにしましょう。