じじぃの「渡り鳥はどうやって目的地まで針路を決めるのか?量子力学で生命の謎を解く」

ジム・アルカリリ:量子生物学は生命の最大の謎を解明するか?
動画 ted.com
https://www.ted.com/talks/jim_al_khalili_how_quantum_biology_might_explain_life_s_biggest_questions/transcript?language=ja

A Call for Cooperation: Saving the Places Migratory Birds Call Home
動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=hSdWhzKr0FY

渡り鳥

地球ドラマチック 渡り鳥を守れ!大移動1万キロの危機
2023/11/4 NHK
渡り鳥であるシギの仲間は、50年前の半分に減少。さらに生息環境の悪化で、個体も小型化しているという。
その危機を食い止めようと、研究者たちがオーストラリア、チリ、モーリタニアのシギ類にGPSどを装着。謎に包まれていた渡りのルートを解明し、生息地域を守ろうと奮闘する。1万キロあまりの旅を経て、渡り鳥たちは無事に繁殖地に到着することができるのか。
(仏・オーストラリア・台湾・米国 2022年)#SDGs

地球上には何通りもの大規模な渡り鳥の渡りルート(フライウェイ)がありますが、そのうちの一つでオーストラリア・ニュージーランドとシベリア・北極圏・アラスカを太平洋の西側の列島やユーラシア大陸沿いに結ぶ経路は「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ (EAAF)」と呼ばれています。
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2023110423013

『もっと「話が面白い人」になれる雑学の本』 竹内均/編 知的生きかた文庫 2012年発行
渡り鳥はどうやって針路を決めるの? より
人間のつくった国境などに関係なく大空を飛び回る渡り鳥は、まさに自由の象徴です。世界中にたくさんいる渡り鳥の中で、最も長い距離を移動するのがキョクアジサシ。何と、北極と南極の間を毎年往復しているといいますから驚きです。
彼らは地図もないのに、どうやって片道1万5000キロ(最短直線距離)以上の長旅ができるのでしょうか。
目的地までたどり着くには、まず方角がわからなくてはなりません。一般にツルやワシなどの大型の渡り鳥は昼間、また、外敵の多い小鳥類は夜に移動します。そこで前者のタイプは太陽、後者は夜空の星座を見て、飛ぶべき方向を決めています。
しかし、曇りや雨の日は星も太陽も見えません。こんなとき、鳥たちは地球の磁力線を感知して方角を知ります。鳥は脳の中に磁鉄鉱(磁石)を持っているのです。
このように、渡り鳥は太陽と星座、磁気をコンパスにして飛んでいるのは間違いないのですが、これだけでは説明できない謎の部分もあるのも事実。
たとえば、強い風のあおられて針路がずれた場合でも、鳥たちは自分の位置を正確に判断した上で、飛ぶ方向を修正します。また、太陽の位置から方角を知ることはできても、緯度や経度までどうやって割り出せるのでしょうか。
どうやら鳥たちには、人間には想像もつかないような超能力を備えているのです。

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量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待 ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン/著、水谷淳/訳 Amazon
古典物理学では解明できなかった生物の謎(渡り鳥の磁気コンパス、酵素、臭い、遺伝子や進化、心、生命の誕生など)について、量子力学の理論(飛び飛びのエネルギーレベル、波動と粒子の二重性、コヒーレンス、トンネル効果など)を適用させようという試みが見える。
量子力学は熱による外乱のない、非常に微小な領域でしか成立しないはずだが、それがなぜ「温かく湿った」細胞に表出してくるのか仮説を述べている。仮説レベルの話も多いが、量子力学が謎を解く鍵になるかもしれないと感じさせてくれる。

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量子力学で生命の謎を解く - 呼吸、光合成、嗅覚、磁気感覚…。生命の秘密は、量子の世界に隠されていた!』 ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン/著、水谷淳/訳 SBクリエイティブ 2015年発行
ラジカルな方向感覚 より
地磁気のような弱い磁場がいったいどのようにして、化学反応の結果を変えるだけの十分なエネルギーを与え、たとえばコマドリに飛ぶべき方角を教える生物学的信号を発生させるのだろうか。
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しかしクラウス・シュルテンは、鳥の身体のどこでこの遊離基(原子間の結合が切れ、切り離された原子)反応が起きているのか見当も付かなかった――おそらく脳のなかが一番理にかなっているとは思ったが。しかしこのメカニズムが作用するのは、そもそも遊離基のペアが作られなければならない。シュルテンはゲッティンゲン大学で自らの研究グループとともに、レーザーパルスを使って量子もつれ状態にある遊離基のペアを生成する実験をおこない、その結果を1978年にハーヴァード大学で発表した。その聴衆のなかに、のちにノーベル化学賞を受賞することになる著名な科学者、ダドリー・ハーシュバックがいた。シュルテンの講演が終わるとハーシュバックは、からかい半分に次のように質問をした。「でもクラウス、鳥の身体のどこにレーザーがあるんだい?」 このような年上の教授に対しては理にかなった答え方をしなければならないとプレッシャーを感じたシュルテンは、遊離基のペアを活性化させるのに本当に光が必要だとしたら、このプロセスは鳥の目のなかで起きているのかもしれないと答えた。
シュルテンがこの遊離基のペアに関する論文を発表する1年前の1977年、オックスフォード大学の物理学者マイク・リースクがやはり『ネイチャー』に発表した論文のなかで、磁気感覚の源は目のなかの光受容体にあるのかもしれないと推測していた。さらにリースクは、目のなかにある色素分子であるロドプシンが磁気感覚を担っているのではないかとまで提唱した。このリースクの論文を読んでヴォルフガング・ヴィルチュコは興味を抱いたが、鳥の磁気受容に光が役割を果たしていることを示す実験的証拠はなかった。
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このように、鳥のコンパスにはまだいくつもの謎が残されている。たとえば、コマドリのコンパスはなぜ振動磁場にあれほど敏感なのか? あるいは遊離基はどのようにして長時間にわたってもつれ状態を維持し、生物学的な違いを生じさせるのか? 2011年にオックスフォード大学のヴラトゥコ・ヴェドラルの研究室が、提唱されている遊離基ペアコンパスの量子理論計算をおこない、重ね合わせ状態ともつれ状態は少なくとも数十マイクロ秒維持されるはずだということを示した。同種の人工的な分子システムの多くをはるかに上回る長さだし、コマドリが飛ぶべき方向を知るのにも十分な長さだろう。

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どうでもいい、じじぃの日記。

渡り鳥はどうやって針路を決めるのか?
最近の研究では、目の網膜に「クリプトクロム」という光受容体が含まれており、その生化学的反応で弱い磁場変異を感知しているのではないかといわれている。
こうした磁気感覚は、鳥だけでなくゴキブリやショウジョウバエなども持っているのだそうだ。
目が光という波長を脳に伝える器官だとすれば、磁場という波を捉える器官を併せ持っていても不思議ではない気がする。