Animated Epics / Don Quixote 1 動画 Youtube
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セルバンテス作 ドン・キホーテ
ドン・キホーテ 2011-02-08 長谷磨憲くんち
この小説の内容は単純なもので、難しいところは無い。
発表された当時は大変な人気で、版を重ねたそうだ。
主人公のアロンソ・キハーノは騎士道物語を読みすぎて、空想が膨らんでしまい自分を本物の騎士と思いこんでしまう。
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『世界文学大図鑑』 ジェイムズ・キャントンほか/著、沼野充義/監修 三省堂 2017年発行
人はみな、おのれの所業の子である 『ドン・キホーテ』(1605年〜15年) ミゲル・デ・セルバンテス より
セルバンテスと同時代に活躍したウイリアム・シェイクスピアの戯曲が近代劇の祖にあたるのと同様に、『ドン・キホーテ』は近代小説の祖にあたる。どちらも主人公の動機、行動、感情をそれまで試みられなかった手法で深く掘りさげて、ハムレットやマクベス、ドン・キホーテといった登場人物に複雑な性格をもたせ、それぞれに現実味を帯びさせている。
セルバンテスの小説が生み出した主人公は、昔の騎士物語に登場する気高く勇敢な英雄に魅せられ、それを真似て「ドン・キホーテ」と名を改める。とはいえ、ここに登場する人々は寝食のような日常些事の心配をする。彼らが旅する世界には宿屋があり、風車が現れおもしろくもない道をひたすら進む。なんの変哲もないない舞台であり、現実の世界と似ている。
また、この小説は「写実主義」として知られる文学上の手法にも従って進行する。すべての事件は時と場所が一致するなかで起こり、そこに魔法や神話ははいりこまない。
とはいえ、この小説では幻想が確たる位置を占めている――ただしそれは主人公の頭のなかにかぎられる。ドン・キホーテは宿屋の亭主、娼婦、山羊飼い、兵士、司祭、逃げてしまう囚人、ふられた恋人たちに出くわすが、そうした遭遇が主人公の想像力によって頭の中で誇張され、騎士道遍歴譚のたぐいに化していく。錆びついた甲冑に身を固め、ロシナンテと名を改めた老馬にまたがり、ただの農夫のサンチョ・パンサを「従士」に取り立てたドン・キホーテは、騎士道物語の伝統に従ってドゥルシネアと呼ぶことにした田舎娘に愛を捧げる。主人公の夢想の世界では、ありふれた日常が非日常に化ける。その不滅の象徴がラ・マンチャの風車であり、ドン・キホーテは妄想を高じさせた果てに風車を恐ろしい敵と思いこんで、好機到来とばかり突撃する。
現実と幻想との食いちがいがこの本の喜劇性(と、それに劣らず悲劇性)の源であり、主題でもあり、以後4世紀にわたってこれがフィクションを世界じゅうで育んできた。しかし、セルバンテスは小説の後編でこれをより深めた。後編の出版は前編の10年後であった。
後編では、ドン・キホーテ自身を含めた登場人物は、自分たちが登場する前編をすでに読んでいるか、少なくとも噂を聞いている。見ず知らずの人々がドン・キホーテやサンチョ・パンサと出くわす場面では、相手はすでにふたりの経歴を承知している。たとえば、ある公爵夫妻はドン・キホーテの冒険譚をすべて読んでいたので、本人と会って大喜びする。これは愉快とばかり彼をだまして笑い物にすることにして、おもしろ半分に架空の冒険をつぎつぎ仕立てあげ、加虐性を帯びた悪ふざけを延々くりだしていく。高潔さは社会的地位とはなんの関係もない、とセルバンテスは暗に語る。