じじぃの「科学・芸術_245_南アフリカ・中国との深い関係」

Standard Bank opens Africa China Banking Centre 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tXNFyH7enb8

中国工商銀行、南アのスタンダード・バンク買収で合意 2014-01-30 サーチナ
中国国有銀行の中国工商銀行は29日、南アフリカ共和国の民間銀行大手スタンダード・バンク・グループの英国の商品・外国為替トレーディング事業部門の株式60%を取得することで合意したと発表した。
双方は関連する手続きを進めている段階である。30日付中国証券報が伝えた。
http://biz.searchina.net/id/1522779?page=1
南アフリカを知るための60章』 峯陽一/編著 赤石書店 2010年発行
スタンダード銀行と中国 南アと中国の深い関係 (一部抜粋しています)
2007年10月、中国工商銀行が南アのスタンダード銀行の株式の20%を取得すると発表した。総額およそ6300億円、中国史上最大の対アフリカ投資であった。このニュースは日本を含む世界の経済界に衝撃をもって迎えられた。このニュースが衝撃的だったひとつの理由は、スタンダード銀行がアフリカ最大の銀行だからである。
スタンダード銀行は1862年に英国南アフリカ・スタンダード銀行として、ポートエリザベスを本拠に設立され、その後英領アフリカ一帯に支店網を展開していった。1969年には英領アジアを営業圏としていたチャータード銀行と合併して、イギリスに持株会社を置くスタンダード・チャータード銀行となった。
しかし反アパルトヘイトの国際世論が高まるなかで、1987年にスタンダード・チャータード銀行は旧スタンダード銀行を分離し、スタンダード銀行は再び南ア企業になった。スタンダード・チャータード銀行との差別化を図るため、南ア以外の支店については、スタンダード銀行は「スタンビック」の名称をとることになった。現在でもアフリカ各国でもっともよく見かける銀行として、スタンビックとスタンダード・チャータードの看板を目にすることができる。アフリカに強い基盤を有していたイギリスのバークレー銀行が、やはり反アパルトヘイトの世論に配慮して1986年に南アから撤退しているので(バークレーは2005年に南アに復帰した)、現在アフリカ大陸に最大の営業網をもっている銀行は、17ヵ国に展開するスタンダードと、13ヵ国に展開するスタンダード・チャータードであろう。南アに進出している日本企業も、ほとんどはスタンダード銀行をメインバンクとしている。
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中国工商銀行の資本参加が衝撃的だったもうひとつの理由は、中国のアフリカ経済攻勢がアフリカ最大の銀行を動かしたことで強力な基盤を獲得し、さらなる段階に向けて進化することを予想させたからである。
急激な経済成長を続ける中国は大量の資源を必要としている。たとえば石油についてみると、中国は日量300万バレルの産油国である。一方、毎年2000万トンもの需要増があり、1993年から石油輸入国になった。その輸入量は年を追うごとに増えている。独自の資源権益を確保したい中国は2000年から資源外交に乗り出し、アフリカ各国に投資と援助による果敢な経済外交を展開し始めた。2000年に中国ーアフリカ協力フォーラム(FACOC)を立ち上げて3年ごとに開催しており、06年には元首級会議に格上げして北京サミットを開いた。胡錦濤国家主席温家宝首相をはじめとする要人の往来もきわめて頻繁である。
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ダルフール紛争を抱えるスーダンや、独裁政権のもとで経済が崩壊したジンバブエに対する支援が国際的に取り沙汰される中国は、資源賦存国へのあからさまな進出ぶりを問題視されているのだが、中国がアフリカ大陸でもっとも重視している国は南アである。南アにはすでに、推定40万人の中国人が居住している。南アの鉱物資源はメジャーががっちりと掌握しているので、他アフリカ諸国と違ってそこに入り込むことは容易ではない。そこで中国は、南アの有識者層を頻繁に中国に招聘するとともに、社会科学院や国営企業の要員を南アに送り込んで、アフリカ情報の収集とアフリカ・ビジネスの習得を図っているように見える。南ア企業もまたさかんに中国に投資しているので、中国と南アの経済関係は、他アフリカ諸国とはちがったかたちで着実に進展している。世界の鉱山業界が最大の関心を払っているのが中国の資源需要動向だが、その鉱山業界において南アフリカ人は重要な位置を占めているから、双方向の経済交流が起こっているのである。
そのことを考えると、南ア最大にしてアフリカ最大の銀行と中国が手を結んだことは、大きな意味をもっている。スタンダード銀行と中国工商銀行は共同でアフリカの資源案件発掘にあたるとしている。
2009年5月、両行は初の共同案件を発表した。ボツワナの火力発電所に対する融資であった。ボツワナの電力開発は、自国のためというより、隣国南アへの売電を目的とするものである。