じじぃの「識字障害・知能テストの正解率を上げる方法!逆転」


『逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密』 マルコム・グラッドウェル/著、藤井留美/訳 講談社 2014年発行
識字障害者が勝つには より
識字障害(文字の読み書きが困難な障害)を持つ人の脳をスキャンすると、奇妙な特徴があることに気づく。言葉を読みとり、処理する重要な灰白質が少ないのだ。すなわち神経細胞の数も少ないことになる。
子宮内で胎児が育つとき、脳の神経細胞はちょうどチェス盤に駒を置くように、必要な場所に必要な数だけ配置される。ところが何らかの理由でこの配置がうまくいかず、迷子になった神経細胞が本来とちがう場所に定着することがある。識字障害では、脳内の内側に神経細胞が集中することがある。空港で乗客が足止めを食らっているようなものだ。
識字障害の患者が字を読んでいるときの脳をスキャンすると、まるで大停電が起きた町を上空から見た時のように、明るく光るべきところが暗いままだ。患者は文字を読むとき、健常者より右脳を多く使っている。だが、概念中心の右脳にとって、厳密で正確さを要求される読字作業は得意ではない。そのため反応に遅れが出る。
識字障害の有無を確かめるテストのひとつに、RAN(Rapid Automatized Naming)と呼ばれるものがある。赤、緑、青、黄と色の異なる点が画面に次々と現れるので、それを見てできるだけ速く色を答えるのだ。色を見て、認識して、色の名前と結びつけて。声に出す――ほとんどの人は無意識にやっている作業だが、識字障害者はこの4つのプロセスのつながりがうまくいかない。「キャ」「アッ」「ト」という3つの音を聞いて、「キャット」という単語を言えるのか。「キャット」「ハット」「ダーク」のうち、音が仲間はずれの単語は? どちらも健常な4歳児なら簡単に正解できる問題だが、識字障害児には難しい。
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世間で有利とされていることだが、実は誤った思いこみだったりする。これまではそうした例を見てきたが、今度は反対に「不利」について考えてみよう。
不利なことは避けるべきだというのが世間の常識だ。さもないと状況が後退したり、難しくなったりするからだ。だがかならずしもそうではない。ここからは「望ましい困難」について掘りさげてみたいと思う。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者、ロバート・ビョークとエリザベス・ビョークが提唱したこの概念は、なぜ羊飼いの少年が屈強な兵士に勝てるかを理解するうえでまたとないヒントになる。
まずは次の問題に挑戦してほしい。
 1 バットとボール の値段は合わせて1ドル10セント。バットの値段はボールより1ドル高い。ボールの値段はいくら?
(自分で解いてみてください)
 2 5分間に5個の部品を製造できる機械が5台ある。この機械を100台使って100個の部品をつくるのにかかる時間は?
(自分で解いてみてください)
このクイズは、世界でいちばん短い知能テストとも言える「認知反射テスト(CRT)」の一部だ。イェール大学のシェーン・フレデリック教授が考案したもので、単純な問題文を読んで衝動的に答えを出すのではなく、分析的な判断ができるかどうかを調べる。
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CRTはけっこう難しいが、実は正解率を簡単に上げる方法がある。ハードルをちょっとだけ高くするのだ。心理学者のアダム・オルタ―とダニエル・オッペンハイマーが、プリンストン大学の学部生を対象に実験してみた。まずは通常通りにCRTに挑戦してもらう。正解率は1.9だった。MITの2.18には及ばないものの、まずまずの成績だ。続いて、字の大きさや書体をわざと読みづらく印刷した問題文で解いてもらった――たとえば、文字をロダン墨東体にして30パーセントグレーをかけたものだと、こんな感じになる。
 1 バットとボール の値段は合わせて1ドル10セント。バットの値段はボールより1ドル高い。ボールの値段はいくら?
(グレーをかけしていない)
すると正解率は――2.45に上昇した。MITを抜いたのである。

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どうでもいい、じじぃの日記。
マルコム・グラッドウェル著『逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密』という本に、簡単な知能テストが2題、載っていた。
1の問題、答えは10セントじゃありませんよ。
2の問題、答えは100分じゃありませんよ。
参考まで.
1のヒント.110 = 105 + ? セント
2のヒント.20グループ x ? 分 = 100個