じじぃの「科学・芸術_181_サウジアラビア・女性の地位」

10 Minutes: Saudi Women's Rights 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_C4-_MD9LOQ
女性の車運転は禁止!

サウジ女性、運転は遊園地の乗り物で 2016年6月27日 WSJ
ジョウディ・アルオメリさん(27)は、遊園地の狭い場所で車をぐるぐると走らせ、目の前に別の車が来るとそれをよけた。彼女が運転していたのは、電動のバンパーカー(周囲を柔らかいバンパーで覆われた車)だ。サウジアラビアでは、この乗り物が必ずしも名前通りの機能を果たしているとは限らない。
「私がここに来たのは車を運転したいからだ」。5分ほど運転した後で、アルオメリさんはまだ興奮気味だ。
http://jp.wsj.com/articles/SB12616845268056034052504582153790145643440
サウジアラビアを知るための63章【第2版】』 中村覚/著 赤石書店 2015年発行
女性の地位と暮らし 女性の運転免許とヴェールをめぐって (一部抜粋しています
頭のてっぺんから地面を擦るほど裾が伸びた真っ黒の衣装を身に纏い、ショッピングモールをゆっくりと歩く女性。サウジアラビアを訪れた外国人の多くは、中東諸国でも類を見ないほど厳重に体のラインを隠したサウジアラビアの女性の姿に圧倒されてしまう。顔を出している女性もいるが、中には目すらも黒い布で覆い、黒の手袋で手まで隠している女性もいる。ごく一部の地域を除けば、外国人女性であっても外出時にはアバーヤ(女性用の黒い長衣)を着用しなければ、ムタウウィウの注意を受け取ることは必至である。この他にも、サウジアラビアの女性は、周辺諸国ムスリマに比べるとより詳細な行動上の「制約」を受ける。たとえば、公共の交通機関が整備されていないにもかかわらず女性には自動車の運転が禁止されていたり、女性は、夫や父親などの男性であるマフラム(後見人)の許可なく旅行することができない。
クルアーンにおける女性の服装や行動に関する章句は、このような厳しい社会習慣をすべて明言して裏付けるものではない。ヴェールについては「かの女らの視線を低くし、貞淑を守れ、外に表われるものの外(ほか)は、かの女らの美(や飾り)を目立たせてはならない。それからヴェールをその胸の上に垂れなさい。自分の夫または父の外は、かの女の美(や飾り)を表してはならない」と述べられているが、真っ黒の衣装で全身を覆わなければならないとは定められていない。また、女性の自動車運転の禁止については、イスラームが誕生した当時に自動車が存在しなかったことからも、禁止する表現が存在しないことは明白である。サウジアラビアで最も強い影響力を持った前最高法官の故シャイフ・アブドィルアジーズ・ビン・バーズ(1999年没)はクルアーンの中で預言者の妻たちに向けて述べられた「あなたがたの家に静かにして、以前の無知時代のように目立つ飾りをしてはならない。礼拝の務めを守り、定めの施しをなし、アッラー使徒に従順であれ。家の者たちよ、アッラーはあなたがたから不浄を払い、あなたがたが清浄であることを望まれる」を引用しつつ、「女性の運転は性的誘惑を呼び起こす」との見解を示した。また、彼は、男女が2人きりになると「悪魔が忍び込む」ため、女性は家族以外の男性が運転する自動車に乗ってもいけないとした。
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アッ=ズルファ(女性の権利推進派)氏の提案を受けて、インターネット上では、女性の運転免許の是非を巡って実に激しい議論が繰り広げられた。また、サウジアラビア人男女102名を募った女性の自動車運転許可を求める請願書が国家人権協会に提出された。請願書はアッ=ズルファ議員を支持するもので、多くのサウジアラビア人家庭がドライバーを雇う経済的余裕がないことや、自動車を運転できずドライバーに委ねるしかない実情に女性らが屈辱感を覚えていることはイスラームの教えに反すると主張した。すると、2005年7月末にはこれとは全く反対の意見を持つ約500名の女性がアブドッラー皇太子(当時)に別の請願書を提出した。彼女らは、女性の自動車の運転が許可されれば、女子校など女性の集まる場所で騒ぎが起こる可能性があるので女性の運転は許可すべきではないと主張する。この請願書の署名者は、大学教授、教師や医師などが中心であると報じられている。