じじぃの「科学・芸術_175_スイス・秘密のプライベート銀行」

パナマ文書 なぜ米国やスイスが出ない?どこまで広がる合法だけどやましい話!【高橋洋一 動画 YouTube
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世界のタックス・ヘイブン (租税回避国)

改革が進むスイスの金融業界 だが課題は山積み 2015-01-13 SWI swissinfo.ch
スイスの金融業界が国際的に認められ、競争力を保つためには、税制度が透明でなければならない。その点でスイス政府、連邦議会の多数派、スイス銀行協会の意見は一致している。
OECDの基準を満たさないと、租税回避地タックスヘイブン)のブラックリストに載る恐れがあるため、スイスは14年に規制を改正。同年の夏以降、スイスの銀行は他国から口座情報を開示するよう要請された場合、その口座の持ち主に事前に知らせることなしに、情報を当該国に提供することになった。また、無記名株も廃止され、今後は購入時に株主の登録が義務付けられた。
http://www.swissinfo.ch/jpn/%E7%A8%8E%E3%81%AE%E9%80%8F%E6%98%8E%E5%8C%96_%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%81%8C%E9%80%B2%E3%82%80%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%A5%AD%E7%95%8C-%E3%81%A0%E3%81%8C%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AF%E5%B1%B1%E7%A9%8D%E3%81%BF/41210842
『スイスを知るための60章』 スイス文学研究会 赤石書店 2014年発行
スイスの銀行 世界の金はスイスを目指す?「秘密」のプライベート・バンキング (一部抜粋しています)
映画や漫画などにたびたび登場する「スイス銀行」という言葉。これは、しばしば「秘密口座」や「隠し財産」といった語と同義的に用いられ、どこか謎めいた印象を与えるものである。しかし、実際に「スイス銀行」という名称の銀行があるわけではない。ややもすればイメージばかりが独り歩きしている感があるスイスの銀行について、その実態を概観してみることにしよう。
スイスでは金融が重要な産業になっており、その収益は、スイスの総実質生産高の11%を占めるとされている。スイスは九州よりやや狭い国土面積で、人口は約800万人という小さな国であるが、そのうち金融産業に携わる労働人口は約20万人にものぼり、これはスイス国内の総就労者数の6%を占める数である。
このようにスイスで金融業が発達した背景には、主に15世紀から16世紀にかけて盛んに行われた傭兵の派遣業、いわゆる「血の輸出」が大きな役割を果たしていた。ヨーロッパ中にスイス人兵士が派遣されることで人的ネットワークが広がり、その後の商工業の発展が促されるとともに、兵士たちが持ち帰った給料を管理する必要から、両替や資産運用などの業務が発展を遂げたと言われている。
そして今日、金融国家スイスを象徴するのが、世界屈指の規模を誇る「UBS(スイス連合銀行)」および「クレディ・スイス」という大銀行の存在だ。両行を合せた総資産の国内銀行シェアは、2008年時点で60%以上に達しており、名実ともにスイスを代表する銀行であるばかりか、今や世界のリーダー的銀行と言っても過言ではないだろう。この2大銀行の他にも、スイス国内には州立銀行、地方銀行貯蓄銀行、組合銀行、個人銀行と、合わせて327の銀行があり、他の欧米諸国に比べて、スイスは銀行の密度が極めて高い国であるとも言われている。
UBSとクレディ・スイスの両行は、金融業界の厳しい競争を勝ち抜き、さらなる成長を遂げていくため、早くから視線を海外へと向けてきた。両行は、国内外の金融機関の合併や買収を繰り返すことで資産を増やし、国際的な地位を高めてきたのである、これら2大銀行は、いわゆるユニバーサル・バンキング(証券、保険を含めて、およそ「金融」という言葉によって包括されるすべての業務)を世界的に展開するが、ここで注目したいのは、両行の全収益のうち、およそ3分の1を占めるのが「プライベート・バンキング」と呼ばれる業務である点だ。プライベート・バンキング。近年、日本でも耳にする機会が多くなってきた語であるが、これは富裕者向けの故人管理や運用の形態を指すものであり、UBSやクレディ・スイスなどの大銀行も、業務の1つとしてこれに力を注いでいる。また、いくつかの海外有名銀行もプライベート・バンキング業務の本拠地をスイスに置いており、今やスイスはプライベート・バンキングの一大中心地とも称されている。一説では、全世界の個人資産のおよそ3分の1がスイスで運用されているとも言われているほどだ。
こうした個人向けの資産運用業務に特化したのが「プライベート・バンク(個人銀行)」と呼ばれる形態の銀行であり、スイス国内にはプライベート・バンクが存在する(日本国内には、こうした形態の銀行はない)。そのうちの1つで、ジュネーブを本拠地とする「ロンバー・オディエ・ダリア・ヘンチ」は1798年の創業で、200件以上の長い歴史を持つ。同じくジュネーブを本拠地とし、やはり200年以上の歴史を持つ「ピクチ」は、スイスのプライベート・バンク中最大の運用資産額を有し、ヨーロッパ最大級の資産運用会社としても名高い。こうしたプライベート・バンクは、無限責任を有するプライベート・バンカー(私人銀行家)がパートナーとして経営に参加する「パートナー制」という形態をとっており、顧客からの預かり残高に応じた口座保管料を収益の主な源泉としている。
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度重なる世界的規模での金融危機を受け、世界の金の流れにも大きな影響が出ている。金融業界の国際間競争は、今後より一層激しさを増していくことだろう。そして、スイスの銀行に対する諸外国からの圧力もまた、より強まっていくかもしれない。これを受け、スイスの銀行は、何らかの変化を遂げていくのだろうか。あるいはまた、これまで以上にブランド力を高め、人々の関心と金を引き寄せることになるのだろうか。