じじぃの「ゲノム・遺伝子編集は今ものすごい勢いで進んでいる!サイエンスZERO」

ゲノム編集の最前線 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PCoAXfG2TrA
Cas9による遺伝子編集法 (eurekalert.org HPより)

受精卵のゲノム編集、米で臨床容認へ 遺伝疾患予防のみ 2017年2月15日 朝日新聞デジタル
米科学アカデミー(NAS)を含めた米英中3ヵ国の科学者団体は2015年、妊娠させないことを前提にした基礎研究に限り受精卵や生殖細胞のゲノム編集を容認する声明を発表したが、今回は条件付きながら臨床応用に踏み込んだ。20年以上の歴史がある遺伝子治療では、安全性や子孫に与える未知の影響、倫理面などを考慮して、次世代に影響を残さない体細胞でのみ臨床応用が認められてきたが、その一線を越えることになる。ただ、現時点で具体的な計画はなく、実施に当たっては米連邦政府の承認が必要となる。
今回認めた臨床応用が実現すれば、人為的に遺伝子が操作された子どもが生まれてくることになる。
http://www.asahi.com/articles/ASK2G5RS9K2GULBJ00X.html
サイエンスZERO 「シリーズ・ゲノム編集2」 2017年5月14日 NHK Eテレ
【キャスター】南沢奈央竹内薫 【ゲスト】山本卓(広島大学大学院理学研究科 教授)
生命の設計図DNAの遺伝情報を自在に切り貼りできる驚異の新技術「ゲノム編集」。
がんやエイズ、さまざまな難病の遺伝子を書き換え、病気を根治する究極の新治療法に迫る
治療困難な病気でも、原因となっている異常な遺伝子を突き止めてそれをチョキンと切り、正常な遺伝子に入れ替えることで根治を目指す“究極の治療法”が実現しようとしている。それを可能にするのが、「ゲノム編集」という驚異の新技術。すでにエイズ患者が健康に近い状態にまで回復するという臨床試験の成果が!一方、ゲノム編集で書き換えた遺伝子が生態系全体を変えてしまう危険性も。医療に革命をもたらす最新研究を大特集!
ゲノム編集によって遺伝的疾患の原因を取り除いたり、HIVなどの危険なウイルスへの感染を防ぐよう再プログラムすることもできる。
ある遺伝子を書き換えることが良いことか、悪いことかを見極めるのは難しい。その1例が遺伝性の貧血を起こす「鎌形赤血球症」という病気。
ある遺伝子に異常があり、通常は悪い赤血球が鎌のような形につぶれ、酸素を運ぶ能力が低下してしまいます。
ところが、この鎌形赤血球を持つ人は、マラリアに感染しにくく、マラリアが蔓延するちいきには多くいることが分かっています。
ある病気の原因となる遺伝子の異常が、逆に別の病気には有利な働きをする場合もあるのです。
南沢奈央、「現在だけの影響だけを見てはいけない。長い目で見ないと。これはちょっと危険だなと思うが、どう考えていったらよいのか」
山本卓、「まだすべての遺伝子の機能が解明されたわけではない。この遺伝子改変を加えても悪影響がないか、きちんとした評価のもとに選択していく必要はある」
竹内薫、「ゲノム編集というのは生命の編集ですものね」
南沢奈央、「ゲノム編集がすでにあまりにも身近になっていて、あまりにも簡単にできて。でも、サイエンスの枠を超えて、かなり影響力を持った技術だということを実感しました」
竹内薫、「ゲノム編集はものすごい勢いで進んでいるんですね」
http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-05-14/31/6274/2136634/
『図解入門 よくわかる分子生物学の基本としくみ【第2班】』 井出利憲/著 秀和システム 2015年発行
遺伝子に関する最近の進歩 より
●遺伝子編集法というとんでもない方法が生まれた
DNAに変異を起こしたり、外来DNAを組み込ませたりするときは、普通その位置を指定することはできず、ランダムにしかできませんでした。ところが、任意の場所のDNAを切断して、自由自在に塩基配列を削除、置換、挿入できるという、夢のような方法が報告されました。2012年8月のことです。
最初は試験管内の反応として報告されましたが、2013年2月には、この系がマウスやヒトの細胞内でも働くことが報告され、さらに同年5月には、受精卵でも働くことが報告されました。これは大変なことです。ノックアウト動物が簡単にできる。遺伝子編集法という、まさに最近の進歩、しかも大きな進歩です。
●実際にはどうやるのか?
遺伝子編集法において、任意の場所のDNAを切断するには、バクテリア由来のCas9というDNA切断酵素を使います。Cas9は元来、ある種の細菌がバクテリオファージに感染するのを防ぐ、一種の獲得免疫機構に働く酵素です。獲得免疫とは、「感染経験のあるバクテリオファージについて、二度目の感染に対する抵抗性を示す」という意味です。
この機構を持つバクテリアは、一度感染された経験のあるバクテリオファージのDNAを、自分のゲノムDNAに組み込んで記憶しておきます。記憶していたバクテリオファージDNAの一部(標的配列)を含んだRNA(sgRNA)が転写されて、sgRNAとCas9酵素タンパク質が複合体を作ります。Cas9という酵素は、触媒作用を持つタンパク質部分とsgRNAとが複合体を形成した複合酵素なのです。そして、次に同じ種類のバクテリオファージが感染したとき、侵入して来たバクテリオファージDNA組の1本は、sgRNAと塩基配列の相補性によってGNAとRNAによる二本鎖を形成します。sgRNAと複合体を形成していたCas9酵素が触媒して、この部分のバクテリオファージを二本鎖切断するというわけです。遺伝子編集では、この機構を流用するのです。
遺伝子編集に際しては、バクテリオファージに由来するRNAの代わりに、化学合成されたsgRNAを用意します。ここで用いるsgRNAは短いRNAで、Cas9酵素との結合や切断活性に関係する共通配列に、これから切断しようとする遺伝子の塩基配列(20塩基程度の標的配列)をつないであります(図.画像参照)。この標的配列を、切断しようとする遺伝子(標的遺伝子)に合わせて科学合成することで、どのような遺伝子部分も標的になりうるのです。標的配列は、これから切断しようとするDNAに合わせて様々な塩基配列を持ちますが、共通配列は、Cas9酵素タンパク質との結合や酵素の切断活性に関わる塩基配列で、どのsgRNAにも共通に含まれるものです。
Cas9という酵素タンパク質とsgRNAというRNAを受精卵に導入するだけで、対象とする遺伝子が何であっても、導入したsgRNAと相補正塩基対を持つ遺伝子のノックアウト可能です。しかも、対象となる遺伝子が二つとも(卵子由来も精子由来も)同時にノックアウトされてしまうのです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
5月14日、NHK EテレサイエンスZERO』で、「シリーズ・ゲノム編集2」を観た。
「ゲノム編集がすでにあまりにも身近になっていて、あまりにも簡単にできて。でも、サイエンスの枠を超えて、かなり影響力を持った技術だということを実感しました」
リンパ球のような体細胞に施された遺伝子改変は子どもに伝わることはないが、卵子精子や受精卵などの生殖細胞に遺伝子改変を施した場合は、その遺伝子改変が子孫に代々伝わっていくそうです。
バカとハサミ(ゲノム・遺伝子編集)は使いよう、と言いますが。