じじぃの「科学・芸術_133_イスラエル・現代ヘブライ語」

The Ten Commandments (1956): "Prelude" by Elmer Bernstein 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=EilEV7lZRZ0&list=RDBLREkfkiG7A&index=3
 ヘブライ語 アイ ラブ ユー

ヘブライ語が起源の名前一覧

Abel(エイベル、アベル) 著名な例: KANE And ABEL(小説『ケインとアベル』 ←まだ読んでいません...)
ヘブライ語、 Hevel (ヘヴェル)より。「息」「はかないもの」の意味。 『旧約聖書』では、兄の Cain (カイン、ケイン)にすぐに殺されてしまった義人の名前。
[ヘブライ文字]
http://www.asahi-net.or.jp/~wa4k-ngtn/ivrit/names.html
『イスラエルを知るための60章』 立山良司/著 赤石書店 2012年発行
日常語になったヘブライ語 (一部抜粋しています)
現代のイスラエルのユダヤ人社会では、ヘブライ語が日常の言語として広く使われている。この言語はアラビア語などと同じセム語族に属し、22文字からなるヘブライ語で右から左に書かれる。一般的にヘブライ語は時代や特性によって4つに分類されている。旧約聖書が書かれた言語として知られる聖書ヘブライ語、日常的な話し言葉としては使われなくなり、ユダヤ教の律法について記すのに使われたラビ・ヘブライ語、この後現代ヘブライ語が登場するまでの中間の時代に使われていた中世ヘブライ語、そして19世紀末から現在までの現代ヘブライ語である。イスラエルで話されているのは現代ヘブライ語であるが、これは聖書ヘブライ語を基礎に、構文はラビ・ヘブライ語にならって作られたものである。現代ヘブライ語がイスラエルで使われるようになる以前、ヘブライ語の書き言語は長年使われ続けてきたが、一方で話し言葉は聖書ヘブライ語の時期を過ぎるとほとんど使われてこなかった。
イスラエルで現代ヘブライ語(以下、ヘブライ語とする)が話されている背景には、この言語が19世紀末頃から生まれたシオニズムと強く結びついてきたことがある。シオニズムは、ユダヤ民族の国家を作る運動であり、その中で、この国家においてどの言語がふさわしいかという議論がなされた。その結果、最終的に古代パレスチナで使われており、離散においてもユダヤ教で使われ続けてきたヘブライ語が選ばれた。とはいえ、長い間使われていなかった言語を日常の生活の中で使うのは夢のような話で現実味があまりなく、シオニズムの中心人物の一人テオドール・ヘルツルさえ次のように記している。「我々は互いにヘブライ語を話すことができないのだ。ヘブライ語で記者の切符を買い求めることができる[中略]人が我々のうちにいるだろうか? いないのだ」(佐藤康彦約『ユダヤ人国家』より)
パレスチナへのユダヤ人の大規模移住が1880年代から始まると、そこでは徐々にヘブライ語が話されるようになっていった。現代ヘブライ語を家庭で使い、ヘブライ語の辞書を出版したことで知られているエリエゼル・ベン・イェフーダが、ロシアからパレスチナに移住したのもこの頃である。彼はパレスチナにおいて、家庭内でヘブライ語を話し、息子をヘブライ語の母語話者として育てた。会話の中でヘブライ語に適当な単語がないときは、アラビア語やイディッシュ語(ドイツ語から派生した言語)など他の言語から借用するなどして語彙を増やしていったという。
ベン・イェフーダの家族以外にも、ヘブライ語を使用する家庭があったがそれはごく少数で、多くのユダヤ人たちはパレスチナに移住する以前から使用していた言語を話し続けていた。
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イスラエルでは町や大学に、「ウルパン」と呼ばれるヘブライ語教室があり、そこで読み書き、会話を学ぶことができる。筆者も、イディッシュ語の勉強と研究のためにイスラエルに留学した際、せっかくイスラエルにいるのだからということで、エルサレム・ヘブライ大学のウルパンに通うことにした。
学部ごとにクラスメイトが変わるので、5学期分くらいコースを受けた筆者は、いろいろな人たちとヘブライ語を勉強することができた。生徒の中には、欧米やロシアからやってきたユダヤ教徒や、ヨーロッパやアジアからやってきたキリスト教徒、地元のアラブ人のムスリムやキリスト教徒がいた。さまざまな宗教的、思想的背景を持つ人たちが一緒にヘブライ語を勉強するという状況である。
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20世紀初めには、日常生活でヘブライ語を使うのは、その語彙の少なさなどから困難で、話すのはごく限られた人たちだけであった、しかし21世紀の初めのイスラエルでは、この言語で人々の生活が営まれ、政治が行われ、研究が行われ、戦争が行われている。このような背景からヘブライ語が話し言葉として使われるようになったことについて、「奇跡」と表現されることもある。しかし、これは突然起こったことではなく、イデオロギーと強く結びついていたとはいえ、人々が日々の営みの中で地道な努力によって使い、習得し、次の世代に受け継いだ結果である。